クラシック音楽リスナーの局(tsubone)

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June 4, 2006
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小生はどちらかといえばラジオ党で,テレビは注目番組を見る程度.別にテレビや映画がきらいなわけではないのですが,気がついてみたらラジオ党になっていました.それもどういうわけだかNHKしか聞かないのも偏狭かもしれませんが...日曜日は,朝8時,第1放送の「音楽の泉」で目覚め皆川先生のお話を聞きながら布団の中でまどろみ,9時にFMにうつり「20世紀の名演奏」,今度は黒田恭一先生の端正な語り口に耳を傾け...とFMと第1放送を行ったりきたりします.夕方はFMの「気ままにクラシック」を聴きつつ...最後はまた第1放送の「ラジオ深夜便」につないでお休みなさい...聞き流しなのですが,ときどき,ン?と聴き耳をそばだてるわけですね.

今日はその「音楽の泉」でブラームスのピアノソナタ第1番が放送されました.誰の演奏だったかは聞きそびれてしまいましたが,この曲は出だしが印象的なので,あ,あの曲だ,とすぐに思い出しました.以前このブログで,バッハのシャコンヌのピアノ編曲版が話題になったときに,ブラームスの左手用の編曲の演奏をご紹介したことがありました.アナトール・ウゴルスキーのCD2枚組みのアルバム「Johannes Brahms Die Klaviersonaten」(Deutsche Grammophon DG 449 182-2)です.このアルバムには,ピアノソナタの1番から3番とバッハのシャコンヌの左手用編曲,そして,「ヘンデルのテーマによる変奏とフーガ」作品24が入っています(ブラームスのハイドンバリエーションは有名ですが,ヘンデルバリエーションもあったのですね).このアルバムはお気に入りのひとつなので,第1番のソナタも聴いていたのでした(ちなみに,このアルバムを買ったのは,ヘンデルバリエーションがお目当てでした.その顛末はまたいずれ...).

このCDのライナーノートによると,作曲の着手は第2番のソナタのほうが早いのですが,第1番のソナタの方が完成が早く,こちらが先に出版されて第1番となったようです.ブラームスが19~20歳のときのことです.交響曲の完成はかなり年をとった後で,ベートーベンを強く意識してベートーベンの交響曲に引けをとらないものがかけるまで想を練った,という話はよく聞きますし,ブラームスの交響曲1番の終楽章の主題とベートーベンの交響曲第9番の終楽章の歓喜の主題の類似性がよく言われます.一方,このピアノソナタの第1番も出版当時,その始まりがベートーベンのハンマークラビアソナタと似ていると評されたようです.しかし,この曲の始まりを聴くと,ブラームスの若き日の気持ちの熱さとほとばしりを感じます.終楽章もそうですね.本当に熱いですよね...

その第1楽章の始まりはダイナミックな連打,そして女性的な主題へと,男性的な感じと繊細な旋律のコンビネーションがいいですね.曲全体を通じて,このダイナミックなところは,ドイツ的というか,まさにブラームス的というか,音がとても厚くこってりとした感じ.ここを綺麗に弾いてしまったら,ブラームスの曲として物足りなくなってしまうでしょうね.一方で,それと対比的な,まさしく繊細な旋律を弾くところは,非常に音楽を感じるものであってほしいと思います.その意味で,この曲は演奏するのがとっても難しい部類に属するのではないかと想像します.ダイナミックなところをバリバリ弾くだけで,繊細なところもそんな勢いで弾くのを聞いたらつまらないでしょうし,その逆もまたつまらないでしょうね.音楽表現のバリエーションをとてもたくさん持っていて,かつ音の厚さを十分に弾きこなせるピアニストでないと弾けないのかもしれません.ということで,リストやショパンなどと比べ演奏機会があまりないのかもしれませんね.いい曲なんだけんどなぁ~.

いまのところ,私が持っているCDはこのウゴルスキーのだけで,比較して聞いたことはないのですが,表現のバリエーションという意味では,十分満足して聴くことのできる演奏だと思っています.


薔薇.JPG
[写真]庭の薔薇はいまが満開.雑種なので一枝に小ぶりな花が多輪咲きです.





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Last updated  June 4, 2006 11:51:00 PM
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