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石炭ガス化複合発電(IGCC)って
在職中に、ちょっとだけ石炭ガス化複合発電(IGCC)に関わったことがあるのですが・・・
日本が誇るエネルギー関連技術のひとつとしてIGCCがあると思うのです。
・・・ということで、リタイア後もIGCC情報をフォローしています。
・石炭火力「悪者論」への対応
・石炭ガス化複合発電(IGCC)の出番ではないか
・「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」実証試験
・IGCC関連ニュース
・いわき市のIGCCが復旧していた
・いわき市のIGCC
<石炭火力「悪者論」への対応>
COP21が30日から始まり、地球温暖化問題がクローズアップされるが・・・・
石炭火力「悪者論」に向かって短絡するのではなくて、米欧の陰謀を見究めながら慎重に対応する必要があるようです。
2015.11.27
石炭火力「悪者論」の落とし穴
より
■石炭火力は悪者なのか
地球温暖化問題を考えれば、石炭火力を廃止することは望ましい。しかし、エネルギー政策では他にも考えるべき点がある。競争力と安全保障だ。シェール革命で天然ガス生産量が輸出可能のレベルまで増加し、価格も下落した米国、送電線と天然ガスパイプラインが大陸と繋がっている上に、数量が落ち込んでいるものの、国内需要の約50%を賄う北海からの天然ガス生産を持つ英国。両国と日本の置かれている状況は大きく異なる。
図-3
図-3が示すとおり、日本の発電の約30%は石炭が担っている。原発の再稼働が進めば比率は下がると思われるが、地政学的なリスクと価格競争力を考えれば、大きく依存率を下げることは困難だ。
途上国での石炭火力設備導入には、大きな抜け穴がある。OECD国ではない中国のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の存在だ。公的な支援を受けることができなくなる日本、ドイツの発電設備メーカーは、中国メーカーとの競争で不利になることは明らかだ。
2013年に途上国の石炭火力設備への融資禁止を決めたこともあり米国はAIIBに冷淡だったが(温暖化防止のレガシーにこだわるオバマはアジアインフラ投資銀行を受け入れられないhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/4908?page=1)、AIIBに参加した英国などは途上国への石炭火力設備への融資案件にどう対応するのだろうか。相対的に効率の悪い設備が導入されることになれば、温暖化対策には逆効果だ。
今回のOECDの取り決めは2019年に見直されることになっている。最も効率よく二酸化炭素を削減する観点から実効性を検証することが必要になる。温暖化、気候変動防止の観点から日本メーカーの出番はまだ続くはずだ。
「石炭ガス化複合発電(IGCC)の出番ではないか
東日本大震災で状況が変わり、国内では計48基の石炭火力発電所の建設計画が進んでいるとのこと。
やっと石炭ガス化複合発電(IGCC)の出番ではないか・・・との思いがするわけです。
朝日新聞で石炭火力に対する賛否両論が出ていたので、紹介します。
2015/9/10
(耕論)どうする石炭火力 ジーナ・マッカーシーさん、金子祥三さん、平田仁子さん
より
相次ぐ石炭火力発電所の計画に環境相が「ノー」を連発している。米国は地球温暖化をにらみ脱石炭を鮮明にした。安いが二酸化炭素(CO2)を多く出す石炭にどう向き合うべきか。
■技術と規制で再び主役に 金子祥三さん(東京大学シニア協力員)
世界の発電量の41%は石炭火力。日本がどんな立場をとろうと、世界は石炭を使い続けます。発電単価が安いからです。電力料金が安くなければ、産業は成り立ちません。
石炭の燃焼にともなう課題として、二つの環境問題があります。煤塵や窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)が出て大気汚染を引き起こすローカルな問題。そして地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を出すというグローバルな問題です。
大気汚染物質については、規制値を満たさない発電所は運転してはならないという方針にすべきです。
CO2については、石炭の組成は、石油や天然ガスに比べて炭素の割合が多いのは確か。CO2を回収して貯留するCCSという方法がありますが、コストがかかりなかなか難しい。徹底的に熱効率を上げ、燃料消費も減らしてCO2の排出を減らすしかありません。積極的に排出削減する発電所にはプレミアムを与え、そうではない発電所は規制するという立場です。
世界の25%という断トツの石炭資源量を誇る米国は、これまで石炭重視政策をとってきました。今回のクリーンパワープランには、シェールガスを使って産業を復興するという米国の戦略が根底にあると思います。
製造業の復権には、電力やエネルギーの単価が安くなければなりません。天然ガスに変えれば、CO2に関してもリーダーシップをとれます。この二つが完全に表裏一体になっている。米国はガスタービンで50~60%のシェアを持っていますが、ボイラーはつくっていないので、石炭火力がなくても困らないのです。
これまでの超々臨界圧石炭発電(USC)では、すでに中国製が日本製と技術力で肩を並べコストは半分です。日本は、さらに効率がいい石炭ガス化複合発電(IGCC)を量産して、アジアに貢献すべきです。国内の製造業維持にも役立ちます。ただ、まだ価格競争力がないので、技術の確立のためには限定的な支援策が必要です。
国が2030年度に温室効果ガスを13年度比で26%削減する方針を決めた以上、環境相が具体的な削減計画なしの石炭火力新設計画を認めがたい、と言うのは一理あります。新設する大規模石炭火力は、すべてIGCCにすべきです。小規模ではIGCCは物理的に無理なので、世界最高水準かどうかで判断する。
高い目標は、技術開発につながるので必ずしも悪くありません。ですが、国の50年に80%削減という目標では、化石燃料は生き残れない。実現可能性を考えるべきです。私は、最後に残る化石燃料は、資源が豊富で使いやすい石炭だと思ってます。いずれ石炭の時代が再び来るはずです。(聞き手 編集委員・石井徹)
*
金子祥三:1943年生まれ。専門は高効率火力発電。三菱重工業で設計や新技術開発などに従事した。先月まで東京大学特任教授。
■危うい「回帰」か、分岐点 平田仁子さん(環境NGO「気候ネットワーク」理事)
私たちが調べたところ、100万キロワット級の大規模なものから小規模なものまで、国内では計48基の石炭火力発電所の建設計画が進んでいます。電力会社も新規参入企業も、電力自由化を前に、石炭火力に猛進しています。
石炭火力は大気汚染物質に加え、大量の二酸化炭素(CO2)を出すことから、2009年にいったん計画は止まりました。しかし、東日本大震災で状況が変わりました。「火力電源は入札で」という資源エネルギー庁の方針が「とにかく安く」という政策シグナルとなった。政府が石炭火力の環境整備を進めた結果が、この急増でしょう。
高効率なら環境にいいといいますが、大量のCO2を出すことにかわりはありません。環境配慮をないがしろにした政府の責任は重く、必ずしも事業者だけを責められません。でも不思議なのは、事業者としての経営判断です。
石炭が安いといっても、危うい想定に基づいた試算にすぎません。他国で見られるような太陽光や風力などの再生可能エネルギーの大きな価格低下も、発電効率の向上も、見込まれていません。逆に、温暖化対策のコストは極めて低いまま、という想定です。
プラントが運転を始める数年後の状況は、ずいぶん違っているはずです。40年運転する設備に、現時点の経済性だけで投資するのは、リスクが大きい。ドイツでも数年前に新設された石炭火力が、再生エネの飛躍で資産価値を失っています。世界の動きを見ていないのか、政府がついているから大丈夫だと思うのか。
少しでも先見性を持ち、資源のない日本の将来のエネルギーや環境影響を考え、責任ある企業として投資するなら、いまさら石炭という選択はありえないと思います。
3・11後の私たちには、原発事故から何を学び、どういうエネルギーを選ぶのか、ということも問われています。問題は原子力か石炭か、ではありません。石炭は大型・集中型のベースロード(基幹)電源という点で原子力と親和性が高い。そこに戻るのか、地域分散型の再生エネの道をめざすのか。計画がこのまま進めば、2、3年後には後戻りできなくなる。そういう意味で私たちはいま、重要な分岐点に立っています。
米国のクリーンパワープランは、430万件もの意見を踏まえ、2年かけて決まりました。日本のエネルギーミックス(電源構成)はわずか1カ月の募集で、意見は約2千件。まさに国民不在です。
日本の「石炭回帰」は、先進国で突出しています。石炭関連の途上国支援や輸出でも世界一です。協調して低炭素社会をめざそうという国際社会で別の動きをする日本は孤立しつつあります。外交上の立場まで危うくなるのではと心配です。(聞き手・辻篤子)
*
平田仁子:1970年生まれ。米環境NGOで地球温暖化問題に携わり、98年に気候ネットワーク参加。著書に「原発も温暖化もない未来を創る」。
仕事柄、IGCCに関わっていた大使は、どうしても石炭火力賛成にまわることになります。
「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」実証試験
2015.02.16
「革新的低炭素石炭火力」の未来
より
化石燃料の輸入増が貿易赤字を加速させ日本経済が厳しい苦境に立たされるなか、「石炭火力」による電源構成比を高めることで新たな活路が見えてくるのではないか。
気鋭のエコノミスト、永濱利廣氏がニッポン経済再生への期待を胸に訪れたのは、「大崎クールジェン」発電プラント建設現場。瀬戸内海に浮かぶ風光明媚な離れ島で「究極の石炭火力」への挑戦が始まっていた。
(中略)
東日本大震災以降、原子力発電所が長期停止を余儀なくされるなか、ただでさえ自給率が低い日本のエネルギー事情はますます逼迫している。発電燃料を確保するため「ジャパンプレミアム」と呼ばれる高値で取り引きせざるを得なくなった液化天然ガス(LNG)などの輸入増が、円安傾向とも相まって日本の貿易収支を悪化させ、2013年の赤字額はついに14兆円に迫り2年連続で過去最大を更新した。この事態を少しでも改善するには、もともとLNGや石油に比べて価格が低く、シェールガス革命による米国内での需要低下を引き金に急速に値を下げている石炭にこそ目を向けるべきではないか。実際、イギリスやドイツなど欧州諸国では廉価な米国炭の流入で石炭火力発電が拡大傾向にある。しかも、石炭は政情安定国を中心に世界中に広く分布するため安定供給も可能なのだ。
そんな思いを巡らせながら永濱氏が広島空港から向かった先は、瀬戸内海の中央に浮かぶ大崎上島。竹原港の南方海上約10キロに位置するこの島からさらに橋を渡した長島に、その大掛かりな発電プラントが建設途中の無骨な雄姿を覗かせていた。中国電力(株)大崎発電所の構内に位置するこの設備が完成すると、「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」と呼ばれる石炭を使った究極の高効率発電技術と、二酸化炭素(CO2)分離回収技術を組み合わせた革新的な低炭素火力発電の実現に向け、世界的にも注目度が高い実証試験の幕が切って落とされることになる。
「発電燃料としての石炭の価値が見直されているのは、価格が安くて安定していることだけが理由ではないでしょう。石油やLNGの約2倍、この先まだ100年分以上の埋蔵量があると聞いていますし、この大崎のように発電効率や環境性能を飛躍的に高める先端技術の開発も進んでいます。発電効率が上がればそれだけ石炭の使用量が減るわけだから、経済的にも環境的にもメリットは大きい。日本がそのトップランナーの座に着けるのであれば、経済成長にも大いにプラスに働くはずです」(永濱氏)
<「石炭ガス化」実証プラント 大崎クールジェンが動き出す>
中国電力とJ-POWER(電源開発)の共同出資による事業会社「大崎クールジェン」が進めるこの実証試験の名は、「石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業」―通称、大崎クールジェンプロジェクトという。石炭火力でありながら将来的には温室効果ガスをほとんど排出しない「ゼロエミッション」の実現を目指す道筋が示された、政府が掲げる「Cool Gen計画」に因む命名である。
(中略)
大崎クールジェンのIGCCは16年5月には試運転に入り、17年3月より本格的な実証試験を開始する。これと並行して第2段階としてCO2分離回収設備の準備に入り、石炭ガスが燃焼する前の段階で水蒸気を加えてCO2濃度を高め、効率よくCOだけを取り出す技術の確立を急ぐ。
その後予定される第3段階では、IGCCに燃料電池を組み込んでさらなる高効率を目指すIGFCの実証試験に移行。CO2分離回収の過程で残された水素リッチガスを燃料電池の燃料として利用し、さらにガスタービンの燃料としても再利用するトリプル仕様の複合発電だ。
ここに至ると商用機での発電効率(送電端)は55%を超え、従来方式による発電効率を14ポイント以上も押し上げたうえ、CO2の削減期待値は約30%となる。
<クリーンコールで国際貢献 マクロ経済も好転の道筋>
では、このような次世代型発電設備の商用化において経済性はどこまで確保できるのか。永濱氏からの指摘に対して、相曽副社長は次のように説明する。
「IGCCでの試算になりますが、建設費はこれまでの微粉炭火力の2割増しになるものの、いったん運転を始めれば高効率の発電で燃料費が抑えられ、またガス化に適した安価な低品位炭が使えることもあり、発電原価は従来と同等以下になるでしょう。水素や合成燃料など副産物の他業界への転用や、設備自体の普及が進めば、さらにコストメリットは得られるはずです」
一方、化石燃料の価格を1000kcal当たりで比べると、石炭はこの20年でほとんど変動がなく2円以下、LNGと石油は2~6円前後で振れ幅が大きい(エネルギー経済研究所)。日本の発電構成比において石炭の利用率は約3割でLNGと同程度だが、仮にLNGから1割を石炭へシフトすると経済にどう影響するか。第一生命経済研究所の興味深いデータがある(下表参照)。永濱氏に解説してもらおう。
「理論上の計算値ですが、まず年間の発電コストが8000億円ほど下がり、その影響で実質GDPが3年後に約0.3%上昇する。これは約1.6兆円に相当し、5万人規模の雇用拡大に結びつく。また、燃料費が減るので経常収支でも黒字が得られ、これが円の価値を高めて輸入コストの軽減を招くというシナリオです。マクロで見て、日本経済活性化の道が浮かんできますね」
そればかりでなく、貝原社長が言うように、この「革新的低炭素石炭火力」の技術と設備、運用システムをパッケージで海外に移転すれば、経済対策と国際貢献の成果を同時に手にすることもできそうだ。実際、昨年4月に閣議決定された新「エネルギー基本計画」において石炭は、国際的視点や経済成長の視点も踏まえたうえで、「安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源の燃料」と位置づけられている。
「石炭火力発電所からのCO2排出量が多い米国・中国・インドの石炭火力発電所に日本のIGFC技術を適用すると、年間で26億トンものCO2削減効果が望めるという試算があるそうですね。日本の年間排出量の約2倍とか。今こそ、オールジャパンで発電効率の向上を図るべきだという認識を新たにしました」(永濱氏)
IGCC関連ニュース
おお 石炭復権か・・・・IGCCの時代到来かも♪
12/18
今後10年以内に石炭消費量が石油越える、IEA報告書
より
【12月18日 AFP】国際エネルギー機関(International Energy Agency、IEA)は18日、中国やインドなどの巨大新興国に牽引され、今後10年以内に石炭の消費量が石油を上回る見通しとの報告書を発表した。
世界のエネルギーの中で温室効果ガスを最も排出する石炭の割合を押し上げると見られているのは新興国における経済成長だ。IEAのマリア・ファンデルフーフェン(Maria van der Hoeven)事務局長は「エネルギー政策を変えない限り、石炭は10年以内に石油に追いつく」と声明で述べた。
IEAの最新の予測によると、石炭の消費量は4年で石油の消費量にほぼ追いつく見通しだ。2017年の石炭消費量は石油換算で43億2000トンとなり、一方の石油消費量は44億トンになるという。石炭はほかのエネルギーよりも大量の温室効果ガスを排出するため、石炭消費増加は気候変動に影響を及ぼすことになる。
先進国34か国が加盟する経済協力開発機構(OECD)によりエネルギー対策の検討機関として設置されたIEAは、炭素消費増加の最大要因として、OECDに加盟していない発展途上国の経済成長と近代化に伴う人口増加、さらには電力の消費量増加を挙げている。
IEAの基本シナリオでは、2017年には、シェールガスの開発で石炭の競争力が低下した米国に代わり、発電量が急激に増加したインドが世界第2位の石炭消費国になっている。
また2014年までに石炭消費量で世界総需要の半分以上を占めると予測されている中国では、その消費量増加と平行して、国民1人当たりの環境への負担でも米国を抜いてトップになっているとの見通しだ。
IEAは、中国の石炭需要が年平均3.7%の増加を続け、2017年には石炭消費量が31億9000万トンに達すると予測。中国経済の成長が鈍化した場合でも、年2%の割合で石炭需要が増加し続けるだろうとした。
IEAは、「中国といえば石炭。石炭といえば中国」とのコメントを挟みつつ、中国市場での今後の展開が世界の石炭市場の道筋を決めることになるだろうと語った。
いよいよIGCC(石炭ガス化複合発電)商用機が登場したようです。
日本が誇る環境技術やでぇ♪
12/4
いわき・クリーンコールパワーが常磐共火と合併へ
より
石炭と空気を高温で反応させ発生させた可燃性ガスで、高効率の発電を行う石炭ガス化複合発電(IGCC)の技術開発を進める、いわき市のクリーンコールパワー研究所(渡辺勉社長)は来年4月1日、常磐共同火力(東京)と合併し、商用運転を開始する。定格出力は25万キロワットで、一般家庭約10万世帯分の発電量に相当。発電した電気は東京電力へ供給される。
3日、同社が県庁で記者会見し、同火発との吸収合併することを発表した。同研究所によると、研究で扱うIGCCの実証機が、商用機として移行するのは国内初。
IGCCは、石炭を燃やしてガス化し、発生したガスと蒸気で二つのタービンを回して発電するシステム。発電効率の向上や地球環境への貢献が期待されている。
(2012年12月4日 福島民友ニュース)
7/20
石炭ガス化効率 世界最高 Jパワーの北九州試験プラント
より
■新火力発電研究進む
福島第1原発事故で国のエネルギー政策の行方が注目を集める中、Jパワー(電源開発)が、北九州市で次世代火力発電技術の開発を進めている。石炭を高熱でガス化し、ガスタービンと蒸気タービンを併用する「石炭ガス化複合発電(IGCC)」で、世界最高のガス化効率を達成しているという。実用化されれば、発電効率が高まることから二酸化炭素排出量も低く抑えられるという。
通常の石炭火力は、石炭を燃やした熱で蒸気をつくり、発電用タービンを回す。
これに対しIGCCは、粉末状にした石炭を1千度以上の高温で蒸し焼きにすることで、高温高圧の可燃性ガスに変換して、タービンを動かす。さらにガスに含まれる熱で蒸気を作り、蒸気タービンを回転させる。
現在稼働中の最新鋭の火力発電でも、石炭が持つエネルギーのうち41%しか電気に変えられないが、2種類のタービンを用いるIGCCは46~48%の発電効率が見込まれている。発電効率が上がれば使用する石炭量も少なくてすみ、二酸化炭素排出量も減少する。
Jパワーは平成14年から、北九州市若松区の若松総合事業所内で、経済産業省の補助を受けながら「イーグル」のプロジェクト名で、IGCCの研究に取り組んでいる。
IGCC最大の課題である石炭をガス化する技術も、ガス化反応を促進する特殊な炉を作ることに成功。石炭のガス化効率も82%に達しており、先行していた「ロイヤル・ダッチ・シェル」「ゼネラル・エレクトリック」など欧米企業のガス化効率(72~81%)を追い抜き、世界最高を達成した。石炭ガス精製の過程で生じる二酸化炭素の回収技術も確立した。
Jパワーは今後、北九州での実験データを基に、中国電力と協力して瀬戸内海に浮かぶ大崎上島(広島県)に、合計出力17万キロワットのIGCC発電所を建設。商用化を目指して平成28年度から実証実験に入る。
Jパワー若松研究所の笹津浩司所長は「世界の先行技術に追いつき、一部で追い抜いた。将来的には石炭ガスに含まれる水素を使った燃料電池発電も組み込み、全体の発電効率を55%程度にまで高めたい」と話している。
5/31
三菱重工、米社と共同でCO2回収機能を備えた火力発電設備の基本設計を受注
より
三菱重工業は、米国のエンジニアリング大手であるFluor社と共同で、米SCS Energy社が進める石炭ガス化複合発電(IGCC)設備建設プロジェクトの基本設計(FEED)を受注した(ニュースリリース)。同設備は、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)機能を備えていることが最大の特徴。CCS機能を備えた商業規模のIGCC発電所の建設は世界で初めてという。
IGCCは、ガス化炉内で微粉化した石炭をガス化した上で、コンバインドサイクル発電と組み合わせたシステム。従来の石炭火力に比べ発電効率が高く、CO2はだけではなくSOxやNOx、煤煙などの排出量が少ないのが特徴である。CO2は、石炭をガス化して吸収液で回収する。回収したCO2は尿素の原料に用いるほか、EOR(生産性が低下した油層にCO2を圧入して原油を増産する手法)にも利用する計画だ。
同プロジェクトは、「HECA(Hydrogen Energy California)」プロジェクトと呼ばれ、米国で豊富に産出される石炭をガス化して発電する高効率のIGCCと、石炭ガスから肥料を製造する肥料プラント、石炭ガス中から回収したCO2を活用するEORを組み合わせたもの。複合プラントは、カリフォルニア州中南部のベーカーズフィールドに建設する。
IGCCには、三菱重工業の独自技術である酸素吹きガス化炉が採用され、発電出力は40万kWで、肥料生産プラントの生産量は2500t/日を計画している。総事業費は3000億円を超える見通しで、一部を米国エネルギー省が援助する。
今回のFEEDは、同社原動機事業の米国拠点を通じて受注した。契約期間は2013年3月までで、その後の設計・調達・建設(EPC)契約は2013年半ばとなる見通し。発電所などの施設の完成は2017年末を予定している。
<いわき市のIGCCが復旧していた>
いわき市のクリーンコールパワー研究所には石炭ガス化複合発電設備(IGCC)の仕事の関係で一度行ったことがあるが・・・・
海辺に設置していた設備は東日本大震災で被災していたのです。1~2m程度の津波に遭っていたそうです。
東日本大震災に関する当社情報
によれば、7月28日に復旧していたようだが・・・・
被害状況と復旧状況の写真を見ると、見覚えのある場所もあり、生々しいのです。
IGCC被害状況
復旧状況
なにはともあれ、人災はなくて復旧し、定格運転再開とは喜ばしいことである。
世界トップ級のIGCCと評価した日経エコロジーの最新記事を紹介します。
石炭で狙う高効率発電/内外で安定供給に貢献[IGCC]
より
原発の行方が見通せないなか、当面、火力発電が電力供給の主役になる。安定調達が狙える石炭を使った火力発電の高効率化が本格化している。
原子力発電と天然ガス火力発電、そして石炭火力発電が、電力供給力の約85%を三分していた日本。原発事故を機に崩れたバランスを、この夏は石油火力発電などの稼働率を高めて補った。
政府は今秋にも、エネルギー戦略の見直しを本格化する。中間整理によると、省エネと再生可能エネルギー、原発に加え、火力の高効率化とCO2削減技術が柱になる。
しかし、石油火力は燃料調達を中東に依存しやすいうえ、国際エネルギー機関(IEA)は新設を禁止。当面は天然ガスや石炭の活用が現実解になるが、天然ガス市場は一大産地ロシアの情勢に左右されやすい。この点、石炭は産地が分散し価格も安定。発電量当たりのCO2排出量は多いが、発電効率を高めて排出を抑制できれば電力の安定供給に一役を担える。そこで、石炭ガス化複合発電(IGCC)が注目を集めている。
○クリーンコールパワー研究所のIGCC実証機
CCP研の実証機は粉砕した石炭を炉の燃焼部とガス化部に窒素を使って送り込む
<発電効率50%も視野に>
IGCCは微細に粉砕した石炭を高温の炉で水素と一酸化炭素にガス化し、燃焼させてガスタービンを回す。排熱で蒸気を作り、蒸気タービンを回して発電する。
日本の従来型石炭火力による発電効率は41~43%だが、IGCCなら50%超えも視野に入る。天然ガスでガスタービンと蒸気タービンを回すガスコンバインド複合発電(GTCC)の約60%に迫る。
米欧では1990年代から商用化が進む。日本では2007年に、福島県いわき市でIGCCが稼働を始めた。電力9社と電源開発(Jパワー)が出資するクリーンコールパワー(CCP)研究所の出力25万kW実証機だ。
いわき市といえば、フラガールで知られる
スパリゾートハワイヤンズ
、それから
常磐炭坑節
が思いつくように、石炭に縁のある地域である。
IGCCは石炭陸揚げ港の近くであれば何所に据えても良かったはずだが、この石炭ゆかりの地に据えたのが良かったと思うのです♪
いわき市のIGCC
石炭で狙う高効率発電/内外で安定供給に貢献[IGCC]
より
原発の行方が見通せないなか、当面、火力発電が電力供給の主役になる。安定調達が狙える石炭を使った火力発電の高効率化が本格化している。
原子力発電と天然ガス火力発電、そして石炭火力発電が、電力供給力の約85%を三分していた日本。原発事故を機に崩れたバランスを、この夏は石油火力発電などの稼働率を高めて補った。
政府は今秋にも、エネルギー戦略の見直しを本格化する。中間整理によると、省エネと再生可能エネルギー、原発に加え、火力の高効率化とCO2削減技術が柱になる。
しかし、石油火力は燃料調達を中東に依存しやすいうえ、国際エネルギー機関(IEA)は新設を禁止。当面は天然ガスや石炭の活用が現実解になるが、天然ガス市場は一大産地ロシアの情勢に左右されやすい。この点、石炭は産地が分散し価格も安定。発電量当たりのCO2排出量は多いが、発電効率を高めて排出を抑制できれば電力の安定供給に一役を担える。そこで、石炭ガス化複合発電(IGCC)が注目を集めている。
○クリーンコールパワー研究所のIGCC実証機
CCP研の実証機は粉砕した石炭を炉の燃焼部とガス化部に窒素を使って送り込む
<発電効率50%も視野に>
IGCCは微細に粉砕した石炭を高温の炉で水素と一酸化炭素にガス化し、燃焼させてガスタービンを回す。排熱で蒸気を作り、蒸気タービンを回して発電する。
日本の従来型石炭火力による発電効率は41~43%だが、IGCCなら50%超えも視野に入る。天然ガスでガスタービンと蒸気タービンを回すガスコンバインド複合発電(GTCC)の約60%に迫る。
従来の石炭火力は発電効率を上げるため、タービン入り口の蒸気の温度と圧力を高めてきたが「タービン素材の開発も限界。現状を超えるめどは立たない」(三菱重工業でIGCC開発を手掛けた東京大学・先端技術研究所の金子祥三特任教授)。IGCCはガスタービンを組み合わせて効率を押し上げる。
米欧では1990年代から商用化が進む。日本では2007年に、福島県いわき市でIGCCが稼働を始めた。電力9社と電源開発(Jパワー)が出資するクリーンコールパワー(CCP)研究所の出力25万kW実証機だ。
1200℃級ガスタービンを使い、発電効率は42.9%(発電電力から発電所で使う分を差し引いた送電端の効率)。CO2排出量は従来型石炭火力に比べて10~15%削減できる。「米欧のプラントは故障が相次ぎ、設計通りの効率が出ていない」(金子特任教授)。開発は出遅れたが、発電効率など実績はむしろ日本が上回るという。
<最新鋭タービンで高効率狙う>
発電効率が約43%にとどまるのは、「実証機ゆえに出力を絞り、あえて1200℃級ガスタービンを使っているから」(CCP研の渡辺勉社長)。開発を手掛けた三菱重工によると「J型」と呼ぶ同社製1600℃級ガスタービンを使えば、設備の発電効率は54%(発電端)に跳ね上がり、出力も増す。
実証機は石炭を燃焼するのにガス化炉へ空気を吹き込む「空気吹き」方式を採用。ガス化炉には空気から窒素を取り除いて酸素を吹き込む「酸素吹き」方式もあるが、酸素分離機(ASU)が発電した電力を消費してしまう。空気吹きのほうが、送電端の発電効率の損失を抑えられる。
実証機でもガス化炉に窒素を使って石炭を吹き込むのにASUを使うが、酸素吹きに比べると規模が小さく消費電力は3割程度。発電効率の損失を2~3%抑えられる。
酸素吹きの長所もある。硫黄などを除いた精製後のガスの成分は水素と一酸化炭素。窒素がない分、副産物として効率良くアンモニアやDME(ジメチルエーテル)など化学原料や合成燃料を生成したり、水素を取り出したりできる。商用化に至れば、ガス化炉は用途に応じて選ぶことになるだろう。
それでも発電量当たりのCO2排出量は、石油火力をやや下回る程度。いっそうの低炭素化を図るには、CCS(CO2回収・貯留)技術との組み合わせが欠かせない。
<CCSを組み合わせて低炭素化>
日立製作所はIGCCとの組み合わせを視野に、CCS技術に磨きをかける。9月には「化学吸収法」と呼ぶCO2回収技術の効率を高める新触媒を発表。発電効率の損失を2%減らせそうだ。
化学吸収法の仕組みはこうだ。一酸化炭素と水素からなる石炭ガスに蒸気を加え、触媒で反応させてCO2と水素を生成。吸収塔と呼ぶ設備で吸収液という薬品にCO2だけを吸収させ、水素とより分けた後、再生塔で吸収液を加熱し、CO2を放出させて回収する。
蒸気タービンで使う蒸気の一部を再生塔の加熱に転用するため、発電効率が落ちるとの指摘がある。そこで反応を活性化するモリブデンを触媒に最適な配置で添加。反応を促進する成分を加え、蒸気消費量を約3割減らすことに成功。2018年の実用化を目指す。
日立はJパワーが北九州市に置くパイロットプラント「EAGLE」で、Jパワーと共同で酸素吹き石炭ガス化炉とCO2回収を実証。「加熱フラッシュ再生」と呼ぶ方法を取り入れ、化学吸収法の熱損失を抑えた。装置にCO2を吸収した吸収液を投入。加温して減圧すると、再生塔での加熱が不要になる。蒸気消費量が約3割減り、送電端効率を改善できる。新触媒と組み合わせれば、損失はさらに減る。加えて酸素吹き炉は窒素が混じらないので回収効率が上がる。
<新興国の成長で広がる市場>
市場は国外にも広がる。三菱重工は海外で事業可能性を調査中だ。仮に商談が成立すれば、45万~90万kW型が2016~2017年度にも運転を始める可能性がある。
「米国やオーストラリアなど石炭火力を多用する国で日本のIGCCやCCSを普及させれば、排出削減に貢献できる」(三菱重工原動機事業本部IGCCプロセスグループの石井弘実主席技師)。日立もインドネシアや東欧で事業化を検討していく。
IEAによると、世界のCO2排出源の約3割は石炭火力。最大排出国の中国と米国、インドは電源構成に占める石炭火力の比率が50~80%と高い。金子特任教授によると、米中印で日本の技術を適用すれば、14億5000万tの削減が見込める。
●世界のCO2排出源
米国やEU(欧州連合)はIGCCやCCS導入を政策で強く推し進める。産炭国の中印や東欧など新興国で電力需要が急増するなか、安価な石炭で、電力の安定供給とCO2排出抑制を両立するIGCCはこれからも需要の伸びを期待できる。政府は2国間クレジット制度やインフラ輸出政策で海外展開を後押ししている。磨きをかけた日本の技術を売り込む時機だ。
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