森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.11.01
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カテゴリ: 行動のポイント
森田先生のお話です。

富士山の強力を職業としているものは、平常は百姓などをしていて、夏は強力になる。
毎年初めて登るときには、強力でもやはり、普通の人間であるから、人並みに足も痛む。
その翌日ははなはだしい時は、便所でも、こごめないほど、股やふくらはぎが痛いとの事である。もしここで休めば、2、3日で回復する。
しかし3日に一度登山するという風では、職業にならない。
しかたがないから、痛いのを我慢して、足を引きずるようにして、強いて登山を続ける。
そうすると、一週間ばかりもたつうちには、いつともなしに、足の痛みもなくなり、夏中続いて、その職業をやっていくことができるとの事である。
(森田全集第5巻 566ページより引用)

身体の痛みがある場合は、治療や休養をとって回復を図るのが普通の考え方です。

確かに痛み耐えて、仕事を続けことで、痛みがなくなる場合もあります。

この場合は、いきなり富士登山をするのではなく、1週間ぐらいかけて体を順応させてから、初めて強力の仕事に入るのがセオリーかと思います。
ただここで森田先生の言いたいのは、身体の痛みや精神的苦痛に影響を受けて、本来なすべきことから逃避してしまうというのは問題だということだと思います。
一時的な身体の痛みや精神的苦痛と格闘することは、百害あって一利なしということです。

プロ野球の監督で、「身体の悪いところがあったらすぐに申告してくれ。直ぐに休ましてあげる」と選手たちに言ったという。
プロ野球の選手は、シーズン中は移動が続き、遠征先ではホテル暮らしである。
生活が不規則になり、身体や精神が疲労困憊状態になりやすい。
そしてケガと隣り合わせの仕事である。また炎天下での連戦も続く。過酷な仕事である。
そんな時に、監督の言葉を真に受けて、気分本位になって「今日はどうも力が入りませんので休ませてください」と言ったらどうなるのか。
「よし分かった」と言ってもらえるかもしれません。
しかし監督は、そういう選手が相手と闘争心を持って勝負に向かう選手ではないとみなしてしまうのです。プロ野球の世界は、そういう選手を試合で起用するほど甘い世界ではない。

こういう態度ではプロ野球の世界では生き抜いていくことは不可能です。

10年以上も選手生活を続けている選手はどうしているか。
身体の疲れがある。けがを抱えている状態が普通の状態だと認識しているのです。
中には指の骨折を隠してまで試合に出るという選手もいる。
試合に出続けてこそ意味があると考えているのです。

つまり疲労感や痛みを押して仕事を続けているということです。
ケガは試合に出続けながら治していくという気持ちを持っているのです。
一度掴んだポジションは絶対に死守する。
自分と家族の生活はプロ野球選手の仕事を通して守り抜いていくという気持ちを持っているのです。

そのために、規則正しい生活を送る。食生活に気を配る。
野球以外の誘惑を断ち切る。贅沢三昧の生活には気を付ける。
寸暇を惜しんで、絶えず技術を磨いていく。
人の見ていないところで練習を積み重ねている。
つまり野球中心の生活を貫いている。
マッサージやストレッチなどに力を入れて、体のメンテナンスを念入りに行う。
ケガは仕事をしながら治していくことを考えて実際に実践している。
これらを淡々と繰り返している人たちが、過酷な勝負の世界で生き続けている。
我々はこれに学んで、不安を抱えたまま生活を維持していくという態度を崩さないようにしたいものです。





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Last updated  2020.11.01 06:27:15
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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