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2024.05.17
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カテゴリ: 和訳


ボックスアート


ゲームボード(低画質)


 デザイナーは「 Arborea 」や「 バルセロナ 」のDani Garcia。出版社は「バルセロナ」のほか、Tシリーズや「ニュークレウム」で知られるポーランドのBoard&Dice。いろんな時代のいろんな国をテーマにしたゲームを出すのが好きなところだが、今回は19世紀後半のオランダが舞台だ。

 オランダと言えば風車、干拓地、そしてチューリップということで、35㎞くらいに渡って延々とチューリップが咲いてるブルーメンルート(花の道)というサイクリングコースがあるらしい。それに着想を得た本作では、水門を開けたり閉じたりして水の流れを調整しつつ、風車ホイールを回してアクションを実行し、上がりすぎた水位を下げたり風車を強化したり助手を雇ったり契約を結んだり風車を建設したり市場で買い物したり外国と取引したり、そしてもちろんチューリップを植えたりする。

 誰かが自分の大きい風車ホイールを4回転させたらゲーム終了。最終得点計算して、いっぱい点取った人の勝ち。



 風車ボートとそのホイール。歯車と言えば「ツォルキン」を思い出すが、こちらは各プレイヤーが自分のホイールを個別に持つことになる。大きいホイールは6区画に分割されてて、1回転させるのに最大6手番かかるから、ゲームの長さは最大で1人24手番。実際には1手番で2、3区画回転させることも多いのでもっと少なくなるだろう。

 ゲームが終了するまでひたすら手番をプレイしていくタイプ。手番が来たら、まずは水門を開けたり閉じたりして水の流れを調整する。閉じる分には無料だが、開くにはコストがかかる(おまけで得点もついてくるが、たぶん効率が悪い)。事実上、序盤はこれで3択のアクションのうち1つを選ぶことになるので、さっそく考えどころだ。「ナヴィガドール」とかのロンデルシステムで、常に1歩ずつ進んでいくプレイヤーはまず勝てないのと同様に、コストを払ってでも水速を上げるべきときが必ずあるだろう。

 ここで重要なのは、水門(および後述する水位)は全プレイヤー共通で管理するということだ。つまり、たとえば直前のプレイヤーが水門を開けて水速を3にした場合、自分の手番が来た時点で水速は3のままだということ。なので上家が実行しそうなアクションを読んで、それに合わせて計画を練れば、自分でコストを払って水速を上げなくてすむかもしれない。逆に下家が数区画先のアクションを実行しそうなら、水速を下げてコストを支払いを強いることができるかもしれない……難しい気はするがw

 水速が決まったら、それに応じて水位を調整する。水速が最遅なら水位は上がらないが、それより速いと干拓が間に合わず、ちょっとずつ上がっていく。あふれてしまうような水速を選ぶことはできないし、手番開始時に水位がいっぱいいっぱいの場合は水速を最遅にしなければならないので、望みの水速を選べないこともあるだろう。

 そのあと、水速に等しい区画数だけ自分のホイールを回し、噛み合った部分の上側にある左右の区画のうちいずれかに示されているアクションを実行する。当然ここがメインフェイズだ。



 こんな感じに噛み合ったら、矢印が指してる大ホイール上の「助手の雇用/契約の獲得」か、小ホイール上の「水位の低下」のいずれか1つを実行できる。ゲームが進んでホイールを強化すれば、両方実行できることもある。また、最初のうちは小ホイール上のアクションは「水位の低下」だけなのでそんなに悩むこともないが、もちろんこれも強化/変更することができるので、どんどん選択の悩ましさが増すことになるだろう。

 アクションは「水位の低下」「ホイールの強化」「助手の雇用/契約の獲得」「風車の建設」「市場の訪問」「海外貿易の実施」「チューリップの球根の植え付け」の7種類で、このうち6つは最初から大ホイール上に1つずつあり、小ホイール上の5区画には(最初は)「水位の低下」しかない。

 水位を下げると、それに応じてお金や勝利点がもらえる。水位が高くなってるほど、下げたときに得られるものも多くなる。

 ホイールを強化したら、強化タイルを購入してホイール上のいずれかの区画に置く。純粋に強化される区画に置く分にはいいが、まったく別のアクションを置き換えてしまうとそのアクションを実行できなくなるので注意が必要だろう。



 強化タイル。焦げ茶がコモン、薄茶がアンコモン、灰色がレア。レアリティが上がるほど強力になるが、もちろんコストが高くなる。コモンでもデフォルトのアクションよりは強力なので、こちらで埋め尽くすのもありじゃないかな。手番が足りなくなりそうだがw

 助手を雇うと特殊能力が得られる。契約はゲーム終了時の自分だけの得点計算方法になる。どちらも重要なのは、ゲーマーなら言うまでもなく分かるだろう。



 助手/契約カード。カードの上段が助手、下段が契約になっており、どちらかを選んで使うタイプ。はいはい悩ましい悩ましいw

 風車の建設では、メインボード上に風車駒を置いて、その周りにあるすべての畑から利益を得る。しかし、置いた風車駒から既存の(自分と他プレイヤーの)風車駒をたどって市場に到達できる位置にしか置くことができないので、最初は市場に隣接するところにしか置けない。しかも他プレイヤーの風車駒を経由した場合、相手は勝利点を得てしまう。おそらくは市場から離れるほど利益が大きくなると思うが、配置コストも高くなり、他プレイヤーに勝利点を与えることも多くなるだろう。はいはい悩ましい悩ましいw



 風車駒。最近流行のシルクスクリーンプリントされてて見映えが大変よろしい。

 市場の訪問と海外貿易は、どちらも手っ取り早く利益を得るための手段。しかし単純にサプライから何かを得るのではなく、市場では他プレイヤーが多くいるエリアに行くと利益をたくさん得られるし、海外貿易ではチューリップを輸出して利益を得るか、輸出されたチューリップを回収して球根として再利用するかの2択を迫られる。ちょっとしたアクションにも多少のインタラクションが用意されてるってことだ。

 そしてチューリップの球根の植え付け。球根を自分の畑に置いて、そのスペースに示されてる利益を得る。ゲーム終了時には植えたチューリップから少なくない勝利点を得ることになるので、他のすべてのアクションはこのためにあると言っても過言ではないだろう。



 チューリップ駒。右端は黒いチューリップだが、現実には黒いチューリップ(というか黒い花)はないことを反映して、めっちゃ色の濃い紺色になってる。芸が細かいw



 プレイヤーボード。中央の畑にチューリップ駒を置いていく。各段は1色にまとめると高得点になり、各列はすべて異なる色にしないと失点する。とはいえ、段についてはそもそも完全に埋めないと1点にもならない。失点はしたくないので、とにかく同じ色を同じ列に置かないようにしてれば何とかなるんじゃないかな。チューリップが5色あるのに4段しかないのも地味に効いてくるんだろう。

 個々のアクションはそんなに難しくはなさそうで、プレイ時間も45-90分となっていることから、ちょうどいい中量級ってところだろう。どのアクションでも大なり小なり他プレイヤーとの絡みがあるので、多人数ソロゲー感はなさそうだ。

 強いて懸念点を上げると、ゲーム開始時に個別の初期能力がもらえるのだが、ぱっと見た感じではこれの差が大きいような気がする……まあこのへんはやってみないと分からないけど。どうしても駄目そうならなしでやってもゲームにはなるだろう。アクション強化、助手の雇用、契約の獲得なんかは大好物だし、見た目も華やかで期待大。負けても美しい盤面を見れば心も慰められるだろうから、私みたいなボドゲ弱々勢にもきっとオススメだよw

BGGの和訳ルール






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Last updated  2024.05.20 09:16:37
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