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「サーベルは、この後、ここでは決して使うな!」
最初に口火を切ったのは、アパサの方だった。
「あんな軽い物を持っていたら、筋力がつかないばかりか、衰えるぞ。」
なるほど、それでこの重々しい棍棒を使えと…アンドレスは、納得した。
「これからは、その棍棒をサーベルだと思え。」
アンドレスは頷き、改めて、アパサに与えられた棍棒を見下ろす。
サーベルは、長さとしてはほぼこの棍棒と同じ位だが、重さはといえば、せいぜい重いものでも2キロ半…、それに比べれば、この手にあるものは随分重い「サーベル」だった。
だが、アパサの意図についていくのみ。
アンドレスは、がっちりと、その重厚な鈍器を握り締めた。
「なぜ、おまえが弱いのか、わかるか?
アンドレス。」
アパサが初めて自分の名を呼んだことを、アンドレスは聞き逃さなかった。
アパサはアンドレスの答えも待たずに、「基本が全くなっていないからだ。」と、あの冷ややかな声で続ける。
そして、「武器を置け。」と指示して、アンドレスの1メートル程前に立った。
「まず、立ち方からだ。
構えるつもりで立ってみろ。」
アパサの言葉に素早く応じたアンドレスの立ち姿を、アパサは厳しい目でじっと観察する。
実際、アンドレスの場合、体型的なバランスはかなり良い。
きちんと、左右の足に等分の力も入っている。
アパサは頷き、「どうしたら、もっとバランスを高められると思う?」とおもむろに質問を投げてきた。
「重心を低めることでは?」というアンドレスの答えを、手で振り払うようにして、「そんな抽象的な答えではない。」と制してから、息を深く吸い込んだ。
「『気』を下に落とすのだ。
いいか、息を深く吸う、それを丹田にスッと溜める。」
アンドレスはアパサの指示のまま、実際にやってみる。
確かに、重心、というか、自分の中心が、すっと体の中央におさまる感覚がする。
アパサは再び頷いた。
「そうだ!
そして、地面をしっかりと足裏でとらえる。」
それから、「どうだ?地中からのエネルギーが伝わってくるのが感じられるだろう。」と、輝くような力の漲る眼差しでアンドレスの顔を覗きこんだ。
アンドレスは、これまでとは違うアパサの表情に、力強く頷いた。
武将としての自信に溢れた声で、アパサが続ける。
「そうだ!
そして、そのエネルギーを攻撃のパワーに転化するのだ!!」
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