三昧境(さん・まい・きょう)~自分らしさを鍛える、利かす、そして愉しむ~

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一留学生が大統領就任式に思う。



2004年秋の大統領選、ジョージ・W・ブッシュが接戦を制して、悲願であった二期目の大統領を務めることになりました。

この大統領就任式の演説は後世まで語り継がれるものも多々あります。有名なところではリンカーンの奴隷解放宣言やJFKの『国があなた方のために何かするかでは無く、あなた方が国の為に何ができるか…』というのがありますね。

今回のブッシュの演説も後世語り継がれるものになるのだろうか…それとも、最低の大統領だという汚名が着せられるかは、彼の手腕にかかっているというところか。お手並み拝見。

ブッシュ大統領、就任式演説。



以下は、私なりの就任演説の解釈です。

少々長くなりますが、引用を用いながらブッシュの思想がいかに危険か考察してみたいと思います。

といっても、あくまでも解釈の問題で、支持している人にとっては心地好く聞こえるに違いません。私の偏見が入っていることを最初にお断りしておきます。

まず、キーワードを上げると、Freedom, Liberty, Democratic Movement,そして、America's idealになります。

ブッシュ大統領はあくまでもアメリカの自由主義を世界の隅々まで広げていこうと宣誓しました。


第二期はアメリカ的自由民主主義を伝播する活動に捧げるとことです。


それは、自由主義というのは、専制君主制なんかよりはいいわけです。


ここで問題が一つ、"expansion of freedom in the world"ということは自国の国境を越えて、アメリカの自由主義を広めますよってことです。

確たる決意をもってこれをやるそうだ。何か押し付けがましい気がしませんか。

このブッシュ大統領という人は、つくづく両極端な考え方しかできないみたいです。そりゃ、イスラム教の国々とは上手くいきません。

それぞれが同じ神様を信じていながら、ライバルですから。敵と味方という考えしかできないブッシュは、痺れを切らして武力を使うわけです。これが一神教の国の怖さですね。

幸いにして日本は同胞として勘定に入れられたようです…日本人としては喜ぶべきことなんですかね?

さて、どんな演説だったか。

Bush: "So it is the policy of the United States to seek and support the growth of democratic movements and institutions in every nation and culture, with the ultimate goal of ending tyranny in our world."

簡単に翻訳すると、B:『米国はデモクラシー運動と法規の発展を支えていくこと指針とし、究極の目標は打倒専制政治だ。』という感じです。

Institutionは規範という言葉で訳せますが、私はしつけや調教という言葉がシックリくると思います。

"This is not primarily the task of arms, though we will defend ourselves and our friends by force of arms when necessary. Freedom, by its nature, must be hosen, and defended by citizens, and sustained by the rule of law and the protection of minorities. And when the soul of a nation finally speaks, the institutions that arise may reflect customs and traditions very different from our own. America will not impose our own style of government on the unwilling. Our goal instead is to help others find their own voice, attain their own freedom, and make their own way."

それから、B:『腕にものをいわせるわけじゃない。でも、自分達自身と同胞は、必要とあらば武器を以ってして守るつもりです。自由というものは、自分達で選択しなくてはならない。そして、市民によって守られ、法規によって維持されなくてはならない。そして、遂に国の意思が自分で話し始めるときに、その自由の規範は、今までの習慣や伝統とは全く違ったものを反映しているはずだ。アメリカは望まぬ人たちに我々のスタイルを強要することはない。私達のゴールは、あくまでも、その望まぬもの達が自分達自身の声を聞き、自分達の手法で自由を維持することを手伝うことです。』


あれ?なんか、自由主義を徹底的に広げるといいつつ、押し付けませんなんていっていますね。なんか矛盾していませんか。

それから、切羽詰ったら『武器だって使うぞ』って宣誓までしています。ここまでくるとハチャメチャです。

いうことを聞かないなら、御仕置きしますよってことですね。


これじゃあ、ジャイアンです。

"Americans, at our best, value the life we see in one another, and must always remember that even the nwanted have worth. And our country must abandon all the habits of racism, because we cannot carry the message of freedom and the baggage of bigotry at the same time."

B:『アメリカ人は最善を尽くしてアメリカの自由主義を望まない人々の生活を価値のあるものとしてみなす努力をします。アメリカは人種差別をやめなければなりません。なぜなら、我々は自由と偏見という相反するものを同時に伝えることはできないからです。


アメリカは明らかに白人の国ですよ。それもキリスト教徒の国ですよと宣誓しているわけです。


つまりは、アメリカ人の定義は、WASP(White Anglo-Saxon Protestant)ってことです。


米国に住んでいるマイノリティーは差別の対象なわけで、それが依然事実として存在しているからやめましょうといっているわけです。


日本人が日本を日本人の国だと思っていることと一緒ですが。


実際、サラダボウルなんていわれるように、国内に他人種が住んでいて差別があるのに、他国に向かって自由は叫べないということです。国自体が矛盾しているのに、それを強要しているわけか…解せないですね。

"We go forward with complete confidence in the ventual triumph of freedom. Not because history runs on the wheels of inevitability; it is human choices that move events. Not because we consider ourselves a chosen nation; God moves and chooses as He wills. We have confidence because freedom is the permanent hope of mankind, the hunger in dark places, the longing of the soul."

B:『我々は確たる自身を胸に前進し、遂には自由の美酒を味わうはずだ。歴史の成り行き上避けられないというわけではなく、人間自身の選択としてこの試みに挑んでいこう。我々が自分勝手に選ばれた国だと考えるのではなく、神が大いなる神の意思として我々を選んだのです。自由とは、迷える子羊、救いを求める者、人間自身の恒久な希望であるから、我々は自信をもって前進しましょう。』


やっぱり、神様のお導きなんですね…ブッシュ大統領が一神教の教義を振りかざす限りは、この世から戦いや憎しみがなくなることは無いでしょう。主義を押し付けることより、違いがあると知り相手を受け入れるという考えの方が人類が望む世界に近づく気がしますが。

数日前にマーティンルーサキングJr.の記念日がありましたが、彼が尊い命をかけて広まったはずの非暴力主義はどこへいったのやら。

相手の暴力すら無抵抗で受け入れ、遂にアメリカは変わったはずじゃないのかなぁ。


これも私の押し付けといわれればそれまでですが…


さて、私自身は、まだこの演説が良かったのかどうか答えを出してはいけないかもしれません。もしかしたら、言葉の表層だけを追って、ブッシュの主義を判断している可能性がありますから。

だから、時間を置いて少し突っ込んで考えてみたいと思っています。


でも、もう一つだけ引用を使って、今日の日記を綴じたいと思います。

『ショーシャンクの空に』という映画があります。結構人気のある映画だと思いますが。

エリート銀行マン(ティム・ロビンス)が濡れ衣を着せられ、刑務所にぶち込まれる。そこには、社会のゴミとして集められた多くの囚人達がいます。黒人のレッド(モーガン・フリーマン)も、長く刑務に服している囚人の一人でした。ある日、年老いた囚人のブルックが出所を許されることになります。しかし、ブルックは長く刑務所にいたために社会復帰が怖くなって、パニック状態になります。結局、この老人ブルックは、出所後自分の命を絶つことになるのですが…


銀行マンのアンディーと黒人レッドは、刑務所の高い壁の中でこんな話をします。


Red: These walls are kind of funny. First you hate 'em, then you get used to 'em. Enough time passes, gets so you depend on them. That's institutionalized. They send you here for life, that's exactly what they take. The part that counts, anyways…

レッド、『これらの壁は、ある意味面白いんだ。最初は、嫌いだけど、そのうちに慣れる。そして、壁の中で充分の時を過ごすと、終いには壁無しではやっていけなくなるのさ。そう、つまり調教されちまうわけ。壁はお前を一生ここにつなぎ留めておくことになる。そう、壁ってのはそのためにあるんだよ。』

囚人は慣れてしまえば、壁の中でも自由を感じることができるようになる。壁の中の慣習を受け入れてしまいさえすれば。

その後、アンディーは命をかけた賭けに出ます。そう真実の自由を求めて、壁の外へ。



もしかしたら、自由主義という法規、規範が私達を調教するようになるんじゃないか…ムチをもって、しつけようとするんじゃないか。そんな、ブッシュ大統領の就任演説から、そんな恐怖を感じました。


ブッシュさん、貴方こそ独裁者みたいですよ…

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