会社を辞めて旅に出た ~いつのまにか雲南定住~

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パダウン族(タイ)

タイのパダウン族(首長族)

パダウン族(首長族)の少女
村で一番首が長い女性
 チベット・ビルマ語族カレン族の一支族で、本来はミャンマーに住む。パダウンという呼称は、「真鍮をつけた人々」を意味するカレン語に由来している。パダウン族はミャンマー政府軍からの弾圧を逃れ10年ほど前にタイに移ってきた。メーホンソン周辺にはパダウン族の村(カレン族難民キャンプ)が3つある。彼らは観光客向けに土産物を売ったりして現金収入を得ているが彼らの暮らしは厳しいと思われる。また、タイ北部の観光資源としてタイ政府及び観光業者に利用されているこれらの村は、海外から「人間動物園」との批判もある。

パダウン族(首長族)の村を訪れるには

 タイ北部ミャンマー国境のメーホンソン県のメーホンソンから日帰りの距離。メーホンソンやチェンマイから旅行ツアーが多くあるが、私は自分で行くことを勧めたい。3つの村のうち北に位置するナイソイ村が最も行きやすいと思う。メーホンソンからは北東に40~50Kmの距離で、道路には標識(Long-necked Karen village)があるのでそれを辿っていけば大丈夫。村の入り口にはチェックポストがありそこで入場料250B(2002年当時)を支払う。メーホンソンからは バイクをレンタルするか(1日150B前後)、車をチャーターすれば良い(金額不明)。  物珍しさで彼らを訪れることもあるかと思うが、単に写真を撮るだけでなく彼らと話をしたりして彼らの置かれた状況を理解して欲しいと思う。また、絵葉書等の土産物を買うなどして彼らをサポートすることも必要だろう。個人的には、パダウン族を利用する観光業者にお金を払うのではなく(ツアーは出来るだけ使わず)、その分を彼らの土産物購入にあてたり、寄付したりするのが良いかと思う。

バダウン族の子供



<パダウン族(首長族)訪問で思ったこと>

カレン族難民の集落  2002年12月に私がナイソイ村(Ban Nai Soi)を訪れた時、パダウン族(首長族)、カヨウ族(耳長族)も含め四つのカレン族の人々がミャンマーから逃れて避難生活を送っていた。村の入り口にはパダウン族の土産物屋が、そして奥の方にはカヨウ族の土産物屋が続き、そこで集落は終わっていた。

 しかし、この集落にはあまりにも生活感が感じ取れなかったので不審に思い、まだ続いている道を数百メートル進むと、今度は土産物屋等のない本当の集落に到着した。集落内を歩いていたら、土手の斜面にある高床式の住居にいた男達から声がかかり、家に招かれた。ハシゴを上っていくと簡素な家の中には6、7人の男達がいて車座になって座っていた。中央には黒いプラスチックバケツが置かれていて、男達は木のストローのようなものを使い中の液体を飲んでいるようだ。当然のことながら私にも勧められた。一応そのバケツの中には何が入っているのか聞いてみた(男達の中に一人だけ流暢な英語を話す者がいた)。すると中にはライスワインが入っているという。ようするにドブロクのようだ。私も有難くストローに口をつけ飲ませてもらう。アルコール度数は低く、おそらくビール程度なのだろう。味も比較的あっさりしていて飲み易い。

ライスワインを飲む バケツの表面はバナナの葉で覆われていて中が見えないようになっているので、お願いしてそれをよけてもらった。すると褐色の液体の表面に米のようなものが浮いて見える。ちょっと見た目は良くないが、まあ本来の醗酵酒というのはこんなものだろう。そのライスワインを飲みながら英語の話せる男の通訳で会話を交わす。私が聞き出したところでは、この村には四支族のカレン族が住んでおり、8年ほど前からここに住んでいるらしい。そして彼らの置かれている状況を世界の人々に知ってもらいたいとも言っていた。そのため彼らは外国人がこの村を訪れることを歓迎すると・・・。なんとも複雑な心境になった。

ライスワイン ナイソイ村を歩いていたら、幾つもの住居が取り壊されているのが目立った。このことについても聞いてみると、タイ政府より別の村(別のカレン族難民村)へ移動することを命じられたらしい。この村人全員ではなく、パダウン族(首長族)とカヨウ族(耳長族)以外のカレン族難民がその対象だという。それで取り壊されている住居が多かったわけだ。しかし、「そのことは一体、何を意味することなのかな?」とふと疑問に思った。タイ政府は、彼らパダウン族(首長族)を北部タイの観光資源として利用している事実がある。彼らだけこの村に残し、他は別の難民村へと強制移住。これって、ひょっとすると「パダウン族(首長族)を観光目的に操りやすいように仕組んだのでは?」という疑問だ。実際のところはわからない。ただ、そんな気がしただけ・・・。

カヨウ族(耳長カレン族)の夫婦
カヨウ族(耳長族)の夫婦
 あまり長居するのもどうかと思い、頃合を見計らいお礼を言って失礼させてもらうことにした。それにしても、このパダウン族(首長族)日帰り訪問は、多くのことを考えさせられることになったのだった。

タイの山岳民族についてもっと知りたい方はこちらへ


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