CAPTAINの航海日記

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CAPTAINの一筆書き旅行記 その2

<CAPTAINの一筆書き旅行記 その2 ~東北編~>

◎はじめに
前回の北海道編から数日後、今度は東北地方を制覇すべく、出かけることにします。行程は3泊4日。前回よりも短期間ですが乗り換えが多く、なかなか骨の折れる旅行でした。
ところで、東北編以降の一筆書き旅行を紹介するにあたって、ひとつの原則を、紹介しなければなりません。それは、新幹線の利用について。
新幹線も鉄道ですから、当然、一筆書き旅行のルートに、組み込んでいます。ですが、新幹線の利用には、ひとつの制約が課せられています。それは、「新幹線は原則として並行するJR線(東海道本線、山陽本線、東北本線、高崎線、上越線、信越本線)と同じ路線とみなす」というもの。具体例を挙げると、山陽新幹線で西明石から姫路に出てそこから山陽本線で加古川まで戻って加古川線に乗る…というルートは、姫路~加古川間がいずれも山陽本線とみなされるため、一筆書きとして利用できないんです。
ところが、この制約は、並行するJR線に接続しない駅を途中に有している場合は、なくなります。今回の旅行でも石巻線で小牛田まで出てから東北本線で一ノ関へ、更に東北新幹線で仙台方面へ… というルートがあるんですが、この場合、一ノ関~仙台間にくりこま高原、古川と東北本線に接続しない駅があるので、利用OKとなります。
そんなこともあって、本州の鉄道旅行は、どうしても、マメな乗り換えが付きまとうんです。とりあえず、行程を、ご紹介しましょう。


1・東北編・初日(桑折~盛岡~深浦)
◎本日のルート
桑折 9:13 ~ (東北本線・快速仙台シティラビット1号) ~ 仙台 10:11
仙台 10:38 ~ (東北新幹線・はやて7号) ~ いわて沼宮内 11:40
いわて沼宮内 12:40 ~ (IGRいわて銀河鉄道) ~ 好摩 12:49
好摩 13:15 ~ (花輪線) ~ 大館 15:38
大館 15:40 ~ (奥羽本線) ~ 弘前 16:21
弘前 16:38 ~ (五能線) ~ 深浦 18:54(泊)
※一筆書きルート=盛岡~(東北新幹線)~いわて沼宮内~(IGRいわて銀河鉄道)~好摩~(花輪線)~大館~(奥羽本線)~川部~(五能線)~深浦。距離=本日235.3キロ、通算2,231.5キロ。

◎あらすじ
今日から、東北地方3泊4日の旅を、スタートさせます。
まず乗り込むのは、桑折発9時13分の快速シティラビット仙台行。仙台から東北新幹線に乗って盛岡で一筆書きを再開し、更に新幹線を北上していわて沼宮内まで行く予定です。盛岡から北に伸びる新幹線の列車は全列車福島を通過するので、そうせざるを得ないのです。
多分2,000往復以上はしたであろう慣れた鉄路を北上し、10時11分仙台着。次に乗るべきはやて・こまち7号(秋田新幹線と併結してるのだ)は、10時38分に、ここを出発します。あらかじめ指定券を買っておいたので、悠々とした旅路です。
11時22分に盛岡に着いてこまちを切り離し、更に東北新幹線を北上。盛岡以北の東北新幹線は初めての乗車なので期待してたんですが、わずか十数分乗っただけで、11時40分、最初の乗換駅・いわて沼宮内に着きます。
次に乗るべきIGRいわて銀河鉄道の上り列車は、1時間後の12時40分発。目的地の好摩まではわずか10.7キロしか離れていないので、まどろっこしい気分になります。IGRいわて銀河鉄道が元のJR東北本線のままだったら盛岡~いわて沼宮内~好摩なんてルートにならずに盛岡から直接花輪線の列車に乗って大館まで行けたのですが。
街はずれにあるいわて沼宮内駅をいったん出て沼宮内の街まで往復し、適当に昼食を食べ終えた頃に列車到着のアナウンス。乗り込んでわずか9分、2駅目が好摩です。ここでも30分近く待ち、13時15分、ようやく花輪線に乗ることができました。
花輪線は北東北の山間を行くのどかなローカル線ですが、ルートの大半で、東北自動車道が並行します。急勾配が続く路線をゆっくりと走る我が列車を尻目に、何台ものクルマがビュンビュンと追い越していきます。選んで遠回りをしているから致し方ないですが、先ほどのいわて沼宮内といい、この花輪線といい、時間の無駄遣いをしているような気にさせられます。
岩手県から秋田県に入ると勾配がなくなり、意外に広々とした花輪盆地に入ります。線名の起源となった鹿角花輪を過ぎ、十和田南でスイッチバックすると米代川と寄り添い、15時38分、終点の大館へ。
次の列車は、15時40分発の奥羽本線普通列車青森行。この列車は秋田始発で既に15時12分に大館に着いていて、花輪線の列車の到着を待ってから出発するという、私にとってはありがたい存在です。
矢立峠を越えて青森県に入り、16時21分、弘前に到着。終点までは乗らずにここで降り、16時38分にここを出発する五能線の列車に乗り換えます。弘前は学校の多い街だけあって、既に沢山の学生が、ホームで待っています。
学生で込み合った列車は川部でスイッチバックして五能線に入ると、藤崎、板柳とリンゴ畑の中を疾走。左手に広い裾野を見せている岩木山とともに、青森県らしい風景です。そのリンゴ畑が尽きてくると、津軽地方北部の中心都市・五所川原。人口5万弱ですが、デパートなんかも見えていて人口以上に規模の大きい街に見えます。
この五所川原から分岐しているのが、ストーブ列車で知られる津軽鉄道。今回は乗ることができませんが、いつかまた再訪して、ダルマストーブで暖を取ってみたいものです。
五所川原で泊まってもいいんですが、今日はもう少し頑張って、この列車の終点・深浦まで行こうかと思います。鯵ヶ沢を過ぎると右手には日本海。夕暮れ時ですが、海辺の風景を眺められる限界まで見るつもりです。深浦到着は、18時54分の予定です。
千畳敷海岸を横目に見、定刻通りに深浦に到着。今日は、この旅行にしては珍しく奮発して、深浦の南西約10キロにある黄金崎不老ふ死温泉に宿泊する予定です。すっかり日の暮れた深浦駅からタクシーを呼び出し、乗り込みます。列車に乗るのとは別の期待感が、押し寄せてきました。


2・東北編・2日目(深浦~酒田)
◎本日のルート
艫作   7:31 ~ (五能線) ~ 深浦 7:43
深浦 7:50 ~ (五能線) ~ 東能代 9:40
東能代 9:48 ~ (奥羽本線・特急日本海3号) ~ 鷹ノ巣 10:13
鷹巣 10:40 ~ (秋田内陸縦貫鉄道) ~ 角館 13:04
角館 13:48 ~ (田沢湖線) ~ 大曲 14:12
大曲 14:31 ~ (奥羽本線) ~ 秋田 15:24
秋田 16:38 ~ (羽越本線) ~ 酒田 18:32(泊)
※一筆書きルート=深浦~(五能線)~東能代~(奥羽本線)~鷹ノ巣(鷹巣)~(秋田内陸縦貫鉄道)~角館~(田沢湖線)~大曲~(奥羽本線)~秋田~(羽越本線)~酒田。距離=本日363.9キロ、通算2,595.4キロ。

◎あらすじ
今日は、いつもより早い起床。
朝食もそこそこに、宿の送迎で最寄り駅の艫作(へなし)へ。更に7時31分発の列車で、昨日の旅の中断点・深浦へと向かいます。
深浦着9時40分。島式ホームの対面には、次に乗り込む7時50分発東能代行の列車が、既に待機しています。海が見える右側の席を陣取り、いよいよ旅の再開です。
深浦の手前の鯵ヶ沢から秋田県の八森にかけて、五能線は、ひたすら日本海に沿います。今夕から明日にかけて乗る予定の羽越本線も延々と日本海に沿う線ですが、旅情の点では、こちらが一段勝ります。それでも眠気の方が勝っていたのでしばらくするとZzz… 気がついたときには既に秋田県に突入していました。
そういえば、今日の行程の大半は、秋田県内です。北海道を別にすれば、今回の旅行でひとつの県をこれだけクネクネと走り回るのは、珍しいんじゃないかと思います。
ホームにバスケットのゴールが備え付けてある能代を過ぎると、終点の東能代。ここで奥羽本線に乗り換えて鷹ノ巣まで行きますが、乗り込む列車は、なんと寝台特急の日本海3号! いわゆる「ヒルネ」で問題なく乗車できますが、座席全体に乗客の体臭がこもっているようで、ちょいと気分が悪いです。それでも乗車時間が短かいのでガマンし、10時13分、鷹ノ巣着。ここで秋田内陸縦貫鉄道に乗り換えます。
ところで、秋田内陸縦貫鉄道の列車は間違いなくこの駅から出ているんですが、こちらの駅名は「鷹巣」。JRの駅名「鷹ノ巣」とは一線を画しています。地名は秋田県北秋田郡鷹巣町だからJRの駅名も「鷹巣」としてほしいところですが、JR側も「一ノ関」(岩手県一関市)、「原ノ町」(福島県原町市)と妙に「ノ」の字にこだわるところがあり、一朝一夕にはいかないようです。
そんな曰くのある鷹巣を10時40分に発車。列車は阿仁川に沿う山間を進みます。沿線は民家は少ないですが豪雪地帯。地域にとってはなくてはならない鉄道です。国鉄阿仁合線当時の終着駅・比立内を過ぎると山はますます深くなり、「阿仁マタギ」なる小駅にも停車。分水嶺を超えても淋しげな風景が続き、13時04分、終点の角館に着きます。
「みちのくの小京都」として知られる角館では40分ほど滞留しますが、武家屋敷街は駅から離れたところにあるため、観光はできません。駅の近くで昼食を摂り、13時48分発の田沢湖線の普通列車を待ちます。
ホームで所在無く待っていると、ようやく列車が来ました。新しい交流電車です。秋田新幹線が開業する以前の田沢湖線は電車特急が走っていても普通列車はディ^ゼルカーというパターンが多かったので、そのイメチェンぶりに驚きます。この列車に乗って大曲着14時12分。19分の滞留で今度は奥羽本線の新型普通列車に乗り換え、14時31分発。雄物川沿いの田んぼの広がる風景を走り抜けて15時24分、秋田に到着します。
秋田では、約1時間の滞留。駅ビルの喫茶店でコーヒーブレークしてから、街を歩きます。秋田は1997年に一度訪れたことがあり人口30万人を超える県庁所在地の割には活気がない街だなとの印象を持っていましたが、今回の来訪でも、その印象は変わりませんでした。
その秋田から、今度は羽越本線に乗り換えて、16時38分発車。雄物川を渡って市街地を抜けると、線路は松林に沿います。その向こうは砂浜そして海のはずなんですが、林が邪魔して、あまり見えません。防風だか防雪だか防砂だか役に立っているんでしょうが、外を眺めたい立場にとってはやや厄介な松林です。
羽後亀田からやや内陸に入り、西目を過ぎるとまた海沿いへ。この辺りは鳥海山の山裾がそのまま海に落ち込んでいるので、松林もなく、海を存分に望むことができます。
長かった秋田県をようやく脱出して山形県に入り、吹浦を過ぎると今度は米どころ・庄内平野へと入り、18時32分、この列車の終点・酒田に到着。日も暮れかかってることだし、今日はここで泊まることにします。


3・東北編・3日目(酒田~横手)
◎本日のルート
酒田   8:20 ~ (羽越本線) ~ 鶴岡 8:49
鶴岡 9:45 ~ (羽越本線) ~ 村上 11:27
村上 13:11 ~ (羽越本線) ~ 坂町 13:26
坂町 13:33 ~ (米坂線) ~ 米沢 15:44
米沢 15:55 ~ (奥羽本線) ~ 山形 16:42
山形 16:44 ~ (奥羽本線) ~ 新庄 17:49
新庄 18:18 ~ (奥羽本線) ~ 横手 19:49(泊)
※一筆書きルート=酒田~(羽越本線)~坂町~(米坂線)~米沢~(奥羽本線)~横手。距離=本日397.8キロ、通算2,993.2キロ。

◎あらすじ
今日も、羽越本線の旅を続けます。
まず乗り込むのは、酒田発8時20分の普通列車。陸羽西線が分岐する余目を経て、わずか29分後の8時49分、鶴岡で下車します。東北の10万都市で鶴岡だけが未訪問だったので、城跡まで歩いてみます。商店の開店前で静かなたたずまいでしたが、さすがに城下町だけあって、落ち着いた雰囲気をたたえています。
鶴岡からは9時45分発の普通列車に乗車。二つ目の三瀬を過ぎると、右手には日本海。ここから終点の村上の少し手前まで、2時間弱の間、海沿いを走ることになります。ちなみに左手は朝日山地がすぐ近くまで迫っており、そこから流れる細々とした川がわずかな平地と集落を形作り、そして駅がある、というパターンが続きます。
白河、勿来と並ぶ奥州三関の鼠ヶ関を過ぎると、新潟県に突入。海岸線がにわかに荒っぽくなり、しばらく走ると、景勝地・笹川流れに差し掛かります。昨日の五能線といい、今日といい、海の景色には本当に恵まれています。
間島を過ぎ、瀬波の温泉街を遠くに見たところで、海はおしまい。ほどなく終点の村上に到着します。到着時間は11時27分で、ここから南は新潟への通勤圏になるので列車も頻繁に走ってるんですが、次に乗るべき米坂線の列車の都合もあり、ここでまたまたタウンウォッチング&昼食と参ります。
ゆっくり滞留して、村上発13時11分。目指すべき坂町はわずか11.4キロ先。所要時間も15分で13時26分に到着します。米坂線の列車は既にホームでスタンバっており、わずか7分後の13時33分発。慌ててダッシュします。
米坂線は、かつては仙台・山形と新潟とを結ぶ準幹線的な路線で急行も走っていましたが、現在走っているのは普通列車のみ。クリーム・赤・青の新潟特特の三色に塗られたディーゼルカーは、荒川に沿って東へと進み、丹念に小駅に停車します。
その荒川がダム湖となったほとりに位置する越後金丸を過ぎると、再び山形県にカムバック。宇津峠を越えると荒川から最上川の水系へと差し掛かります。羽前椿で米沢盆地に入り、米沢の街を西南東と半周して、15時44分、米沢に着きます。
米沢からは、奥羽本線を北上。まずは15時55分発の普通列車に乗り、16時42分山形着。わずか2分後の16時44分に山形を発つ別の普通列車に乗り換え、17時49分、山形新幹線の延伸で立派に改装された新庄駅に着きます。
時間的にはそろそろ宿泊のタイミングなんですが、明日の日程のことを考えて、更に乗り換え、北に向かいます。それにしても、「本線」と名の付く路線なのに、どうしてこうもチョコマカ乗り換えないとならないのか? 山形は列車運行の拠点だし新庄を挟んでゲージが異なるからやむを得ませんが、ちょっと辟易します。
陽の暮れかかった18時18分、新庄を発車。真室川を過ぎる頃にはあたりはすっかり暗くなり、かつて銀山で賑わった頃の面影を残す院内の広い構内も確認できません。次の横堀から横手盆地に入り、19時49分、横手に到着。今日はここで泊まり、明日、北上線で久々に太平洋側に出る予定です。


4・東北編・4日目(横手~桑折)
◎本日のルート
横手   7:47 ~ (北上線)  ~ 北上 9:06
北上 9:39 ~ (東北本線) ~ 花巻 9:50
花巻 10:44 ~ (釜石線)  ~ 遠野 11:58
遠野 12:45 ~ (釜石線・快速はまゆり3号)  ~ 釜石 13:34
釜石 13:40 ~ (三陸鉄道南リアス線) ~ 盛  14:28
盛  14:46 ~ (大船渡線) ~ 気仙沼 15:47
気仙沼 15:52 ~ (気仙沼線~石巻線・快速南三陸4号) ~ 小牛田 17:26
小牛田 17:31 ~ (東北本線) ~ 一ノ関 18:20
一ノ関 19:14 ~ (東北新幹線・やまびこ68号) 福島 20:13
福島 20:32 ~ (東北本線) ~ 桑折 20:46(帰宅)
※一筆書きルート=横手~(北上線)~北上~(東北本線)~花巻~(釜石線)~釜石~(三陸鉄道南リアス線)~盛~(大船渡線)~気仙沼~(気仙沼線)~前谷地~(石巻線)~小牛田~(東北本線)~一ノ関~(東北新幹線)~福島~(東北本線)~桑折。距離=本日565.2キロ、通算3,558.4キロ。

◎あらすじ
今日は、昨日より1時間ほど早起きして、7時半に横手駅に着きました。最初に乗る7時47分発の北上線の列車は、7時43分にこの駅に着く列車の折り返し。短い編成のディーゼルカーが横手への通勤、通学客を降ろすと車内はガラ空きになり、乗り込んだのは私を含めて数名のみ。今日も、やや寂しげな出発です。
横手駅を発車した列車はすぐに奥羽本線と別れると、真っ直ぐに東へと向かいます。30分も走ると岩手県。3日ぶりの来訪になります。
当たり前のことですが、この旅行では、本州に入ってから何度か県境を行ったり来たりしています。これまでの来訪実績は、青森県が2回、秋田県が3回、山形県が3回、新潟県が1回(ここについては次回の旅行で数度の来訪を予定)で、この岩手県がこれで2回目。ところが今日は、これを含めて岩手県だけで4度の来訪を、予定しています。岩手県とその南の宮城県との間では県境と絡み合うようにして鉄道が敷設されたケースが多いので、どうしても、そうなってしまうんです。
で、とりあえずは、今日1度目の来訪。何故か「HOTTOYUDA」のローマ字表記で駅名票が書かれているほっとゆだを過ぎると、和賀川を堰きとめた錦秋湖の沿岸を東進。横川目まで走ると北上盆地に入り、9時06分、北上に到着。
北上からは実は今回の旅行のルートで初めて利用する東北本線で花巻まで行き、そこから釜石線に乗ることになります。が、北上線、釜石線とも東北本線との乗り換えは便利になっているものの、両線を通して乗ろうとすると、どうしてもどこかで待ち時間ができてしまいます。仕方ないので、私はその待ち時間を北上と花巻とに振り分け、両都市をタウンウォッチングして時間を潰すことにしました。
結果は…う~ん、両方とも、イマイチ活気不足。「いまどきの地方都市」って感じです。
で、1時間半もの時間を消費して、ようやく釜石線に。10時44分発の普通列車は、本屋寄りの1番線から発車します。新花巻で東北新幹線のガードをくぐり、次の土沢からは、猿ヶ石川と北上山地の山懐を縫うように並走。周囲が開けてくると遠野物語で知られる遠野で、11時58分着。ちょうどお昼の時間なので、ここで一旦降ります。
遠野は、取りたてて何の特徴もない街でした。遠野物語の世界は、街の北方に位置する早池峰山の麓に広がっているのでしょう。でもせめて昼食だけは遠野らしいものをと名物のひっつみを戴き、12時45分発の快速はまゆり3号で、釜石へ。
遠野から釜石の間は、かなり険しい地形です。釜石線の工事も難航を極め、開業したのは戦後のことでした。トンネルを抜けて釜石市に入ると、いきなりオメガ型の半ループ線にさしかかります。次に通過すべき陸中大橋駅が、眼下に見えています。
その陸中大橋から二つ先の松倉から市街地に入り、13時34分、広い構内を誇る終点の釜石に到着。次に乗るべき三陸鉄道南リアス線の列車は、わずか6分後の13時40分発。JRの改札を一旦出てから三陸鉄道の改札に入らなければならないので、ついつい駆け足になります。何人かの乗り継ぎ客を迎え入れた列車は、定刻に出発。
それにしても、前回乗った北リアス線も、今日の南リアス線も、JRとの接続がすこぶる良いので、感心します。さすが第三セクター鉄道のさきがけで、地域密着型の運行を、心がけているようで嬉しくなります。
終点の盛でも接続が良く、14時28分着の14時46分発。今度は大船渡線です。線名になっている割には小ぶりな大船渡、千昌夫の故郷で知られる陸前高田を過ぎると分水嶺に差し掛かり、ここから宮城県。行政区画は港町の気仙沼市ですが沿線からはそれっぽい雰囲気をあまり感じないままに、15時47分、気仙沼に到着。ここで気仙沼線に乗り換えます。乗り込むのはわずか5分後、15時52分発の快速南三陸4号。釜石に引き続き、駅構内をダッシュします。なんとか乗り込めましたが、この列車は通学用としても需要があるらしく、既に座席は塞がってます。仕方なく、立ちんぼで過ごします。
定刻通り、気仙沼を発車。次の南気仙沼で学生が更に乗り込んできたのでどうなる事かと思いましたが、16時19分着の本吉でようやく席が空き、一安心。でも立っていたおかげで、大谷海岸の波打ち際を走る区間の風景を、しっかりと目に焼き付けることができました。
南三陸は前谷地から石巻線に乗り入れて、東北本線との接続駅・小牛田に17時26分着。小牛田は仙台の通勤圏で自動改札なんか取り付けられています。だからついついこのまま仙台、更には桑折の自宅まで帰りたくなりますが、一筆書きのルートは仙台から背を向けて東北本線で一ノ関まで行くことになっています。これまた接続良く、5分後の17時31分に小牛田を発つ一ノ関行の列車があるので、慌てて乗り場に急ぎます。
小牛田から一ノ関までの景色は、田んぼと丘陵との繰り返しです。途中白鳥や雁が飛来することで知られる伊豆沼のほとりを通過しますが特にどうということはなく、くりはら田園鉄道と接続する石越を過ぎると、再び岩手県に突入。
ところが岩手県内の駅を三つほど通過すると、何故かまた宮城県に舞い戻ってしまい、有壁に停車。有壁を出ると三度岩手県に入って、終点の一ノ関となります。18時20分の到着。
一ノ関からは、なんと東北新幹線で、一気に福島まで行ってしまいます。運賃計算上の距離で172.3キロ。実距離も150キロ近くはあるでしょう。遠回りの旅なのにそんなに長い区間を新幹線で走るのは、ちょっと痛快です。
一ノ関でしばらく待ち、19時14分発のやまびこ68号で出発。既に日が暮れて外は見えませんが、何度も通った区間なので、別に気になりません。
しばらく暗闇の中を走りますが、突然周囲が家々やクルマの明かりで賑わいだすと、仙台が近づいた証拠。スピード命の新幹線もこの街に敬意を表するように速度を下げ、19時41分、そろそろと仙台駅のホームに滑り込みます。でも私はここで降りず、もう少し、旅を続けます。札幌に引き続き、仙台もただ通るだけ。よくよく政令指定都市に縁のない旅です。
仙台からは福島までは、新幹線だと30分もかかりません。20時13分、福島着。
福島からは、東北本線か阿武隈急行(どちらも54.9キロ)で槻木まで行き、更に東北本線で岩沼、そして常磐線… となるんですが、今日は東北本線で、桑折に帰ることにします。ずるいようですが桑折まで一筆書きのルートで、次回の旅行も、ここから再開となります。

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