だっちん堂(死ぬまでガンダマー?)

だっちん堂(死ぬまでガンダマー?)

ちょっと書いてみた(^^;)(09/28)



 JCNはOSからハードウェアまでを扱う日本の巨大コンピュータ会社で、民生品から軍需品まで幅広く手がけている。またハードウェア全てを自社生産で賄える数少ない企業でもある。その起源はUC以前と古く、コンピュータ用汎用OS「FORON(*1)」の研究グループが発端と言われている。

 通常の商品開発は別に、JCNは巨費を投じて人工知能研究を行っていることでも有名である。大型コンピュータ「EVER GREEN」とヒフミ・ハニュウ竜王(*2)の30日間連続の将棋対決は当時の新聞で大きく取り上げられた。注目すべきは「EVER GREEN」は「将棋の基本ルール」のみしかデータ入力されていなかったことである。対決当初は当然ながら竜王にかなうはずもなかったが、終盤・・・特に最後の3日間における対戦成績では2勝1分と驚くべき結果を示している。「EVER GREEN」は対局を重ねる毎にパターンデータを蓄積していくタイプのコンピュータだが、蓄積と同時にデータの解析を行い、相手のパターンを予測しながら成長していく。これが30日間という短期間で成長した理由である。JCNが何故この様な研究に巨費を投じたのかは定かではないが、一説には「コンピュータに人格を持たせるのが最終目的だった」とも言われている。

 JCNの功績の中で軍事評論家達が注目すべきはなんといっても光統合回路(*3)を使用した自己教育型コンピュータ「AKI-X78000(通称:GeniusBaby)」であろう。これはかの有名な「RXシリーズ(*4)」のコアユニット「FFX-7(通称:コアファイター)」に搭載されたコンピュータである。ことRX-78-2「ガンダム」に関してはそのパイロットがクローズアップされることが多いのであるが、教育型コンピュータなくしてはガンダムは有り得なかったであろう。


 軍から教育型コンピュータ開発の委託を受けたJCNであったがその開発は困難を極めた・・・と書けば面白いのかもしれないが、実際のシステム(要するに箱)開発自体は「熾烈」といったものでもなかったらしい。実はJCNでは従来型での処理速度に限界を感じており、「臨界半透体(*5)」を使用した新しいタイプのコンピュータの研究を行っていたのである。委託時点で既に実用化の目処は立っており、MS用OSは鹵獲したザクのものが参考に出来た。またこの手のシステムで障害になる「フレーム問題」についても、長年の人工知能研究の成果から(力技ではあるが)解決していた。

 つまり「光統合回路を用いた教育型コンピュータ」という仕様は純粋に軍の要求というよりは、軍関係者がJCNの光統合回路や人工知能研究に注目したからこそ決まった仕様なのであろう。故にJCNによるこの手の研究および成果が先になければ、RXシリーズに教育型コンピュータが搭載されることはなかったと言っても過言ではない。となれば歴史は大きく変わっていた可能性もある。

 話をもどそう。教育型コンピュータの開発にあたって問題になったのはどちらかと言えば「基本動作パターンデータ」であったと言う。いくら教育型コンピュータと言えど、「歩く」等の最低限の基本動作は予め行えるようにしておかなくてはならない。このデータは古い手法ながら「モーションキャプチャー(*6)」を用いて作成することになった。基本動作パターンのモデルには歩兵の中から動作に癖のない者が選ばれ、1ヶ月かけてデータが採取された。そのデータは3ヶ月かけて左右バランス等を調整され、ようやく使用できるデータが出来上がった。

 当時の開発担当者はこう語る。「システム構築ではなくてデータにあんなに手間がかかったのは後にも先にもあれっきりだよ。えっ?もう一回やれと言われたらどうするかって?迷わずその場で辞表を書くよ。」どうやらデータ修正という単純作業はかなりきつかった様だ。また彼はこういって笑ってみせた。「でもMSが人型で助かったよ。人間を使ってある程度の動作パターンデータを作ることができるからね。もしMSがクモ型だったらと思うとぞっとするねぇ。」


 こうして完成した教育型コンピュータはRXシリーズに搭載され、蓄積された膨大なデータは後のMSにも利用されたのはもちろん、後のMS開発にも大きな影響を与えた。この手のシステムはコスト面からその後の一般型MSには搭載されていない。しかし今でも、教導部隊用MSに搭載され、戦技データの作成に貢献しているのである。



(*1)FORON
>ある大学の研究グループが開発した汎用OS。非常に軽く堅牢なOSであり、現在の様々なコンピュータに採用されているOSはこの子孫にあたる。

(*2)ヒフミ・ハニュウ竜王
>当時無敵と呼ばれた将棋名人。事実、対戦で負けたのは「EVER GEERN」との2戦だけである。

(*3)光統合回路(G.M.O)
>高光度透過型と高光度反射型の臨界半透体(*5)を組み合せてスイッチとする技術を利用した統合回路。

(*4)RXシリーズ
>RXシリーズというと幾つかのバリエーションが存在するが、ここでは後の第13独立部隊のRX-78-2(→3)、RX-77-2、RX-75を指す。

(*5)臨界半透体
>照射される特定波長の光を、その密度によって透過あるいは反射する物質。光統合回路(*3)、レーザー光発生および防御といった分野で使用されている。

(*6)モーションキャプチャー
>病院などの医療機関で人の動きを取り込んだり、スポーツ医学の研究をするために利用されている。人間の関節部分や頭部等に“マーカー”と呼ばれる器具をとりつけ、動きをデータとして取り込む。

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