雑記~愛息と過ごす日々の戯れ言~

雑記~愛息と過ごす日々の戯れ言~

青少年の主張

息子が発病した年の夏休み。

O市の「青少年の主張 作文コンクール」優秀賞に選ばれた姪の作文です。



「献血にご協力下さい」
   ○○小学校 5年 田中 明子(仮名)

 今年から幼稚園に通っている年少の弟と同い年のいとこ、それがM君です。
私の弟は6月生まれで誕生日が早い方なのですが、9月生まれのM君の方が弟より体が大きくて、力もある、とても元気な男の子です。
でも、そんなM君に今年ある悲劇が起こりました。
 それは今年の春、3月25日の事でした。
なんとM君は幼稚園の入園式を目の前にして白血病と診断されたのです。
正確に言うと「急性リンパ性白血病」と言って、血液のガンと言われる白血病の一種です。どうしてその病気にかかってしまうのか原因はわかっていません。
この病気は白血病細胞が血液の工場である骨髄、骨の中でいちじるしく増加するために、骨髄で正常な赤血球や白血球、血小板が造られなくなります。
そのため、M君は発症してから今まで、約5ヵ月の間に15回も赤血球や血小板などの輸血をしています。
輸血は、血液の成分が不足して体に障害が出ているか、障害が予測される時に補充するもので、原因の治療ではありませんがとても大切なものです。
 M君のお母さんや同じように入院している子どものお母さん達は、輸血をするのに必要な血液を提供してくれた人達にとても感謝しています。
M君のお母さん、私のおばは、頂いた善意を少しでもお返ししようと初めて献血をしたそうです。
おばはできるかぎり献血したいと言っていました。
私の母にも献血の協力に来ました。母は喜んで献血に行きました。
そのほかにも、おばは以前勤めていた会社を訪問し「献血に協力して下さい」とお願いしたそうです。
 献血ができるのは16歳から。今の私には献血はできません。
では、私に何ができるだろうと考えました。そして作文を書くことにしたのです。
この作文を読んでくれた人が一人でも多く献血をしてくれたらいいなと思います。
作文を書く事にした私は、献血について詳しく知りたいと思いました。
インターネットで調べたり、実際に埼玉県で1番大きい大宮献血ルームを訪ねたりしました。
 土曜日の朝、まだ献血ルームが開いていないのに、すでに8人の大人の人が並んでいて、その日、献血をするというおばは、何だかうれしそうでした。
献血ルームの中はとても明るくて、待合室には色々な本や献血した人のために、飲物の自動販売機もあり、どの部屋も、とてもきれいでした。
 ここにはどれくらい献血希望者が来るのか聞いてみました。
すると、土、日は約2百人平日は約170人くらいが来ると教えてくれました。
残念ながらその中の30パーセントくらいの人々は色々な理由で献血ができないのだそうです。
待合室にいる間、希望者はひっきりなしに受付をしていました。
 献血には二つの方法があります。
 一つは成分献血です。成分採血装置を置いて、自動的に血液中の血しょうや血小板だけを採取し、赤血球を返してくれる方法です。
最も回復の遅い赤血球を返してくれるので、体への負担が軽く、1~2週間の間隔でまた献血できます。
 もう一つは、すべての血液成分を採血する方法で、全血献血と呼ばれています。
 おばと一緒に採血室に入りました。
そこで働いている看護師さんは、ニコニコしていてやさしく説明してくれました。
血液は体の外に出ると固まってしまうので、機械で混ぜながら採血すること。
あちらこちらで「ありがとう」の言葉が飛びかっていました。
 ずっと説明をして下さった赤十字血液センターの人に聞いてみました。
「この仕事は楽しいですか。」と。
「はい。楽しいですよ。献血をして下さった皆さんが満足してお帰りになってくれたらいいと思って仕事をしています。」
 皆さん、どうぞ献血にご協力下さい。


(原文は、20字20行の原稿用紙4枚に、縦書きで書かれたものですが、読みやすくするために改行をしています。 )


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