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2005年09月13日
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カテゴリ: 映画
(原題:Depuis qu'Otar est parti...)

監督:ジュリー・ベルトゥチェリ
出演:エステール・ゴランタン/ニノ・ホマスリゼ/ディナーラ・ドルカーロワ/
2003年/フランス・ベルギー/1時間42分/

やさしい嘘 デラックス版 ◆20%OFF!
(内容)

旧ソビエトのグルジアに暮らすエカおばあちゃんの楽しみは、フランス・パリで暮らす息子オタールから届く便り。母の愛情が、弟オタールだけに注がれている様で、素直になれないマリーナ。そして、オタールおじさんからの手紙を流暢なフランス語で読み聞かせるのが日課のおばあちゃんっ子、孫娘のアダ。しかしある日、オタールの不慮の死を知らせる電話が…。エカおばあちゃんを悲しませないため、マリーナとアダはオタールのふりをして手紙を書き続けることにするのですが・・・。



 お菓子屋で、髪の白いおばあちゃんがショーケースからただひとつのケーキを選び、それをひとつのテーブルにかけたおばあちゃんを含む三人の女性が無言でつつきながら食べている・・・。その冒頭のシーンでこの三人の関係が全て表されているように思いました。

貧しく、女三代が身を寄せて生きている家庭。一見お互い意地を張り合い、ぎこちなく見えるけども、心の底ではお互いを心配し、愛しているのです。


古き厳しい世代を生き抜いてきたおばあちゃん、



相変わらず政情も景気もままならない国で夢を持てきれない孫、


皆それぞれ苦しみ、やり場のない気持ちで毎日を過ごしていたのです。


 それでも彼女たちの唯一の希望の光は 長男のオタールでした。
前進のないグルジアの中にいたとしても希望の将来の展望もないからと、国外へ脱出し、新しい人生をやり直そうとしていたのですから、息子の無事と幸せ、成功を祈るおばあちゃんにも、また、希望を運命によって握りつぶされてしまった妹にとっても、グルジアにいながらにしてフランス語が堪能な姪にとっても唯一の光だったのです。

それを事故でなくしてしまい、娘と孫は深く悲しみますが、おばあちゃんまでも悲しませるわけにはいかないというやさしい思いやりから、彼女たちの「やさしい嘘」が生まれるのでした。

娘たちの「やさしい嘘」にまぎらわせられつつも、のんびりにみえたこのおばあちゃん、どーんと大胆な決断をやってのけます。


結局、「年寄りはバカじゃない」んですよね。
年老いて、見た目が弱弱しいため軽視されがちだけど、実は私たちの倍生きてきて、人生経験があるのですから、意外とたくましいし、何でも分かっているのです。
そんな年寄りの底力を見せてくれたこのおばあちゃん役の女優、なんと85歳にして女優デビューされたそうで、びっくり。
彼女の独特の風貌となんとも懐かしいような現実離れしたおとぎの国の住人のような雰囲気で、いろいろな映画に引っぱりだこだと聞きました。なるほど、彼女の静かで温かな表情はこの映画でも、なんともいえぬ感動をあたえてくれました。


そして、そのオタールに振り回されたストーリーの流れも、最後の希望を感じさせてくれるすばらしいシーンで、きりっとメリハリのきいたいい作品に仕上がっていました。









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最終更新日  2005年09月14日 03時39分30秒
コメント(13) | コメントを書く


■コメント

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素敵な映画  
Biscoito  さん
素敵な映画のようですね。
見たいな・・・。
でも、ブラジリアの映画館でやるのかな??
ブラジリアは首都ですが、サンパウロの方がずっと都会!!
映画も、マイナーなものは来ませんよぉ~(LUANAさん生きていけませんね(笑))
でも、なんだか素敵な映画ですね。
見てみたい。
私、人は時として嘘をつく必要はあると思います。
でも、この嘘のように「優しい嘘」です。
でも、時として、優しい嘘も人を傷つけてしまうこともありますね・・・。

基本的には、嘘は嫌いな私です。
みんな嫌いですよね(^^;
(2005年09月14日 08時41分44秒)

女優デビュー?すごい!!!  
cannabis106  さん
うちのおじいちゃんは、よく似たとしですけど・・・・。だいぶ物忘れが激しくなっています。
その人すごいですねぇ。 (2005年09月14日 12時46分27秒)

Re:映画『やさしい嘘』(09/13)  
Dia☆  さん
>結局、「年寄りはバカじゃない」んですよね。
年老いて、見た目が弱弱しいため軽視されがちだけど、実は私たちの倍生きてきて、人生経験があるのですから、意外とたくましいし、何でも分かっているのです。

このluanaさんの言葉、良いですね。
そうですよね。
人は子供とお年よりは弱い者として見ますが
体は年老いても、その分、人生経験はある
のですからね~。
何か、考えさせられますよね。
(2005年09月14日 16時07分21秒)

Re:映画『やさしい嘘』(09/13)  
ぷちてん525  さん
グルジアと言うよく知らない国の話なんだけど、この3世代の女性達の書かれ方は国とか関係ないですよね~。
おばあちゃんをいたわろうと思う娘と孫達は、ほんと確かにおばあちゃんの底力を忘れていたんですよね。

>人生経験があるのですから、意外とたくましいし、何でも分かっているのです。

「そうだよね~!」とこちらでレヴュー読ませていただいて気がつきました。私も、忘れていたみたい・・・

それからね、孫が未来を見る時、おばあちゃんも未来を見ているんだなあと思いました。
現実に縛り付けられているのは、娘世代だと思いました。なんか、この娘が一番変化を受け入れられないようでした。

TBいただきますね~。
(2005年09月14日 19時34分19秒)

Biscoitoさん  
luana3447  さん
>素敵な映画のようですね。
>見たいな・・・。
>でも、ブラジリアの映画館でやるのかな??


・・・これはdvdで観ました。でも、劇場公開もされてました。ブラジルの中ではサンパウロが一番映画環境は恵まれているでしょうね。



>映画も、マイナーなものは来ませんよぉ~(LUANAさん生きていけませんね(笑))


・・・私、日本でも大都会出身じゃあないので、東京ほどは文化が近くなかったですから、いつも都会に憧れていました。お気に入りのアーテイストのショウでも、新幹線に乗ってはるばる行かなくてはなりませんでしたから。その点、今は恵まれているかもしれませんね。サンパウロと東京とどちらかというと、やっぱり東京だけど、自分の里とサンパウロだったら、サンパウロの方がいいかなあ・・・?(笑)


>私、人は時として嘘をつく必要はあると思います。
>でも、この嘘のように「優しい嘘」です。
>でも、時として、優しい嘘も人を傷つけてしまうこともありますね・・・。


・・・この映画の舞台となったグルジアって、天気は悪いわ、貧しいわ、希望はないわで、そんなところに厳しい不幸が襲いかかると生きていけない~と感じさせました。私も同じことをするかも!と思いました。この映画の中の嘘は ついてよかったんじゃあないかなと思います。 (2005年09月14日 23時45分55秒)

cannabis106さん  
luana3447  さん
>うちのおじいちゃんは、よく似たとしですけど・・・・。だいぶ物忘れが激しくなっています。
>その人すごいですねぇ。


・・・人って年をとればとるほど個人差が激しくなっていきますね。確かに長いセリフはなかったけど、年をとった人ならではの深い味があって、この映画にぴったりの女優でした。 (2005年09月14日 23時47分15秒)

Dia☆さん  
luana3447  さん
>人は子供とお年よりは弱い者として見ますが
>体は年老いても、その分、人生経験はある
>のですからね~。
>何か、考えさせられますよね。

-----強くやさしいおばあさんでした。
あんなふうになれるかな?いや、無理でしょう・・。(笑)
(2005年09月14日 23時48分51秒)

Dia☆さん  
luana3447  さん
>人は子供とお年よりは弱い者として見ますが
>体は年老いても、その分、人生経験はある
>のですからね~。
>何か、考えさせられますよね。

-----強くやさしいおばあさんでした。
あんなふうになれるかな?いや、無理でしょう・・。(笑)
(2005年09月14日 23時49分03秒)

ぷちてん525さん  
luana3447  さん
>グルジアと言うよく知らない国の話なんだけど、この3世代の女性達の書かれ方は国とか関係ないですよね~。


・・・そうそう、グルジア、ポ語の字幕ではジョージアって読めるんで、ジョージアってアメリカの州?なんてとぼけたことを考えていました。(笑)
そう、場所や人種が違っても、人ってみんな同じなんですよね。それが魅力で、人を描いた映画に虜になってしまいます。

>おばあちゃんをいたわろうと思う娘と孫達は、ほんと確かにおばあちゃんの底力を忘れていたんですよね。


・・・女性っていつも自分の子どもや未来が気になるんですよね。望むことは皆同じ。「幸せになって欲しい。苦労して欲しくない。」と。
この映画のおばあちゃんは 娘と孫娘の痛みを感じているし、娘のマリーナもアダに自分と同じ苦しみを味わって欲しくないと現実を見させないようにしていた・・・全ては母性です。
そしてその「子」は自分のことで精一杯で、親の気遣いや心配は意外と気づいていないものなのです。
特におばあちゃんは二代分の人生を背負っているから、人間の厚味もたくましさも違いましたね。
最初のシーンのケーキを選ぶのはおばあちゃんでした。

 おばあちゃんは二人の想像以上に強かったんではあるけど、あの嘘はおばあちゃんの息子の死に対する苦しみを和らげるクッションにはなったと思います。あれはあれでよかった嘘なんだと思います。
(2005年09月15日 00時03分23秒)

やさしい嘘  
kino さん
私もこの映画を見ました。
とても良かったし、エカおばあちゃんのファションや動きが、かわいかったです。
最近公開された映画で「Dearフランキー」という映画がちょっと似た設定で、また良かったです。 (2005年09月15日 15時47分32秒)

kinoさん  
luana3447  さん
>私もこの映画を見ました。
>とても良かったし、エカおばあちゃんのファションや動きが、かわいかったです。
>最近公開された映画で「Dearフランキー」という映画がちょっと似た設定で、また良かったです。


・・・あのおばあちゃん、味がありすぎて、彼女ばかりに目が釘付けになってしまいますね。
これ系の映画は好きです。女の愛は感情的で、ときとして一人よがりだけど、愛があって一生懸命だから好き!女に生まれてよかったなあって思います。 (2005年09月15日 22時09分00秒)

Re:映画『やさしい嘘』(09/13)  
sunny16  さん
エカおばあちゃん意外とがっしりしてましたよね。
でも表情はとっても可愛くって素敵なおばあちゃんだったなぁ。
映画自体も温かくって素敵な作品でした! (2005年09月15日 23時13分45秒)

sunny16さん  
luana3447  さん
>エカおばあちゃん意外とがっしりしてましたよね。
>でも表情はとっても可愛くって素敵なおばあちゃんだったなぁ。
>映画自体も温かくって素敵な作品でした!


・・・ごっつくて、いかついですね。
そして一度見たら忘れられない風貌ですね。(笑)
他の映画で見たら、「ああ、エカおばあちゃんだ!」って思わず叫んでしまいそうなほどの・・。
確か『めざめ』にもでていたし、他にも見たことがあるような気がします。
ホンっと、いい映画でした。 (2005年09月17日 07時01分05秒)

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