制止も聞かず4000人が道頓堀ダイブ





戎橋の上から、次々と飛び込む阪神ファン



 阪神優勝を待ちわびた浪速ファンは18年前と同様に大阪・ミナミの戎橋から道頓堀川に続々と飛び込んだ。橋の上には2000人以上が集結し、機動隊などの警察官300人の制止も聞かずに「道頓堀ダイブ」を強行。二人が頭に軽傷、3人が救急車で搬送された。大阪府警によると、16日未明までのダイブ者は昨年のW杯をはるかに超える4000人近くに達し、18年分のうっぷんを晴らした。

 「危険だからやめなさい!やめなさい!」「優勝や!最高や!飛び込まずにいられまっか~!」。警察による再三再四の制止にも耳を貸さず阪神ファンはやっぱり川に飛び込んだ。

 一人目のダイブは試合開始30分後の午後2時半ごろ。阪神勝利を確信しての“フライング”だった。さらに阪神がサヨナラ勝ちを決め、マジック1になった直後には「ウォー」と地響きに似た大歓声とともに若い男女が続いた。周囲も「六甲おろし」や選手別の応援歌を大合唱であおり、優勝決定前からお祭り騒ぎ。ライブ会場のような熱気と歓声に包まれ、警察が拡声器で注意する声を完全に消し去った。

 さらに午後7時半すぎにヤクルトが負けると大量の風船が舞い、ボルテージは最高潮。橋げたの両端は下着1枚のファンが鈴なり状態で順番待ち。真っ暗な川に次々と波紋ができ、ドボン!の音が続いた。

 戎橋は昼ごろから縦じまのユニホーム、法被姿の若者が占拠。「甲子園では勝率8割。きょう優勝や!」という信念のもと、徐々に橋の上は身動きもできない状態になったため午後5時半から通行止めに。入れなかったファンが今度は東西の橋に分散し、西側の御堂筋は6車線のうち4車線を封鎖。若者と警官が小競り合いをしたり、胴上げされて頭から地面に落ちてケガをする人も。付近の銭湯はダイブ者に対し「お断り」の張り紙をした。

 各テレビ局は夕方のニュース枠から大阪の興奮ぶりを伝えたが、飛び込む映像は自粛した。

 一方、兵庫の阪神電鉄尼崎駅前には約3000人が集まり、街頭でビールかけを行うなど、熱狂は各地で16日未明まで続いた。

  ≪カーネル人形は店頭から消える≫戎橋近くの「ケンタッキー・フライド・チキン千日前店」のカーネル・サンダース人形が15日、消えた。ただし危険を察知した店側が店内に移したもの。店前には「私、カーネルは阪神の応援に行っております。日本一になるまで戻りませんのであしからず」という張り紙。また道頓堀通りの名所「かに道楽」は午後5時55分にみやげコーナーを閉め、「くいだおれ」の人形も阪神の試合終了後、店内に入れられた。

 ≪周辺は閉店続出≫道頓堀内の各店舗はファンの暴徒化を恐れ、早々に閉めるところが続出。「かに道楽」も営業は続行したものの、みやげコーナーを午後5時55分に閉めた。「くいだおれ」のくいだおれ人形も阪神の試合終了後すぐに店内へ。常連客らとの祝賀会に出席という名目だった。また大阪松竹座は警察に協力。上演中の「阿修羅城の瞳」終了後、ロビーを警察官の詰め所として開放した。

 ≪各局で優勝の瞬間伝える≫18年ぶりの歓喜にテレビ局各局も、それぞれ阪神優勝の瞬間を伝えた。系列の関西テレビが甲子園の中継権を持っていたフジテレビでは、放送中の「世界柔道」を中断して胴上げと星野監督の優勝インタビューを完全放送。約20分間にわたって、甲子園球場の熱狂を伝えた。また、NHK衛星第1も放送していたメジャーリーグの試合を中断して、胴上げを中継。午後10・55分からは優勝特番も放送した。一方、「中日―巨人」戦を中継していたTBSでは、優勝を占う「横浜―ヤクルト」戦も同時に放送。優勝の瞬間は戎橋で歓喜する阪神ファンの様子を伝えた。また、NHK、日本テレビ、テレビ朝日も優勝決定のテロップを流した。



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