森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.05.23
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岡田尊司氏は子どもの教育という視点から、子供の特徴や能力を大まかに3つのタイプに分けておられる。
「視覚空間型」「聴覚言語型」「視覚言語型」である。

「視覚空間型」の人は、転がってきたボールをけったり、狭いスペースを自転車で通り抜けたりできる。
巧みにタイミングをとって反応したり、バランスをとりながら体を動かしたりすることが得意だ。
変化に即座に対応することができる。動いていないとテンションが下がる。
じっとしているよりも手足や体を動かすことを好む。行動的、活動的、運動的、体感的で失敗してもやりながらどんどん修正していろんな能力を身につけていく。
好奇心旺盛で、感性を大事にしていて、それをもの作りなどに活かせる。
体で覚えていくタイプである。反面暗記中心の講義型の学校教育は苦手な場合が多い。
人づきあいよりも、マイペースでわが道を行く傾向がある。


「たまがこうスッと来るだろう。そこをグゥーッと構えて腰をガッとする。後はバァッといってガーンと打つんだ」
これを手振り身振りで選手に説明していくのだ。視覚空間型以外の人にはよく分からない。
スティーブ・ジョブズ氏もこのタイプだった。コンピーターの知識はあまりなかったが、社会がどういう製品を求めているかという感性はすぐれたものがあった。

次に「聴覚言語型」の人は人の話をよく聞く。会話言語に強く、言葉の感覚にも優れていて、会話を楽しめる。会話の機微を解し、聞いた言葉もよく覚えている。
分からないことは誰かに教えてもらう方がよく頭の中に入る。
相手の気持ちを理解したり、場の空気を読みとったりするのが得意である。
したがって、コミュニケーション能力に優れ、特に相手の話に耳を傾けたり、共感したりすることに長けている。
いつも人の輪の中にいる。取り巻きをひきつれている。よく人の世話をしたり、めんどうをみている。
対人折衝能力、組織をまとめ上げる、人を使う、営業等で大きな成果を上げることができる。
オバマ大統領、岡田武史氏、小泉純一郎元首相のようなタイプだろう。
神経症でいえば不安タイプの人はこの方面の特徴を兼ね備えている人がいる。


「視覚言語型」の人はどういう人か。これは神経症のタイプに多い。
このタイプは文字言語には強いが、会話は苦手というタイプである。論理的な文章は頭に入りやすい。
具体的なものよりも抽象的な概念を扱うのが得意で、物事を論理化や図式化して理解するタイプである。
分析するのは得意だが、自分でオリジナルなものを作り出すのは苦手である。
とりとめのない雑談などは苦手である。特に、何か自由に話してください等といわれると困ってしまう。

記憶力がよく、ペーパーテストは強いので、学校の成績はよいことが多い。
活字の虫、本の虫の人も多く、自分の興味のあることはよく調べていて、知識も豊富である。
分析力、執着性、こだわり、論理的、思考的、完全主義、法則やマニュアル作り等に長けている。
こういう人は官僚、研究者、弁護士や税理士等のサムライ業等に向いている。
対人関係は苦手でマイペースを好む人である。
(子供が自立できる教育 岡田尊司 小学館文庫 32ページより一部引用)

本来この3つの資質のバランスがある程度とれているとよいのかもしれない。
手先が器用で、行動的である。人と上手にかかわっていける能力がある。理知的で物事をより深く掘り下げて考えることができる。
しかし世の中を見渡せばそんなスーパーマンのような人はなかなかいないようだ。
子どもの場合は、ある程度教育によって鍛え直すことは可能だと思う。
それは子供にクロールを教えるとよく分かる。手足の動きや息継ぎを教えるとそれなりに様になってくる。
ところが大人になってからクロールを習得することはとても難しい。
だから子供のうちに社会に出たときに困らない程度に教育していくべきだと思う。

でも大人になった人は、再教育は無理ではないだろうか。
大人の場合は、再教育よりは、自分の特徴を自覚した方がよい。
自分は3つのどのパターンに属しているのか。
神経質者はどちらかというと「視覚言語型」が多いいようである。
理知的であり、観念的であり、理想主義者が多い。考えることは得意だが、なかなか行動には移らない。
また対人緊張が強く、良好な対人関係を築くのが苦手な人が多い。

そういう自分を自覚すると、自分の得意な分野は磨きをかけて伸ばしていく。
神経質者は細かいことによく気がつく。感受性が強い。何でも熟慮することができる。
用意周到怠りなく準備をすることができる。粘り強い。責任感が強い。分析力が鋭い。
反省する力がある。大きな目標に向かってコツコツと努力することができる。
「視覚空間型」「聴覚言語型」の人にはないすぐれた特徴を持っている。
そこに焦点を当てて生きていく。さらに磨きをかけて伸ばしていく。

そして自分に不足している部分、苦手な分野は、「視覚空間型」「聴覚言語型」の人に任せる。
どちらも一長一短あるのだから、持ちつ持たれつで助けたり助けられたりするのがよいのではなかろうか。
結婚する場合も、仲間と仕事をする場合も同じ「視覚言語型」の人同士よりも、「聴覚言語型」あるいは「視覚空間型」の人と組む方がうまくいく可能性が高いのではなかろうか。
そういうスタンスで生活していく方がお互いのためであると思う。





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Last updated  2015.05.23 07:59:31
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