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百万回生きたネコ・・




百万回生きたネコ   佐野洋子

あらすじ

 何度も好きなだけ生まれ変わることが出来るネコがいました。
自分の好きな生き方を求めて何度も生まれ変わりました。あるときは
王様のネコでした。あるときは、船乗りのネコでした。
 サーカスのネコにも泥棒のネコにもなりました。でもどれ一つとして
好きになれませんでした。
 あるとき、野良ネコになりました。全くの自由でとても楽しくなりました。
100万回も生まれ変わったのですから、どのネコも彼に夢中になりました。
 あるとき白いメスネコが彼の前に現れました。でもメスネコは、ネコに
興味を示しませんでした。ネコは一生懸命白いネコに気に入られるために
色んな事を話し、色んな事をして見せました。けれど、白いネコは「そう」と
言ったきりでした。彼はやがて多くを語らずに白いネコに

「そばに居てもいいかい」と訊ねました。
「ええ」と白いネコは答えました。(以下、原文)

白いねこは, かわいい 子ねこを たくさん うみました。
ねこは, もう,
「おれは, 100万回も・・・・・・。」
とは, けっして いいませんでした。
ねこは, 白いねこと たくさんの 子ねこを,
自分よりも すきなくらいでした。


やがて, 子ねこたちは 大きくなって, それぞれどこかへ いきました。
「あいつらも りっぱな のらねこに なったなあ。」
と, ねこは まんぞくして いいました。
「ええ。」
と, 白いねこは いいました。 そして, グルグルと,
やさしく のどを ならしました。
白いねこは, すこし おばあさんに なっていました。
ねこは, いっそう やさしく, グルグルと のどをならしました。
ねこは, 白いねこと いっしょに, いつまでも 生きて
いたいと 思いました。


ある日, 白いねこは, ねこの となりで, しずかに
うごかなく なっていました。
ねこは, はじめて なきました。 夜になって, 朝になって,
また 夜になって, 朝になって, ねこは 100万回もなきました。
朝になって, 夜になって, ある日の お昼に, ねこはなきやみました。
ねこは, 白いねこの となりで,
 しずかに うごかなくなりました。

ねこは もう, けっして 生きかえりませんでした


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