《櫻井ジャーナル》

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2017.11.24
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ロシア、イラン、トルコが連携を強めている。今年(2017年)11月19日に3カ国の外務大臣がトルコのアンタルヤで会談したのに続き、22日には大統領がロシアのソチに集まってシリア情勢などについて話し合った。そのシリアのバシャール・アル・アサド大統領はその間、20日にソチでロシアのウラジミル・プーチン大統領を会っている。

こうした会談はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアを中心とするシリア侵略が破綻したことを受けてのこと。トルコは途中まで侵略に加担していたが、2015年9月30日にロシアがシリア政府の要請で空爆を開始、戦況を一変させてアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の劣勢が明確になってからアメリカ離れを起こしている。

トルコ政府の姿勢が変化したことは2016年6月下旬にレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がロシアのウラジミル・プーチン大統領に対してロシア軍機撃墜を謝罪したことで表面化した。

この撃墜があったのは2015年11月24日のこと。トルコ軍のF-16がロシア軍のSu-24を待ち伏せ攻撃で撃墜したのだ。ロシア軍機の撃墜をトルコ政府だけの判断で実行できるとは考え難く、撃墜の当日から翌日にかけてポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問してこともあり、アメリカ政府が許可していたと見る人は少なくない。

2016年7月13日になると、​ トルコの首相はシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆 ​している。武装蜂起はその直後、7月15日のことだ。この蜂起は短時間で鎮圧されたが、事前にロシアからエルドアン政権へ情報が伝えられていたとも言われている。

エルドアン政権はクーデター計画の首謀者はアメリカへ亡命中でCIAの保護下にあるとも言われているフェトフッラー・ギュレンだと主張、蜂起の背後にはアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官がいたともしている。この段階でアメリカとトルコとの関係は決定的に悪くなったが、NATOから離脱するまでには至っていない。

ところが、今年11月にノルウェーで実施されたNATOの軍事演習でトルコ政府が敵だと表現されていたことから​ エルドアン大統領は11月17日、自国兵士40名を引き揚げさせると発表 ​した。

3月 ​、​ 10月 ​)

侵略されたのはイラクが最初で、2003年3月のこと。シリア侵略はリビアに続き、2011年3月に始まっている。イラクの占領政策を見るとアメリカ政府は親イスラエル体制を樹立しようと目論んでいたようだが、これは失敗。2014年3月には首相だったヌーリ・アル・マリキがサウジアラビアやカタールを反政府勢力への資金提供国だと批判、ロシアへ接近する姿勢を見せていた。

その翌月に行われた議会選挙では彼が党首を務める法治国家連合が第1党になったので、本来なら彼が首相を続けるのだが、指名されなかった。アメリカ政府が介入したと見られている。首相に選ばれたのはハイデル・アル・アバディだ。

2015年9月30日にロシア軍がシリア政府の要請で空爆を始めると、このアバディもロシアに空爆を頼もうとする。そうした動きを見た​ バラク・オバマ政権は10月20日にジョセフ・ダンフォード米統合参謀本部議長をイラクへ送り込み ​、ロシアへ支援要請をするなと恫喝したと見られている。

こうした恫喝にもかかわらず、イラクのイランやロシアへの接近は止められなかったようだ。今年7月にはイランとイラクが広範囲の軍事的協力で合意、副大統領になっていたマリキはロシアを訪問し、経済や軍事で両国の関係を強めるための話し合いをしている。

トルコと関係の深いカタールもイランやロシアとの話し合いを水面下で進めていたようだが、サウジアラビアのモハメド・ビン・サルマン皇太子は今年6月上旬、そのカタールを経済封鎖で締め上げて属国化しようとする。ところが、すでに対策済みのカタールは屈しない。

サウジアラビアが経済戦争を仕掛ける直前、ドナルド・トランプ米大統領は5月20日から21日にかけてサウジアラビアを、22日から23日にかけてイスラエルを訪問した。ビン・サルマンは9月にイスラエルを極秘訪問しているが、その月にアメリカの特殊部隊に率いられた反シリア政府軍がシリア北西部のイドリブでパトロール中だったロシア軍の憲兵隊を包囲、戦闘になっている。その戦闘は数時間にわたって続き、その間にロシア軍の特殊部隊スペツナズが救援に駆けつけ、Su-25も空爆、反政府軍の部隊の戦闘員約850名が死亡したという。その際にアメリカの特殊部隊も全滅したようだ。

その直後にアメリカ軍とロシア軍が緊急協議をしているようだが、9月24日にはシリアのデリゾールではダーイッシュの砲撃でロシア軍事顧問団を率いるバレリー・アサポフ中将とふたりの大佐が死亡した。10月31日にロシア軍は地中海にいる潜水艦から発射されたミサイルでデリゾールにあったダーイッシュの拠点を攻撃、破壊したとされている。

イスラエルもロシアと盛んに接触、シリアから手を引き、イランとの関係を断つように要求しているが、ロシア側から一蹴されている。10月16日にはロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣がイスラエルを訪れているが、それに合わせてイスラエル軍はシリアの首都ダマスカスから東へ50キロメートルほどの地点に設置されていた地対空ミサイルの発射装置を破壊したと発表されている。



地上戦でもイスラエル軍の優位は失われていると見られている。イスラエルが誇る戦車、メルカバ4がヒズボラの使っている対戦車兵器、RPG-29、AT-14コルネット、メティスMで破壊されていると伝えられているのだ。

サウジアラビアは自らが仕掛けた石油相場の下落で財政赤字に陥り、シリア侵略に失敗、軍事介入したイエメンでは戦争が泥沼化、苦境に陥った。そうした政策の中心グループにはビン・サルマンも含まれている。

ビン・サルマンはネオコンと同じように軍事力で相手を屈服させようとしているが、自国だけでなく、アメリカやイスラエルの軍事力を過大評価していたようにも見える。ウォルフォウィッツが1991年に口にしたプランを実現するためにはアメリカを引き込むしかない。

アメリカ軍はすでにシリア北部で十数カ所の軍事基地を建設、シリア政府の抗議を無視してそこに居座るつもりだが、イスラエルやサウジアラビアと連携してさらに新たな戦争を始める可能性もある。来年前半に予定されているイベント、例えばオリンピック、ロシアの大統領選挙、サッカーのワールドカップなどが利用されると懸念する人は少なくない。





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最終更新日  2017.11.24 01:20:08


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