杉本博司『苔のむすまで』 | Books Tonton―音楽と本に埋もれたい―

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写真作品が有名で、確かブルータスが最近特集したんではなかったかな。

杉本博司ときいてすぐ思い浮かぶ、水平線で2分された空と海。
そんなシンプルな構図で世界中の海を撮影したモノクローム写真は、「静謐」という言葉がぴったりだ。
欧米人が彼の作品から「禅」を感じるというのも分かる気がする。

９．１１のあの日、杉本氏はニューヨークにいた。
現場で過ごしながら、文明そのものの死に立ち会っているような気持ちになる。
そこから平安末期の乱世に”生の実況放送のような文章で描き出した”「方丈記」を連想する・・・（「人にはどれだけの土地がいるか」より）

また、氏が写真という装置を使って示そうとしてきたものは、”人間の記憶の古層”だと記す。

静かで抑制された語り口に接しながら気持ちが高揚していくという得難い読書体験を与えてもらった。

作品もすごいけど、文章がまたよい。

おすすめです！

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