森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.02.19
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「ガスの元栓が締まっているかな」
「玄関や窓の施錠は大丈夫かな」
「エアコンや暖房機のスイッチは切ったかな」
こういうことにとらわれて何度も家に引き返して確認行為をする人がいます。

誰でも健康なときには、「閉まっている」という安全情報を「五感・無意識レベル」から入手していることが分かります。
ところが、自己否定感が強くなるにつれ五感への信頼感も希薄になるため、安全情報を「五感・無意識回路」からではなく「閉まっている、大丈夫」というように言葉を使って「思考・意識回路」から入手するようになっていきます。
その結果「閉まっていない」という反対観念の抵抗を受け何度も確認行為をする癖がついてしまうのです。(生活の発見誌 12月号 11ページ)

全くその通りだと思います。
これは脳の部位でいうと、必要以外のときにも前頭前野が出しゃばり出てくるということになります。ご存じのように前頭前野は人間以外の動物はほとんど発達していません。

そのおかげで人間は文明や文化を大きく花開かせることができたのです。
興味や関心、問題点、課題、目標、夢、希望などに対して、前頭前野をフル活用してきたからこそ可能になったのです。

もともと人間に備わっているものですから、今更なくすることはできません。
弊害が多いといって、なくする必要もありません。
無くそうとすればするほど、注意や意識が向いてしまい、精神交互作用で泥沼に陥ってしまいます。本来人間に備わっているものですから有効に使わせていただくのが筋というものです。
ですからこの働きを抑圧するという考えは無理があります。
どんどん前頭前野を活用させてもらうという気持ちでよいのです。

しかしよく考えてみると、一旦前頭前野で合理的だと判断したことに対しては、前頭前野を経由しないで別の脳の部位から指示が送られています。
それによって無意識の行動をとっていることがほとんどです。
何ら不都合は起きていません。
日常生活はほとんど何も考えることなく、淡々と無意識の命令に従って行われているのです。


確認作業、シフトレバーの操作、方向指示器の操作、ブレーキやアクセルの操作、ワイパーの操作などを行っています。
いちいち前頭前野でどうすれば一番適切な行動なのかと試行錯誤しているわけではありません。
前頭前野はあらゆる面から比較検討して、決定を下していますので、スムーズな行動の妨げになるばかりです。そこでスムーズな行動がいったん滞ることになります。

ですから、前頭前野は初めての行動の時は大いに活用して取捨選択する必要がありますが、習慣化された行動に対しては、出しゃばり出ては困るものなのです。また私たちの日々の行動は、ほとんど無意識的な働きによって行われているのです。そういう認識が必要になります。

強迫行為を繰り返している人は、知らず知らずのうちに、前頭前野の働きを過信しているのだと思われます。そして結果として、無意識の脳の働きを軽視しているのです。

普段の生活は無意識の脳の働きに任せてしまう。
初めての事や重大なことは前頭前野で考えて方針を出すようになればよいのです。
しかしそうしようとすればするほど、前頭前野がおせっかいを出している。

前頭前野の働きを過信している人は、どっぷりと観念優先の世界に生きている人です。
反対に経験、事実、現実、現状を軽視しているのです。
観念の世界で考えた事と現実の乖離現象で一人相撲を取って苦しんでいるのです。
森田理論でいう「かくあるべし」という世界にどっぷりとはまり込んでいるということになります。そのことを思想の矛盾で苦しんでいるといいます。
対処法としては、「かくあるべし」という観念優先の態度を少しずつ弱めていくことが大切になります。森田理論では、事実本位の生活態度を身につける事を目標にしています。
強迫行為で苦しんでいる人は、特に必要になると思われます。

目の前の事実をしっかりと見つめる。観察する。実験する。
抽象的でなく具体的に考えていく。事実をあるがままに認めて、受け入れる。
その他事実本位に徹するために、純な心の活用、私メッセージの活用など様々な手法を提案してきました。この方向に意識を向けると前頭前野を休ませてあげることができます。
無意識の行動を増やしていくということは、習慣化された日常生活にどんどん取り組んでいくことになります。凡事徹底に取り組むことで、車の運転のように自然に無意識の行動が増えてくるものと考えています。規則正しい生活、ルーティンを大切にする習慣を作り上げることが当面の課題になります。そして前頭前野と無意識の脳の働きのバランスを取る事を心掛けることが大切になってきます。





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Last updated  2021.02.19 06:20:06
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