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『 子どもは「ママを選んで生まれてきた」
生まれる前の記憶を調査するうち、私は不思議な「記憶」と出会うようになりました。
胎内記憶、誕生記憶にとどまらず、「お母さんのおなかに宿る前」について語る子供がいるのです。
幼い子どものファンタジーと思われるかたもいるかもしれません。
ところが、不思議なことに、子どもたちが語る世界は、細かい部分は違っていても、いくつかの共通するイメージがあるのです。
おなかに宿る前は、「雲の上」のような、ふわふわとして安らぎに満ちた世界で、自分と同じような子どもと一緒にいたこと。
天使や神さまのような存在に、優しく見守られていたこと。
そして、自分の意思で生まれることを決め、お母さんを選んで、この世にやって来たということ、などです。
たとえば、子どもたちはこんなことを語っています。
「雲の上には、数えきれないくらい赤ちゃんがいっぱいいて、天使みたいに羽がついているの。リーダーみたいな天使がいて、その人は赤ちゃんにはならない天使で、『お母さんを選んでいい』って教えてくれるの」
「お空から見ていて、あの人がいいなと思ったら、おなかに入るんだよ。ママはベランダにいたから、飛んできて入ったよ」
「優しそうなお母さんを見つけて、おじさんに『あの家がいい』と言った。それで生まれてきたんだよ」
「空の上から、弟と一緒にお母さんを見ていたよ。ぼくが『先に行くね』と言って、生まれてきたの」
もちろん、こういった記憶を証明することはできません。
けれど、私は、それらを科学的に立証するより、もし子どもたちの語る世界を受け入れるなら、子育てや生き方がどんなふうに変わっていくかに関心があります。
お子さんから「ママを選んで生まれてきた」と聞いたお母さんは、
「それまでは、わが子なのだから自分のもの、という思いがどこかにありました。けれど、あの子が自分の意思で生まれてきたと聞いて、子どもは一人前のたましいであり、尊重しなければならないと感じました。子どもが私を信じて来てくれたのだから、それに応えていきたいと思います」
と感想を述べられています。
子どもたちがお母さんを選ぶ理由は、それぞれ異なります。
「優しいお母さん」「かわいいお母さん」が人気ですが、「寂しそうなお母さん」「泣いているお母さん」を選ぶ子どももいます。
そういう子どもたちは、
「ぼくが来たら、ママはさみしくないかなと思ったの」
「ママに笑ってもらいたかったから」
と、語っています。
私は多くのお子さんの話から、子どもはお母さんが大好きで、お母さんの役に立ちたいと願っている、と考えるようになりました。
これは私の仮説なのですが、おそらく、子どもはお母さんに「愛」というプレゼントをもって、雲の上からやってくるのです。
子どもは、お母さんがそれに気づいて、日々をほほえみで満たしてくれると、「お母さんの役に立てた」という自信をつけます。
そして安心して、今度は「もっと広く人の役に立つ」という、次のステップに踏み出すのだと思います。
お子さんは、親子という人生のパートナーを組むにあたり、あなたを最高のお母さんと信じて、宿ってくれたのです。
そんなふうにイメージすると、子どもを授かった喜びを、より深く感じることができます。
子育てに自信を失いそうなときも、気持ちが少し軽くなるのではないでしょうか。
そして、もう一歩踏み込んで、もしかしたら自分も親を選んで生まれてきたのかもしれない、と想像してもらいたいのです。
「とんでもない、あんな親を好んで選ぶはずがない」と、反発するかたもいることは、よくわかっています。
けれど、生まれる前の記憶によると、赤ちゃんは「険悪な家庭に和(やわ)らぎをもたらしたい」という理由でも、お母さんを選ぶことがあるようなのです。
難しい家庭に生まれてきたかたは、そんな勇気あるたましいなのかもしれません。
子どもはあなたに大切なことを伝えるために生まれてきた。 「胎内記憶」からの88のメッセージ (青春文庫) [ 池川明 ]
産婦人科医の池川明氏は、「胎内記憶」の日本の第一人者。
3500人の胎内記憶調査の実績がある。
その調査によると、胎内記憶は33パーセントの子どもが持っているという。
そして、記憶の保有率に最も大きな影響を及ぼしていたのは、「お母さんがおなかの赤ちゃんに話しかけていたかどうか」だった。
お母さんによく話しかけてもらっていたお子さんは、胎内記憶の保有率が高いことが分かった、という。
ドラマや映画などで、親に向かって「頼んで生まれてきたわけじゃない!」と毒づくシーンがある。
しかし、そうではなくて、「(自らが)親を選んでこの世に生まれてきた」とするならば、すべてのことまったく変わってくる。
親のせいにしたり、まわりや環境のせいにすることはできなくなるからだ。
何故なら、自らがその親や環境、を選んできたから。
嫌なことも、つらいことも、面倒なことも、トラブルも、すべて自らが自分の成長のために選んできた。
長い人生のシナリオや脚本を前もって自ら書いてきた、ということ。
子どもは「ママを選んで生まれて来た」。
子どもからの大切なメッセージを大事にしたい。
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