吟遊映人 【創作室 Y】

吟遊映人 【創作室 Y】

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

吟遊映人

吟遊映人

カレンダー

2017.05.07
XML
カテゴリ: 映画/ラブ
【プライドと偏見】
20170507a

「彼が高慢で不愉快なことは皆知っているよ。おまえが好きだというなら問題ないが・・・」
「好きなの。彼を愛してます。私が間違ってたの。彼をすっかり誤解してた。パパも知らないのよ、本当の彼を・・・」


元同僚の息子さん(26歳)が、今年の秋に結婚とのこと。
晩婚化が進んでいる昨今では、珍しく早めだ。
とはいえ、男子26歳では少しばかり早すぎはしまいかと思いきや、「男ばかり3人の息子らなので、長男が片付かないと下がつかえていけない」とのこと。
そんなもんなのかと、母親としての心境を傾聴した。
「やっぱり男は結婚して一人前なのよ。あなたもそのうちわかるわよ」
私にも一人息子がいるせいだろう、元同僚は説得力のある口ぶりでそう言った。
深い意味はないとしても、その考えが一般社会の常識と見て間違いはない。
確かに、いい年したシングルの男性と接したとき、どことなく居心地の悪さというか、幼さとか不安定さを感じてしまうことがある。
おそらく結婚によって、人間が成熟するということなのだろう。(無論、それだけがすべてではないけれど。)


これはイギリスの女流作家ジェイン・オースティンの小説が原作となっている。
驚くのは18世紀に女性がこれだけの作品を執筆していたということだ。(日本はまだ江戸時代。女性の地位は低く、読み書きできるのはほんの一握りという時代である。)
『プライドと偏見』をラブ・ストーリーとして分類してしまうのは早計だ。
ざっくり言ってしまうと、恋愛ドラマというより英国中流家庭のホームドラマである。
もう少し丁寧に言えば、女性が結婚に至るまでのプロセスを冷静で客観的な視点から描いている。
20170507b

ストーリーはこうだ。
舞台は18世紀末のイギリス、ハーフォードシャー州ロングボーン村。
ベネット夫妻には5人の娘たちがいた。
美人の長女ジェイン、聡明な二女エリザベス、三女のメアリー、四女のキャサリン、そして五女のリディアである。
この時代、女性には一切の相続権がなく、万が一、父親が亡くなれば遠縁の男子が相続する決まりとなっていた。
そんなわけで、ベネット夫人はなんとか娘たちを資産家と結婚させようと躍起になっていた。

ベネット家の娘たちは、期待感と好奇心でワクワクするのだった。
舞踏会の催される晩、ビングリー氏は妹のキャロラインと親友のダーシー氏をつれてやって来た。
ビングリー氏はすぐにジェインの美貌に心を奪われ、ダンスを申し込む。
一方、ダーシー氏はどこかとっつきにくく、プライドばかり高そうな人物に見えた。
ベネット家の娘たちに対しても見下しているような素振りさえ感じられた。


惚れたはれたの恋愛小説ではないので、原作の方はもっと淡々と描かれている。
相手の年収がいくらだとか、どれほどの資産を所有しているかとか、うるさい小姑がいるかいないかなど、女性の婚活は現代よりもっとシビアでハードなものだったかもしれない?!
20170507c

主人公エリザベスに扮したのは英国人女優のキーラ・ナイトレイだ。
代表作に『つぐない』『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどがある。
ものすごい美貌の持主なので、正直、美人の長女という設定であるジェインが二女のエリザベス役のキーラに呑まれているようにも思えた。
この作品がおもしろいのは、結婚を意識する女性たちに虚飾がないからだ。
さらには、この当時の中流家庭の日常を巧みに再現し表現しているところが興味深いのだ。
恋に落ちるまでの男女の波瀾万丈を描いたストーリーはいくらでもあるけれど、お見合い結婚から恋愛結婚への意識改革を計ったような作品は珍しいのではなかろうか。
『いつか晴れた日に』も併せて、女性のみなさんにお勧めしたいイギリス映画である。

2005年(英)、2006年(日)公開
【監督】ジョー・ライト
【出演】キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファデイン


20130124aisatsu





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.05.07 07:31:29
コメント(0) | コメントを書く
[映画/ラブ] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: