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2006/06/03
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ディー判事シリーズの3作目,時代順には1番目になる

ロバート・ファン・ヒューリックの「中国黄金殺人事件」
(The Chinese Gold Murders,1959)

を読んだ。

663年春(正月頃だと思う)。
狄仁傑(ディーレンチエ)が知事として初めて山東省の海辺の都市である平来(ポンライ)に赴任したときの話で,彼の名判事としての経歴はここから始まることになる。

副官も最初はもとからディー家に仕えていた洪亮(ホンリャン)だけ。
途中で馬栄(マーロン)と喬泰(チャオタイ)が加わることになる。そのくだりは読んでのお楽しみ(笑)だが, ディー判事と剣を合わせたのは最初にマーロン,あとがチャオタイ 。ディー判事の 剣術の腕もなかなかたいしたものである

なお,まえがきに喬泰(チャオタイ)が661年の戦役に百人の兵士を指揮する隊長として参加したことがあった,とあるのは 「中国迷路殺人事件」 →こちらから )に出てきたディン将軍が率いていた北方国境での戦いである。

今回は明代の挿話ではなく,首都でのディー判事送別の宴から始まるが, これが,意外な伏線になっているので,要注意(気づかず,くやしかったので,蛇足ながら,笑)

3つの事件
→「そりゃないでしょ」に近いトリックではあるが,読んでいくと妙に納得してしまう。
「迷路」のディン将軍殺人事件同様密室殺人。

花嫁失踪事件 →裕福な商店経営者クーモンピンの妻が父のツァオ博士を訪問した帰りに行方不明になり, 殺されたと思われたが,死体が消えてしまう

顔役ファンの殺害事件 →政庁の主任事務官ファンチェンが州都に行ったまま行方不明。 死体が発見される

以上の事件の背景には,朝鮮との貿易で栄える海港都市という地域事情による 金の密輸入と首都にいる陰の黒幕の存在 があるのだが,前2巻と違って,ディー判事はなかなか真相にたどり着くことができない。


しかも,「 彼よりさらに700年前,漢王朝のもっとも偉大な探偵ユー判事の話を題材にした旅芸人の芝居を見て事件解決の手がかりを教えられる 」という設定は心憎いばかりである。

馬栄(マーロン)と喬泰(チャオタイ)も今回は密偵としてまだまだ未熟。酒場に行けば自分たちが役人であることをすぐにばらすし,生かしておけばいろいろ聞けた証人を殺してしまうし……
もちろん,彼らも「緑林の兄弟」から政庁の仕官になって1週間とたっていないだからしかたないのだが(笑)

今回は怪異譚も混ざっていた。
人喰虎
ファンチェンを愛してしまったこととともに,虎に変身してしまうという宿命をもった上級書記官タンが哀れさが 美しく書かれていたように思う。

ワン知事の幽霊
タン上級書記,首都からの調査官,ディー判事らが政庁で見た幽霊は, プオカイが正体を現すことによって合理的に説明できたのだが ,白雲寺でディー判事を救った幽霊 については,「怪異」のまま残された
儒教の徒として,どんなに「怪異」に見えようと合理的に説明できるものはあくまでもその合理性を求める,しかし,説明できないものの存在も認めるというのがディー判事の姿勢であり,作者のスタンスでもある。

副官たち
洪亮(ホンリャン)
若い頃,ディー判事父親の従者をしていた。

馬栄(マーロン)
江蘇(キアンス)省の出身で父は貨物用のジャンクをもっていた。護衛として地方知事の軍隊に入り,知事を殴り倒して逃亡。

喬泰(チャオタイ)
判事との出会いとともに,判事の剣「雨龍(300年前につくられ,200年間ディー家に伝わる)」とも出会う。
「剣によって私が死ぬべく定められている運命であるのなら,私の血で洗われるのがこの剣であるように祈る!」との言葉は 「南海の金鈴」で現実のもの となる。
最初に入った食堂九花果園の亭主(片腕の男)はチャオタイのかつての部下だった。

陶侃(タオガン)
未登場。

なお, 「五色の雲」 (日記は →こちらから )の最初の3話は,この事件から1年以内のできごとを扱っている。

時代,場所,登場人物などをフリーページの ディー判事メモ に簡単にまとめてありますので,ごらんください。
ロバート・ファン・ヒューリックの他作品についての日記は,フリーページ  読了本(海外)  (ロバート・ファン・ヒューリック)からごらんください。



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Last updated  2006/06/03 12:55:17 AM
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