留学のすゝめ

留学のすゝめ

2005.04.12
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カテゴリ: カテゴリ未分類
前回のブログでは、

アメリカでの第一歩として、まずは、
Community College(以下、コミカレ)へ進学するべきだという話をしました。

かなり長い議論をしたわけですが、
それでも、
細かい議論に関しては、言い足りない部分が残っていました。

そして、今日、CAT0857さんが、
僕が提示した戦略に対して興味深い投稿をしてくださいました。


このブログを読んでくれているみたいですし、
僕としては、このブログ上で、
留学に関する誤解や疑問を出来るだけ解消していきたいと思っていますので、
今日から数回は、次のテーマに進まずに、
CAT0857さんの質問に回答する形で話していきたいと思っています。

そして、今回から数回の議論を通じて、
僕の名門大学に入るための留学戦略論を、
より深いレベルで理解していただけることを願っています。


では、質問から読んでみましょう。
(一部改編しました。真意と違う場合は知らせて下さい)

<前回の留学戦略論についてですが、

<逆に、選択肢を狭めてしまうケースもあると思います。

<例えば、有力私立大学の中には、
<そもそも編入生をほとんど受け入れていない大学があります。
<カリフォルニア(以下、CA)州に限って言えば、
<UCバークレーやUCLAなどの名門州立大学は、

<積極的に受け入れているという理想的な状態なわけですが、
<一方、有力私立大学への編入を目指す場合には、
<それほどスムーズに編入が進められない可能性があります。
<それは、ある州のコミカレから他の州立大学へ編入の場合にも
<同じ障壁があると言えるのではないでしょうか。

<ですから、
<名門大学に入学するために、コミカレに進学するべきだという戦略は、
<有力私立大学への進路を閉ざすことになる可能性もありますし、
<他州への編入も上手くいくとは限りません。
<以上から、
<この戦略は、CA州のような、
<編入制度が盛んな名門大学がある州だけに限定した方がよいと思うのですが、
<どうでしょうか?


この質問に対して、
今回から数回にわたって議論・回答していくわけですが、
今回は、「名門・有力私立大学」に的をしぼって議論を進めます。

「州立大学」の編入制度については、
編入の仕組み(私立大学の事も含めて)の詳細を説明しながら、
次回に、そのカラクリを明らかにします。

それでは、はじめていきましょう。


最初に、あらためて僕の結論を述べておきます。

「留学生は、”名門大学”に入るためにコミカレに進学するべきである」

前回と同じ結論です。

しかし、今回は、
この結論を、留学戦略論としてより説得力を持たせるために、
より緻密な議論をひとつひとつ積み上げていくつもりです。
長くなると思いますが、頑張って読んでいただきたいです。
僕も出来るだけ分かりやすく説明するつもりですので。


私立大学についての議論のポイントは、以下の通りです。

○パターンA(名門・有力私立大学)
Case1:私立大学にフレッシュマンとして入学する
   →非常に困難
Case2:私立大学に編入する
   →非常に困難
論点:Case1とCase2のどちらが入学できる可能性が高いのか?
結論:編入の方が入りやすい(まだマシ)

○パターンB(そのほかの私立大学)
 *これらは、僕の戦略論にはあてはまらない大学ですが、
  参考までに載せておきます。

:Type1
Case1:私立大学にフレッシュマンとして入学する
   →やや困難(SATがある)
Case2:私立大学に編入する
   →困難ではない(コミカレ生は、たいていSAT免除)
∴コミカレに入るべき

:Type2
Case1:私立大学にフレッシュマンとして入学する
   →困難ではない(TOEFLのみ)
Case2:私立大学に編入する
   →困難ではない
∴コミカレに入るべき(∵第4回参照)

:Type3
Case1:私立大学にフレッシュマンとして入学する
   →困難ではない(TOEFLのみ)
Case2:私立大学に編入する
   →やや困難(あまり編入生を受け入れない)
∴コミカレではなく、私立大学に直接入学するべき
 (ただし、これは、僕の戦略論の対象大学ではありません。
  ”一流大学”で、こんな形態の大学はありませんから)


では、本論に入りましょう。私立大学についての議論です。

質問にあるように、
一部の名門私立大学では、
編入生の受け入れは、ごく一部しかやっていない現状があります。

しかし、「0」ではありません。
ハーバード大学を例にとると(HPより)
昨年度は、1000人以上の受験者に対して、
55人の学生しか編入生として受け入れていません。
確かに、厳しいですね。
これが、名門私立大学の編入試験の現状です。
でも、僕に言わせれば、
これは、55人も取ってくれているとプラス思考で見るべき数字です。

次に、話をフレッシュマン入学にうつします。
よくよく考えれば、このような名門私立大学には、
SATを受験する必要があるなど、
フレッシュマンとして入学するのもかなり難しいのです。
(詳細は、第4回参照)
そして、ここでの論点は、
フレッシュマン入学の方が困難か、
それとも、編入生として入学する方が困難か。

答えは、フレッシュマン入学の方が、困難なのです。
なぜなら、日本人高校生が、
実際にSATの合格基準点を満たす事が出来たとしても、
フレッシュマンとして入学するために、
日本人高校生に立ちはだかる次なる大きな壁があるのです。

それは、アメリカのエリート高校生のGPAが、
みんな4.0を超えているということなんです。
僕たちの認識では、GPAって4.0が最大のはずですよね。
ところが、
アメリカの高校生には、
誰もが知っているGPA4.0越えの秘策が、いくつか用意されているんです。

まずは、アメリカの高校生が、
高校に通いながら、大学で単位を取ることができるという制度。
例えば、夏休みなどを利用したりして、
僕たちと同じように、大学のクラスを履修するわけです。
そして、僕たちと同じように成績をもらう。
しかし、カウントの仕方が、違うわけです。

  実際受け取ったグレード    高校の成績証明書にのるグレード
     A(4.0) →       (5.0)
     B(3.0)      →      A(4.0)
     C(2.0)      →      B(3.0)
     D(1.0)      →      C(2.0)

ご覧になっていただくと一目瞭然ですね。
1.0ポイント自動的にアップするんです。
つまり、高校の成績がストレートAで、
高校在籍中に、一つのクラスでも大学でAを取れば、
GPAが4.0を超える仕組みになっているわけです。

次に、Advanced Placement Program(通称AP Program)という制度です。
(http://www.collegeboard.com/student/testing/ap/about.html)

これは、高校で受けることが出来る、
自由選択制のハイレベルな授業の一種だと思ってください。
(クオリティも学問領域も、大学のacademicレベルに設定されています
 詳しくは、上記HPをご覧になって下さい)
 ただし、授業に通わなくても良い仕組みも利用できます)
型式こそ、高校での授業と同じようなものに見えますが、
成績の評価は、
政府が作った統一テストの結果のみで判断されます。
イメージでいうと、
日本のセンター試験をハイレベルにしたようなものでしょうか。
そして、AP Programの統一テストを受験した学生は、
GPA換算すると、
最高5.0、最低1.0のグレードを獲得できるのです。
これも同様に、GPAが4.0を超える仕組みの一つです。

あと、高校で受けることが出来るhonor programなどもありますが、
ここでは省略します。


これらの事から、
僕が言いたいことがおわかりになっていただけたと思います。
それは、ズバリ、
フレッシュマンで入学することは、
編入で入学するよりも、ハードルが高いということなんです。
なぜなら、GPAという点においてすら、
アメリカのエリート高校生に、勝つことは出来ないんですから。
(SATで勝つことは、もっと難しいですよ)
(編入の場合は、
 コミカレ時代の成績が選考に利用してもらえるだけ、
 日本人にとっては、まだマシなわけです。
 しかも、編入時のパーソナルエッセイの中で、
 英語力がなかったから、
 最初はコミカレにしか進学できなかったとアピール出来ますしね。
 その上、コミカレでは、
 四年制大学に比べて、ある程度、時間的余裕があるわけだから、
 インターンやボランティアなど、プラスアルファの点数稼ぎも可能です)

以上の議論から、
名門私立大学を目指す場合でも、
やはり、コミカレに入学するべきなんです。

*ただ、僕の友人のように(第4回参照)
 名門私立大学に、フレッシュマンで合格する人もいるので、
 不可能ではありません。
 一般的な高校生に対して、
 確率論的に考えたときに、編入の方が”少し”可能性が高いということです。
(アメリカの私立大学への入学には、
 その大学との両親や親戚などの縁故の関係や、
 両親の収入や寄付関連の問題など、
 色々と考慮しなければならないことは、まだまだあるのですが、
 ここでは、その議論は省きます)

*あと、(中堅四年制大学)→(名門私立大学)
 の進学パターンを考えられる方もおられるでしょうが、
 これは、中堅四年制大学に入学した最初のセメスターから、
 オールAを取るのが、
 英語もままならない留学生には難しすぎると思いますので、
 議論から外しました。
 (第4回の議論を参照して下さい)


次に、名門私立大学以外の中堅私立大学に関しても、
せっかく場合分けをしたので、
コメントをしておこうと思います。

Type1は、入学時にSATを要求されるため、
入学が少し難しい私立大学。
ただし、名門私立大学ほどSATの合格基準点が高くないので、
合格の可能性は、大いにあると思います。
ただし、ギリギリで合格すると、
入学した後、授業についていくのにツライでしょうし、
前回議論したように、
コミカレをうまく利用する戦略をおすすめします。
(第4回参照)
ちなみに、こういう中堅私立大学は、
コミカレからの編入生には、SATを免除する所が多いですので、
(日本で有名なNYUなんかも免除です)
そういう利点をうまく利用しましょう。

Type2は、どちらの機会を狙ってもいいでしょうが、
このケースも、上の議論と同じく、
コミカレを上手く利用した方が賢いと思われます。
(第4回参照)

Type3:
このような私立大学の場合は、直接入学を目指してください。


ちなみに、
編入からの入学とフレッシュマンからの入学のどちらが難しいかは、
大学が発表している合格率を比較すれば、すぐに分かります。
編入生を取る気がない大学は、
編入生の合格率が、フレッシュマンの合格率に比べて、
明らかに、低いですので。
発表していない場合でも、
おそらくは、大学に問い合わせれば教えてくれるはずです。
(アメリカの大学は、メールや電話で問い合わせると、
 思ったよりも親切に回答してくれます)
あと、大きな日本の本屋に行けば、
そういう情報って、やたらと太い本にゾロゾロと書いてあるはずです。


というわけで、
最後にもう一度まとめたいと思います。


名門私立大学への進学を希望する場合でも、

「留学生は、コミカレに進学するべきである」


どうでしょう。

納得していただけたでしょうか。


ご意見・ご感想があれば、またこちらまでご連絡下さい。
ありがとうございました。





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最終更新日  2005.04.13 17:14:51
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