森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2024.03.21
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藤沢周平作品に「浦島」というのがある。
会社の中での人間関係で苦しんでいる人には共感できる小説です。

主人公御手洗孫六は、18年前は勘定奉行(今でいう経理課)に努めていた。
そこで酒が絡んだ失策を犯し、普請組(用度課)に配置転換させられた。
左遷させられたのである。さらに大切な家禄を30石から25石に削られた。
内職しないと生活できなくなった。一人娘の結婚にもからむ話になった。
住んでいた家は今までよりも粗末なところに転居させられた。

その失策というのが、藩が参勤交代の費用を富商の献金で賄うことにした。
御手洗孫六は以前から懇意の美濃屋善兵衛の店に依頼に行った。

その時義理堅い美濃屋は無類の酒好きの孫六に酒を勧めた。
酔いつぶれた孫六は不覚にも美濃屋からの献金30両のうち10両を紛失したのだ。その不手際の責任を取らされて左遷させられたのだ。

その献金は職場に戻った時同僚に盗まれたということが18年経って判明した。
藩は処分を取り消して孫六を元の勘定方に戻し、石高も元の30石に戻すことにした。住まいも以前並みの住居を用意することにした。
本来ならめでたしというところだ。

孫六は配置換えされてから18年間も普請組の仕事を続けていた。
石高は減らされたが、今の仕事に十分満足していたので大いに戸惑った。
結局藩の好意を受け入れて、勘定方の仕事に復帰したが、勘定方の同僚は出戻りの孫六を歓迎しなかった。
同僚たちは孫六を厄介扱いし、書類を隠したり、大事な受取書をちり箱に捨て、あとでそれを取りだして見せたりした。
またあるときは帳簿の表紙と中身が取り換えられていたこともあった。
さらに長い留守の間に帳付けの方法も変わってしまっていて、孫六はいちいち辞を低くして若い同僚にたずねないと一歩も仕事がすすまない状態であった。

親しかった者が残っていたら、もう少し事情は違っただろうが、昔の同僚が3人は残っているものの、彼らは孫六と親しく付き合った人間ではなかった。
次第に孫六は酒屋でうさを晴らすようになった。
その飲み屋で偶然出会った同僚たちと問題行動を起こして、職場には居づらくなってしまう。

このような話は会社勤めをされている方は大なり小なり経験されている方がいらっしゃるのではないだろうか。
現在営業されている方は過酷なノルマを押し付けられて、目標未達の場合は営業会議などで叱責される。

キャパを越えた仕事をこなすために土曜日、日曜日も出勤することがある。
有休休暇は法律によって取得が義務つけられているが、計画通りには取得できない。会社の人間関係は利害が衝突することが多く気が休まらない。
昇格してマネージャーになっても、成績が上がらなければすぐに左遷や窓際族、退職勧奨を受ける。ストレスで心身ともに病んでしまう人もいる。
ましてや神経症を抱えての会社勤めはつらい。

私の場合もまさにそんな状態でした。
なんとか定年近くまで働くことができたのは、集談会の仲間同士で励まし合って来たからだと思っています。集談会を越えた仲間と知り合えたのも大きかった。
それと仕事以外の楽しみを見つけて息抜きをしていたことがよかったと思います。
釣り、テニス、スキー、トライアスロン、資格試験への挑戦、第九合唱団への参加、集談会での世話活動、自家用野菜作り、一人一芸への取り組み、観光地巡りなどです。
それから苦しいときにはその苦しみを癒してくれるお気に入りの映画、DVD、音楽、ユーモア小話作りと収集、読書の楽しみを持っていたのが大きかった。
この内容の一部は2022年4月14日に投稿しました。
小説では藤沢周平氏の小説には癒されました。
藤沢周平氏は肺結核で長らく療養生活を送っています。
人の心の痛みがよく分かっている小説家だと思います。
特に小林一茶や長塚節の一生(白き瓶)を描いた小説には癒されました。
それから樹木希林さん、宇野千代さんの人生観に接して生き方を見直すことができました。
職場での仕事や人間関係の悩みにどっぷりつかっていたら、多分途中で人生をあきらめていただろうと思います。





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Last updated  2024.03.21 11:14:36
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