森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.11.26
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カテゴリ: 身近な社会問題
ローマ教皇が11月23から日本を訪問された。
24日には被爆地長崎と広島を訪問されて犠牲者に祈りをささげられた。
そして世界に向かって核廃絶を訴えられた。

核兵器のない社会の実現は全人類の願いであろう。
ところが現実問題としては、アメリカやロシアなどを初めとして何万発の核兵器が存在している。
また、新興国で核開発を急いでいる国もある。
さらに反社会的勢力が核兵器開発を進める危険性も今後ますます増加する。
もしそうなれば人類の滅亡は、にわかに現実のものとなる。

現在核兵器は、外交の強力な後ろ盾としてその存在感を誇示している。

持たない国は、核兵器を持つ国の同盟国となり、相当の負担覚悟で、庇護してもらう選択肢しかない。
唯一の被爆国である日本はまさにその道を歩んでいる。

核兵器のない社会の実現は全人類の願いであるにもかかわらず、それを声高に訴えれば訴えるほどむなしくなってくる。それは世界を支配している国々の支配者にとっては、まったく考えてもいないことだからである。もし核兵器を放棄すれば、たちまち力の均衡が崩れて他国に支配されてしまうという危機感があるからである。ですからこのままでは永遠に核兵器廃絶の時代はやってこないと考える。
むしろ世界のどこかで核兵器が使用されて、悲惨な状況を招く可能性が非常に高まっている。

私はこの問題を考えるにあたっては、人間や社会や大国の果てしない過度の欲望の追及が抑止されない限りよい方向には向かわないと思う。
歴史的に見ても、一人一人の人間、社会集団、国同士はいつの時代でも自己中心、エゴのむき出しであった。力の均衡が崩れれば、そのすきを見て、武力や経済力を背景にして、他人や他の集団、他国を攻撃して征服してきた。
征服された人たちは、多くのものを収奪されて悲惨な生活を押し付けられてきた。
自己中心の考え方は、人間に宿命づけられているのでどうすることもできないのだと思う。

ではどうすればよいのか。
子孫たちに喜んでもらえる社会を残していくために、私たちが取り組むことは何なのか。
それは森田理論の中にこそあると確信している。

現在の自分や社会や国が抱えた問題や課題を解決するために行動することは、人間が生きている証でもある。ただし、そのような欲望を持つということは、同時に不安も発生する。
普通はこれが抑止力となって欲望の暴走はくいとめられるようになっているのである。
森田理論でいう精神拮抗作用が自然発動するのが人間の普通の状態である。
ただ現在の社会は欲望に弾みがつきすぎて、抑止力が全く働かない状態になっている。
坂道でブレーキの壊れた車を運転し、さらにアクセルを思い切り踏み込んでいるような状態である。


環境破壊に対してもさえもその訴えはほとんど実現不可能の状態である。
別の道を模索したほうがよいと思う。
私は、全人類が森田理論の「欲望と不安」の学習を行い、欲望の制御機能を取り戻すことが必要だと考えるる。欲望と不安のバランスのとれた社会の実現こそが重要な時代に入っていると感じている。
それはまず個人個人で取り組んで、社会全体の共通認識にまで高めていくのが大切なのではなかろうか。

森田先生は人生観が変わらないと、本当の意味で神経症は治らないと言われた。
核兵器廃絶は、全人類が森田理論でいうところの「欲望と不安の関係」を学習して理解し実践していかないと、絵にかいた餅に終わることは自明のことである。





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Last updated  2024.04.07 17:43:58
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