アトリエ ヴェンテンのエネルギーアート

アトリエ ヴェンテンのエネルギーアート

銅版画ギャラリー

天使・精霊たちなど。


見えないけれど、天と地に、満ちているものたちの姿です。







あこがれ




あこがれを知るひとだけが 知っている
それがここに あることを
とおき日に ゆめみたことも
うまれるまえの 約束も
いまこの瞬間に この手のなかにあることを
あこがれをもとめて 旅をつづけながら
永遠という名のすべては 雨のようにふりそそぎつづけている








薔薇と真珠のケープ





瑠璃色のアラベスクのむこうに
かの女は 立っていた
薔薇と真珠のケープを纏って
琥珀の膚をおおうレエスのつめたさも
気高さを曇らせはしない
夜明けの星に導かれて
かすかなことばがその唇からこぼれた
その時眉のような月は
地平線の弧にようやく沈んだのだった








予感




てのひらに
ほしがおちてきました
かみさまからの あいずでしょうか
もうじゅうぶん うけとりましたが
まだ いただけるのですか
うけとればうけとるほど
もっとあなたは くださるのですね
よろこんで いただきます
わたしは もっともっと うけとっていいのですね










誘惑





天使は 自分が守っていたひとが死んでしまったので
かなしみにくれていた
次に守護すべきひとが待っていたのだが
サタンがささやいたのだ
守護の役目はもう終わりにして
人間に「闇」を教えておやり…
やさしい天使には それはできなかった
でも 人間をみちびくことも やっぱりもうできなかった
地上にも行かれず 天界にももどれず
天使はサタンの誘惑をふりきって飛びたっていった

今でもさまよっているその天使を
だれか見かけた方は おられませんか?









中世の恋人





わが恋人よ 牡鹿のように丘を越え
急いで わたしのもとに来てください
万朶の花のもと 香料と果実 珊瑚と真珠が贈られました
供は千人 裳裾は谷間の百合です
手をとりあって 祝福のしとねにやすみましょう
わたしたちの上に 永遠(とわ)に星々は巡り
水のように 時はながれるでしょう
わが恋人よ 急いでください
わかい牡鹿のように そして英雄のように 
わたしのもとに来てください










地霊





わたしは とおい 旅路をたどっていた
蝶のなきがらが 塚となって
荒野のそこここに 鬼火が燃えていた
暗い 地平線まで 鬼火は続いていた

仄白く また蒼く
ゆく道を 示すかのように…

決してたどりつけない 旅路のはてまで
ゆらゆらと燃える 鬼火を数えながら
わたしの背中は ついに荒野に消えていった
わたしは それをただひとり 見送っていた…










束縛




それは びろうどの罠
甘やかに縛られて 身動きもかなわない
豪奢なかおりにみちた 幽閉の塔
選ばれしものの 恍惚と絶望

地上に降りしひとびとは 約束をかわしていた
この地で わたしは思い出すでしょう
わたしが もともと 光だったことを
つばさも わたしは もっていたということを

けれど束縛は いかにも甘美にかおり
地上に降りしひとびとも いつしかその記憶をなくしてしまった…
そして 典雅な眠りのなかで 
今もめざめぬ夢をみているのだ











人々が眠る時花々は薫る






眼をとじて あまい夏の夜に佇む人は
花々とことばをかわしている
蜜が流れ しずくに星がやどり
樹液はのぼり 精は大気にみちる
つぼみは昼間のひかりを内にたくわえ
はじけるその時をまっている
やがて人々が眠りにつくその時
かぎりないことばたちは薫りとなって
なおいっそう 夜を満たす













受胎告知




漆黒のよる

聖なる存在が私に宿った

月はすでに無く 星も死に絶えたよるの空から

ひとすじの虹が 

私の胎内におりたのだ

そして私は満ちる 満ちてゆく…

いずれ私のみしらぬところで

虹はふたたび ゆるやかに弧を描くことだろう

その時月齢は新月

虹にそって 天体の巡りがはじまる

そしてその時から

空が満ちる 満ちてゆく…











雨のにおい





薔薇のなかに 息をひそめ
遠雷をきいている
翼あるものよ
地にみちては やがて
蒸散する雨とともに 大気にかえってゆく
そして あたたかい夜明けには
花の露となってふたたびもどってくるのだ
夜々が老いてゆくその時
その翼にはいつしか 星のひかりがやどっている













羽化





水のうえに はかなきものは たたずみ
うまれてきたことへの 不安にみちた恍惚
その存在の闇
罪も まだその身を おおいはしない

さいしょのはばたきで 
世界じゅうのパンドラよ
この世にあることの おろかなうつくしさをわらえ

しずくをぬぐい とびたつとき
すべてのイヴよ
楽園に また 失楽園にいざなえ

かのうつくしきはねが ちぎれ 散華のとき
堕天使たちよ
ひろいあつめて とむらいの列につけ












わたしをひていしないで





わたしを ひていしないで
わたしを ひていしないで

おれたつばさ みにくいからだ
とぶこともかなわず
ちを はいまわるだけ

それでも 

だめなやつだと いらないこだと
どうか ひていしないで
そのままでいいと なにもできなくてもいいと

わたしを うけいれて
どうか わたしを
わたしを ひていしないで











ラプンツェル





十五になったとき
ラプンツェルは塔のてっぺんに閉じこめられた。
美しいことは罪だったので。
ある時王子がやってきて、「美しいその髪をたらしておくれ」
と塔の下でささやいた。
ラプンツェルの黄金の髪をつたわって王子は登ってきた…。
王子はそれから毎日かよって来たが
ある時すがたが見えなくなった。
その後も何人もの王子が
ラプンツェルのもとへ登っていったが
ひとりとして帰ってきた者はいなかった。
何百年たったか誰にもわからないが
ラプンツェルの髪は今でも美しい黄金であるという。











ペルセポネ




くるぶし細きペルセポネ
かの 蹠(あしうら)の踏む処
かの すがたの 在る処
薔薇に サフラン 可憐な菫
たちまち咲き出で 薫りたつ

たとえ
季節が黒い喪服をつけて
かなしみに沈もうとも
いつかは 春の始まるときを知る

ペルセポネよ
そなたは 甦りのむすめ
死せる大地を いのちで満たす

かの 蹠(あしうら)の踏む処
かの すがたの 在る処
吐息 まなざし 微笑みさえも
花となり
また いのちとなって…
永遠の春は 産まれ続ける












オルレアンの少女





えらばれしものの こうこつ
けだかきしらゆりに あかき ちのにおい

うつくしき かみをおとして
したがってまいります

どこで はてようとも
なんどでも うまれかわって
このなつかしいふるさとに
かえってまいりましょう
てんしさまの たからかな がいかがきこえます

おみちびきを…
どうか ひかりのほうへ…











おとずれ




天からすずろなしらべ
かすかな羽音のような
なつかしい波動
ささやき そしてささやき… 
まぼろしだったのだろうか
空はわすれなぐさ色
つるばらは重く薫っていた
あれは
ゆびさきまで大気のつめたさが
染めあげた午後












Louis―生まれることをまっている魂





二人の天使が、空の上から、これから生まれる世界をながめていました。
女の子の天使が言いました。
「人間の世界では、わたしは世界一不幸な女の子になって生まれてくるから、
それをめじるしに、かならずわたしをみつけて頂戴ね」
男の子の天使は答えました。
「きっと、きっと、みつけるよ!
そして、人間になっても今みたいにずっといっしょにくらそう」

でも、女の子の天使は、人間になって生まれる瞬間に、
その約束をすっかり忘れてしまいました。
そして、世界一幸福な女の子になって、ほかの人たちと一生楽しくくらしました。

それで、男の子の天使は、女の子の天使に一生めぐり合うことはできなかったのです。












blessing




わたしが わたしの存在を だきしめる時
それは 祝福となる
おもいだせないほど とおいむかし
わたしは あなたの祝福を受けた
そのとき あなたは わたし自身となった
わたしが あなたの 祝福となった

よろこびは 地にみちていた そしてそこから 世界にみちていった

あなたが わたしを だきしめている
それは 
永遠のわたし かぎりないあなた






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