森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.07.29
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カテゴリ: 行動のポイント
森田先生のお話です。

我々がお茶漬け飯をザブザフとかけ込むには、随分、箸と茶碗の持ち方、とくに左の手の茶碗の回転具合は、極めて微細な働きであるけれども、このほうにはほとんど気がつかないで、意識は飯をこぼさないようにとの目的ばかりに向かっています。

また球投げをする時に、球のほうにばかりに注意を集中していさえすれば、適切に球を受ける事ができるけれども、意識がひとたび、自分の手つきや・腰の曲げ方のほうに向かうようになれば、すぐ球を受けることができなくなる。
小指を怪我した時などでも、球が受けられなくなるのは、意識がその目的物を離れて、手元のほうに向かうようになるからである。
薪割の時に、打とうとする一点のみを見つめていれば、百発百中であるというのも、この理由に基づくものである。
(森田正馬全集第5巻 644ページ)

森田先生は、意識が内向化してしまうと目的が達成できなくなる。
反対に意識の外向化が起きると、目的を達成することができると言われています。
今日は意識の内向化と外向化の関係について、車の運転を例に取り上げてみました。


運転技術が未熟な時は、意識の外向化は起きません。
意識の内向化には脳の前頭前野が絡んでいます。
始動のしかた、チェンジレバーの操作、ウィンカー、ブレーキ、アクセル、ライトの点灯、ワイパー操作などが気になります。
その次に、窓の開閉操作、空調の切り替え、ライトの切り替え、曇り止め操作、バックのワイパー操作、ナビの操作、テレビやCDの操作なども気になり始めます。

まず車を止めた状態で、操作レバーの位置、操作方法を入念に確認します。
これは比較的早く分かるようになります。
次に自動車学校で実際に運転しながら、運転技術をマスターしていきます。
これらが無意識的に自由自在に操作できるまで何度もくり返すことになります。

その結果、運転やレバーなどの操作については、前頭前野を経由しなくても、大脳の側頭葉や運動野からダイレクトに手足に指示命令が出されるようになります。
これは別の言い方をすれば、意識的行動が、無意識的行動へと変化してきたということです。
無意識的行動になると安心してみてられます。しかも正確です。間違いがない。

この段階でもし仮にちょっとした不安などがよぎると大変です。

練習では上手にできたのに、本番で失敗するのはこういう場合です。
不必要な意識の内向化が起きて、行動の目的を達成できなくなるのです。

自動車の運転の外向化とは、スピードメーターの確認、信号機の確認、交差点の人や対向車の動き、車線変更時の他の車の動向、交通標識の確認などがあります。
意識の外向化は、そのときの状況や変化に合わせて素早く正確に行われています。

車の運転の外向化は、運転操作が無意識的に自由自在にできるようになった後で初めて可能になります。

意識の外向化が起きると、側頭葉や運動野などから指示命令が出されます。
その時前頭前野は、完全にお休みしています。
外向化に切り替わるまでは、教習所で訓練や練習を繰り返すことが必要になります。
一旦意識の外向化を身につけると、それは一生使えるものになります。





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Last updated  2023.07.29 06:20:08
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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