白鵬翔 06年NEWS2

 ZAKZAK 1月19日
<抜粋>  12日目 熊ケ谷親方の「横綱、大関みな倒せ」にマジで奮起
冗談から出た真だ。勝負の世界では、ホンの小さなミスが大きな差を生む。つい半年前まで白鵬は琴欧州の先を走っていた。ところが、名古屋場所8日目、白鵬が普天王戦で左足首の靱帯(じんたい)を痛めて休場したことがきっかけで、両者の立場は正反対。今や、白鵬は完全に琴欧州の後塵(こうじん)を拝している。

この腹立たしい展開をひっくり返すには、もう一発逆転のホームラン狙いしかない。今年の正月、入門以来、付きっ切りで指導している熊ケ谷親方(元前頭竹葉山)は、「これも経験だ。あのままトントンと上がるよりも、こうやって苦労を重ねて上がっていた方が、将来のためには絶対にいい。でも、もうこれ以上の経験はいらないぞ。今場所は、横綱、大関を全部、なぎ倒して2ケタ勝ってみろ。そうすれば、ケガする前の勢いが戻ってくるから」と、半分冗談でけしかけた。

白鵬まだ20歳。若い白鵬はこれを真に受けた。もっとも、すぐそばに琴欧州が明け荷を広げているんだから、たとえ熊ケ谷親方にあおられなくてもその気になる。これが思い切りのいい相撲になったのに違いない。相手は8連覇に虎視眈々(たんたん)の朝青龍。立ち合い、狙った左上手が取れず、土俵際まで攻め込まれたが、右からタイミングのいい小手投げ一閃。朝青龍はまるでゴムまりのように土俵の外に転がった。

「タイミングが良かった。勝った瞬間、ウソッと思いました。最初に勝ってからおよそ1年。いろいろあったので、とてもうれしい」と、第1関門をものの見事にくぐり抜けた白鵬は声を弾ませた。これで優勝争いはますます混沌(こんとん)。謎解きのカギは白鵬の手の中に隠れていそうだ。 



 サンスポ 1月19日
<抜粋>  12日目 白鵬、キメた!最強横綱ぶん投げた!混戦優勝争い
最強横綱を吹っ飛ばした。投げ捨てた。豪快な勝ちっぷりに、土俵上にすさまじい数の座布団が乱れ飛ぶ。白鵬が思わず、武者震いだ。「うそ、間違いだろうと思った。この前勝ったときはまだ番付が下だったから、うれしさが違いますね」。

2度目の立ち合い。朝青龍に右を差されて土俵際まで寄られたが、白鵬には余裕があった。左腕で相手のひじをきめながら、強烈な小手投げ。横綱の体が宙に浮き、珍しく土俵下へ横転していった。朝青龍から初金星を奪った平成16年九州場所は、入幕4場所目で西前頭筆頭だった。それから5連敗。先場所の対戦では立ち合いで左へかわって、勝った朝青龍から土俵上でにらみつけられた。もう、逃げない。成長した姿をみせつけ、優勝戦線へ踏みとどまった。

今場所、心に期すものがある。ライバルとの昇進レースで先を越されたことが、眠れる白鵬を呼び覚ました。昨年九州場所では取り直しの末、大関とりのかかっていた琴欧州に寄り切られた。福岡市内の宮城野部屋に戻ると、白鵬はタオルを地面に思いきりたたきつけて何度も悔しがった。

琴欧州に身長で11センチ劣る1メートル92の白鵬は、長いリーチにパワーで対抗するため体重増を決意。現在は155キロまで増え、毎日体重計に乗って、体調管理に努めている。ただ、太るだけではない。朝げいこの量も増やし、スタミナを強化。30分以上土俵に上がり続けても、息は上がらない。

「一番一番集中してやっていく」。13日目は平幕で1敗を守る北勝力と対戦するが、横綱を破った勢いで、引きずり降ろしてみせる。まだ琴欧州との対戦も残している。連敗して1度は賜杯レースから脱落したかに見えた男が、終盤いっきに“主役”の座を奪ってみせる。(江坂勇始) 



 サンスポ 1月19日
<抜粋>  12日目 白鵬が先輩討ち 朝青龍転がした
投げ飛ばした相手の背中を見下ろして、白鵬は小さくうなずいた。間違いなく横綱に勝った。それでも座布団が乱れ飛ぶ状況が理解しきれない。「ウソだろうと思った。行司さんが懸賞を持ってきて、ああ勝ったんだなと」

狙っていた左の前まわしは取れなかった。「ちょっと慌てた」場面で体が自然に動く。右を差した横綱が出てくる瞬間にその腕を抱え込んだ。ひじがメリメリと音を立てそうな強烈な小手投げ。「タイミングが良かっただけ。でも、どんな形でも横綱に勝つことはすごくうれしい」と充実感に浸った。

先場所は「自信のなさ」から立ち合いで変化した。今回は正面からぶつかった。昨年名古屋場所で痛めた左足にはまだ痛みが残る。それでも、今場所初めてテーピングの上に足袋をはかなかった。「気合を入れてやった」と勝負だけに全身全霊を注いだ。

完全復活を印象づける7場所ぶりの横綱戦勝利。ケガをして長いトンネルの中にいた白鵬にようやく光が差し込んだ。日の出の勢いでものにした前回とは勝利の味も違う。「あのころはまだ地位が低かった。今度は関脇の地位で勝った。あれから1年ですか。ケガもあったし、本当にうれしいです」とつらかった1年分の思いをかみしめた。

横綱戦の朝、稽古場で「きょう勝ったらお父さんとお母さんを呼ぼうかなと思ってます」と話していた。もちろん見せたいのは初優勝の晴れ姿。上位で残る相手は琴欧州だけ。よみがえった白鵬が賜杯を手にする可能性も十分にある。 



 毎日 1月20日
<抜粋>  13日目
○白鵬 明日あたり(8日目に敗れ、優勝争いトップの)栃東と当たったらちょうどいい。調子上がってきたところで。もし優勝すれば先場所の9番が(大関取りに)生きてくる。 



 毎日新聞 1月21日
<抜粋>  14日目
栃東は北勝力を引き落として1敗を堅持。白鵬も時津海を破って2敗のまま。千秋楽で栃東が勝つか、白鵬が敗れれば栃東の03年九州場所以来13場所ぶり3回目の優勝が決まる。栃東が敗れ白鵬が勝てば、2人の優勝決定戦となる。 



 毎日新聞 1月21日
<抜粋>  14日目
○白鵬 互いに得意の右四つも白鵬の左前まわしが速い。引き付けて時津海の上手を切って寄りながらの投げ。豪快に決まった。 



 サンスポ 1月21日
<抜粋>  14日目
★白鵬も優勝争い残る!「自分の流れ作れた」
白鵬は時津海との2敗同士の決戦に勝ち、優勝争いに生き残った。立ち合いで左前まわしを取ると、素早く右を差し踏み込んで左から豪快に相手を投げ捨てた。「上手を取ろうと思っていた。自分の流れを作れた」と納得の表情で勝ち相撲を振り返った。

千秋楽は昨年九州場所で取り直しの末に敗れた琴欧州と対戦する。「13番勝ったら来場所違ってくる。借りを返したい」と、春場所での大関とりを視野に入れた。

栃東が朝青龍に敗れ、自身が琴欧州に勝てば、優勝決定戦だ。「決定戦はあったらいいけど、無理だろうな。横綱、調子悪いすよね」。12日目に朝青龍の右ひじを痛めつけたツケが跳ね返ってくる形となったが、人事を尽くして天命を待つだけだ。 



 asahi 1月21日
<抜粋>  14日目 走る栃東、追う白鵬 千秋楽、賜杯の行方は?
白鵬は時津海に相撲を取らせなかった。絶好の左上手を引き、腰を振って相手の上手を切る。うまくひざを使って前に出て投げる完勝だった。

でも「栃東、勝ったからねえ。優勝決定戦あったらいいけど、無理だろうね」と表情が晴れない。「中日(の栃東戦)はおれが勝ってたよ。もう一回やりたいけど、自分の力じゃどうしようもない」。自らが負傷させた横綱が頼みとなった皮肉を味わっている。

北の湖理事長は「明日の勝負は、栃東の心持ち次第」と占う。「賜杯が転がり込んでくるかもと思って白鵬の取組を見てるか、なんとしても朝青龍との一番で決める、という気持ちでいくか」

栃東は勝てば春場所が綱とり。白鵬も来場所後の大関昇進のため、13勝の星が欲しい。千秋楽の本割は、賜杯の向こうを見据えた勝負になる。 



 中日 1月21日
<抜粋>  14日目 残った!!白鵬
優勝争いは大関栃東(29)=玉ノ井部屋=と関脇白鵬(20)=モンゴル出身、宮城野部屋=の2人に絞られた。栃東は北勝力を引き落として1敗を堅持。白鵬は2敗で並んでいた時津海を上手投げで下した。千秋楽で栃東が朝青龍を破れば、2003年九州場所以来3度目の優勝が決定。白鵬が大関琴欧州に勝ち、栃東が敗れれば、2人の決定戦となる。

得意の左前まわしを取った白鵬がつり上げるように引きつける。時津海の両足がフワッと浮き上がった。勝負が動く。柔道の内またのように左足を入れながらの上手投げで豪快に転がした。2敗同士の一番を危なげなく制して、自己最多タイの12勝目。逆転優勝の可能性をただ1人残した。

「(まわしの)いいところ取れました。優勝決定戦? どうかな…。やりたいけど自力では無理だから」

威勢がいい言葉は出てこなかった。それでも、自分の相撲が取れているという実感はある。相四つになる時津海は右下手を引いて勝機を見いだすが左ひじを締めて攻めを封じた。厳しい相撲で地力の違いを見せつけた。

まずは千秋楽の琴欧州戦に必勝を期す。自力優勝の可能性はないが、来場所以降の大関昇進の気運が高まってきた。北の湖理事長(元横綱北の湖)は「12と13じゃ全然違うから。ひとつの重みが違うんだ。自分が勝てば(栃東に)プレッシャーを掛けられるんだから」と昇進について言及した。白鵬も「13番勝つとだいぶん違う」とうなずく。先場所は小結で9勝。もう一つ白星を加算したい。

大関昇進を先に越された琴欧州への対抗心は強い。先場所は同体取り直しの末に敗れた。結果的に昇進を後押ししてしまった。「琴欧州に借りを返したい? それはありますね」。ぼそっとした口調の白鵬が一瞬力を込めた。色白で天性の柔らかい筋肉を持っている。相撲をするために生まれてきたような肉体は約10キロ増量して相撲のスケールが大きくなった。初優勝は琴欧州に譲れないところ。本割でライバルを撃破して、結びの一番の結果を待つ。 (中谷秀樹) 



 スポニチ 1月21日
<抜粋>  14日目 2敗白鵬 栃東と再戦を
優勝への望みをつないだ白鵬は「自分の流れがつくれた」と、2敗で並んでいた時津海を豪快な左上手投げで下した相撲を振り返った。

初優勝のためには千秋楽でライバルの琴欧州を破ることが絶対条件。決定戦に持ち込むには、その上で栃東が朝青龍に負けなければならない。「(決定戦は)取りたいけど、無理だろうな。横綱、調子悪いっすよね」。8日目栃東戦は両者が土俵下へもつれて落ちる際どさ。結果的に物言いもつかなかったが「オレが勝っていた」と今でも悔しがっている。それだけに、運を天にまかせた。

13勝の初優勝なら、先場所の9勝と合わせて春場所での大関獲りも見えてくる。そのためにも勝っておきたい琴欧州戦に向け「13番勝ったら違ってくる。頑張ります」と気持ちを高めていた。

≪朝青龍V8消滅≫栃東が北勝力を下した瞬間、8連覇の夢を絶たれた朝青龍は控えで首を大きく後ろへ傾けた。緊張の糸は切れかけたが、結びでは新大関・琴欧州に気迫の相撲で一人横綱の意地を見せた。持ち前の動き回る相撲で揺さぶりをかけ、左手で相手の右を何度もたぐりながら絶妙のタイミングで引き落とした。「きょうは特に勝ちたかったんだ」

04年九州から7度の優勝を重ねてきた最強の男もついに“落城”の時を迎えた。稽古不足、右腕の故障と悪条件も重なり「1年以上もね…。いつかは負けるなという気持ちはあった。中途半端に場所に入ってしまった」と苦しい胸の内も明かした。しかし、悔しがってばかりもいられない。「やっぱり目標をつくらないとダメだね。次の目標はあす勝つことだ」と前を向いた。新たな目標へ向け再出発。最初のターゲットは栃東だ。 



 毎日新聞 1月21日
<抜粋>  14日目 朝青龍 意地の11勝
千秋楽は朝青龍が賜杯の行方のカギを握る。04年夏場所の千秋楽では1差をつけられていた北勝力を白鵬が下す援護射撃を受け、優勝決定戦に持ち込んで賜杯を抱くことができた。白鵬には、その時の借りを返す絶好のチャンスにもなる。帰り際には「(優勝争いを)面白くするために頑張るよ」と宣言。最後まで憎らしいほどの強さを見せなくては、朝青龍らしくない。(甲斐 毅彦) 



 デイリースポーツ 1月21日
<抜粋>  14日目 白鵬逆転初優勝へ2敗堅持
逆転初優勝へ白鵬が望みをつないだ。時津海との2敗対決を豪快な上手投げで快勝。「栃東関とやりたいな」と優勝決定戦を熱望した。

8日目・栃東戦の敗戦に納得していない。「勝ってる。(栃東の)足が返っているもんな」。土俵際、微妙な勝負となったが、軍配は栃東に上がり、物言いすらつかなかった。雪辱の機会を決定戦に求める。

疲れはピークに達しており、午後7時に寝てもまだ疲労が抜け切れないという。それでも初優勝への野望が戦闘本能を目覚めさせる。先場所9勝の不振を払しょくし、自己最高の12勝に並んだ。「13番勝ったら来場所が違ってくる」と大関とりへの意識も口にした。千秋楽、結び前の一番で琴欧州と対戦する。大関とりで先を越されたライバルを破り、初優勝を目指す。 



 スポーツ報知 1月21日
<抜粋>  14日目 モンゴル代表白鵬 22日最終決戦
西関脇・白鵬(20)=宮城野=が、初優勝への夢をつないだ。立ち合いで、右のがっぷり四つ。冷静に相手の上手を切ると、豪快な上手投げで32歳の時津海を投げ捨てた。「上手をうまく切れた。がっぷり四つになってヒヤッとしたけど、自分の流れをつくれた」表情を崩さずに振り返った。

 朝青龍のVは消えたが、白鵬にはモンゴル勢8連覇がかかる。「強いね、栃東関は」ライバルをたたえたが、8日目に敗れているだけに「やりたいな」と決定戦を熱望。「横綱(朝青龍)は調子悪そうですよね。あした(本割りで)自分が当たっていればいいのに」絶好調の今、決着をつけてみたい。

 春場所(3月12日初日、大阪府立体育会館)での大関取りにも、千秋楽は大きな意味を持つ。三役で3場所合計33勝以上が昇進目安。05年九州は小結で9勝だっただけに、一つでも多くの白星を手にしておきたい。

 「13番だと来場所が違ってくる」相手は大関取りで先を越された琴欧州。次期大関に名乗りを上げるには格好の相手だ。「疲れはある。でも、勝っているから感じない。頑張りますよ」と白鵬は言い切った。(斎藤 成俊) 



 日刊スポーツ 1月21日
<抜粋>  14日目 白鵬夢つなぐ12勝
<大相撲初場所>◇14日目◇21日◇東京・両国国技館

関脇白鵬(20)が2つの夢をつなぐ大事な12勝目を挙げた。相手は同じ2敗で初顔合わせの時津海(32)。「右四つだけには組ませない」と決心して臨んだ。すぐに左上手をがっちりつかんだ。時津海にも左上手をつかまれかかったが、すぐに腰を振って切ると左半身となった。左上手を引きつけて相手を持ち上げると、最後は上手投げ。「(実は)緊張してた」といい、ほっとため息を1つついた。

来場所での大関とり挑戦へ続く貴重な白星だ。千秋楽は、先場所12日目に取り直しの末に敗れた新大関琴欧州。大関昇進の先を越されてしまったライバルだ。「借りは返したい? それはありますね」。そう言うと、隣で帰り支度をする琴欧州をチラッと見やった。北の湖理事長(元横綱)は「(大関とりのスタート場所が)先場所の9勝だから印象はまだ薄い。13勝することで話題になる」と話した。あと1勝が必要だ。

逆転の初優勝もかかるが、白鵬は「(栃東の対戦相手の)横綱が調子悪いみたいだし、どうだろうなぁ」と、ややあきらめムード。栃東との1差は変わらないが、まだ優勝決定戦に持ち込んでの逆転の可能性も残されている。まず琴欧州を倒し、結びの一番を待つ。【瀬津真也】 



 中日スポーツ 1月21日
<抜粋>  14日目 残った!!白鵬
北の湖理事長(元横綱北の湖)は「12と13じゃ全然違うから。ひとつの重みが違うんだ。自分が勝てば(栃東に)プレッシャーを掛けられるんだから」と昇進について言及した。白鵬も「13番勝つとだいぶん違う」とうなずく。先場所は小結で9勝。もう一つ白星を加算したい。 



 毎日新聞 1月22日
<抜粋>  千秋楽 優勝の栃東、大阪場所での綱取りに言及 理事長
関脇・白鵬についても「(12勝から白星を積み上げた)この1番は大きい。13勝は優勝に準ずるといっていい。今場所同様の数字を上げれば、(大関昇進の)話題は出てくる」と話した。 



 毎日新聞 1月22日
<抜粋>  千秋楽 栃東が3回目の優勝 朝青龍を降し14勝1敗
○…8連覇を逃し、結びの一番でも精彩を欠いた朝青龍。栃東の上手出し投げに、ばったりと体の正面から土俵に落ちた。「上半身と下半身のバランスが悪い。(モンゴルの後輩の)白鵬に優勝させてやりたい気持ちはあったけど」と悔しがった。12日目の白鵬戦で痛めた右ひじは肉離れを起こしているといい、けがをかばいながらの必死の土俵だった。それでも11勝という結果に、横綱のプライドが傷ついた様子。「こんな情けない負けかたして…。来場所は誰に対しても鬼になるよ」と巻き返しを誓った。。 



 産経新聞 1月22日
<抜粋>  千秋楽 白鵬、2敗堅持 決定戦に望み「やりたいなあ」
同じ2敗でも番付は正直。地力が違う。鋭い立ち合いで左上手を得た白鵬。「いいところを取ったし、自分の流れ」と時津海を追い詰める。土俵際、相手の上手を切って、投げ捨てた。

後がない一番で下位力士との顔合わせは「緊張した」。だがいずれ上に立つ身。これも必要な経験だ。

理想の力士は父のジジドさん。モンゴル相撲で6度の優勝を誇る大横綱だ。優勝は白鵬の生まれる前。「すごい格好いいよ」とほれ込む雄姿もビデオで見た。自身の両手で賜杯を抱くイメージは「まだ、わかない」。そんな息子に父は電話の向こうから、「集中していけ」と妥協を許さない。

千秋楽は大関昇進で先んじた琴欧州との一番。今場所の一念発起を促した相手に、闘志は高まる。優勝決定戦に賜杯へのかすかな望みをつなぎ、「やりたいなあ」。色気はあるが、足取り軽い栃東に「無理だろうな」と弱気の虫も。

山頂までわずか。本割で意地を示し、福音を待ちたい。(森田景史) 



 デーリースポーツ 1月22日
<抜粋>  千秋楽 白鵬「決定戦やりたかった」
結び前の一番、琴欧州を軽々と寄り倒した白鵬は“次の一番”があると信じていた。「横綱が勝ったら」との思いで土俵下から見つめた結びの一番。しかし、願いはかなわず、初優勝には手が届かなかった。

悔し涙をぬぐった目は真っ赤。「もう一回(優勝決定戦を)やりたかった…」。支度部屋ではうつむいたまま、力の抜けたほほ笑みを浮かべるだけだった。

昨年の名古屋場所で左足首を負傷。本来の力強い相撲が取れなくなった。今年は、入門以来初めて正月をモンゴルで過ごしてリフレッシュ。場所前には横浜市の禅寺で座禅を組み、精神面を見つめ直した。

「あの子は目標を持たせると結構やる。約束を守る」とは入門時から指導する熊ケ谷親方(元幕内・竹葉山)。場所前に課した「11勝」のノルマは軽々クリア、自己新の13勝をマークした。

春場所、再び大関とりに挑む。昨年春場所で迎えた大関昇進のチャンスは8勝止まりで逃した。「今回の悔しさを来場所につなげられれば」。初日前日の3月11日に21歳の誕生日を迎える白鵬は成長の跡を見せるつもりだ。 



 スポニチ 1月22日
<抜粋>  千秋楽 白鵬大関見えた 来場所12勝で可能性
白鵬が春場所(3月12日初日、大阪府立体育会館)で2度目の大関獲りに挑む。

白鵬は琴欧州を寄り倒して13勝。昨年九州場所の9勝と合わせて直前3場所の勝ち星の目安となる33勝へあと11勝とした。取組後、押尾川審判部長(元大関・大麒麟)は先場所の9勝を問題視しつつも、12勝を合否のラインに示した。また2度目の殊勲賞も獲得した。

【千秋楽取組結果】
タオルを目元に押し当てた。すべての取組が終わった後の支度部屋。目を赤くした白鵬は言葉を絞り出した。「終わったなあと思った。横綱が勝ったら…。決定戦でもまだ力はあった。しようがない」

大関獲りの夢は春場所へつないだ。前回の大関獲りの場所となった昨年春場所は初日から3連敗で散った。九州場所は9勝に終わっているものの、今場所の優勝争いで機運は盛り上がる。「今場所同様の成績なら話題になる」と北の湖理事長。押尾川審判部長も「先場所9勝だから多少ハードルは高い。12勝なら大いに可能性はある」と具体的な数字を示した。

ライバルを追う戦いだ。琴欧州とは昨年九州場所13日目に対戦。物言いがついて、取り直しの末に敗れた。その結果、昇進争いで先を越された。育ての親の熊ケ谷親方(元幕内・竹葉山)によれば、部屋に帰るとタオルを投げつけて悔しさをあらわにした。再び追いつく機会が訪れる。

場所後は1週間程度休むのが慣例だが、白鵬は「休みたくない。あす(23日)から稽古だ」と言い切った。はやる気持ちを早くも抑えられない。 



 サンスポ 1月22日
<抜粋>  千秋楽 白鵬13勝!春は大関とりへ
“悲願の糸”が切れたとき、涙がこぼれそうになった。栃東の白星を見届けると、白鵬は唇をギュッと噛み締め、花道を引き揚げた。ライバル琴欧州を破りながらも、初優勝には手が届かなかった。「緊張しました。決定戦? やりたかった」。

殊勲賞を獲り、自己最多の13勝目は、来場所の大関とりへの大きなステップとなった。北の湖理事長は「13勝は優勝に準ずる星。来場所も、今場所のような相撲を取れれば(大関昇進への)話題性は、十分にある」と明言した。

先場所は西小結で9勝と、ここ2場所で22勝。大関昇進は直前3場所を、三役として計33勝以上が目安とされている。春場所で11勝以上を挙げれば、それをクリアできるのだ。

同じ外国人力士の琴欧州が今場所、新大関として土俵に立った。「オレも大関になりたい。その気持ちはある」。熱い思いを公言して臨んだ場所で結果を残した。優勝を逃した悔しさで、支度部屋ではずっと涙ぐんだままだったが、潤んだ瞳の奥に、ライバルの背中がはっきりと見えた。 



 日刊スポーツ 1月22日
<抜粋>  千秋楽
<大相撲初場所>関脇白鵬(20)は新大関琴欧州(22)を下し13勝を挙げ春場所に大関昇進をかける。

人目をはばかることなく涙にくれた。白鵬は支度部屋の隅っこに座ると、誰も寄せ付けなかった。付け人の龍皇と2人っきりになり、目頭を押さえて泣いた。ようやく報道陣が近寄っても、タオルを顔にかけ、まだ泣いた。初優勝、20歳で賜杯を手にする最後のチャンスを逃し、悔しがった。

最後まで力を出し切った。先場所取り直しの末に敗れた琴欧州との一番。立ち合ってすぐに左前まわしをがっちりつかまえた。相手には左上手を許さない。間髪入れずに左上手出し投げ。琴欧州がこらえようとすると、体を預けて寄り倒した。鋭い左足の踏み込み、低く落とした重い腰、力強い投げ、寄り…。一皮むけた今場所の集大成のような完勝だった。望みをつないで次の朝青龍-栃東を見守った。しかし、朝青龍が敗れて終戦-。「横綱が勝ってくれたらと考えていた…」と、声を絞り出すのが精いっぱいだった。殊勲賞受賞にも、喜びはなかった。

それでも、来場所の大関とりの挑戦権は確保した。北の湖理事長は「(大関とりのライバルだった琴欧州を倒した)この一番は大きい」とうなった。押尾川審判長も「優勝ならもちろん、V争いしての12勝なら大いに可能性がある」と話した。先場所は9勝だが、今場所13勝。朝青龍に勝ち、中日に優勝した栃東に負けたのも際どい一番だった。限りなく優勝に近い準優勝も好印象だ。

「頑張ります」。最後はV逸の結果を吹っ切るように、言い切った。昨年の春場所、初めての大関挑戦はけいこ不足と重圧で8勝止まり。1年を経て、再び巡ってきたチャンスに、成長のあかしを見せる。【瀬津真也 



 ヨミウリ 1月22日
<抜粋>  千秋楽
 



 ヨミウリ 1月22日
<抜粋>  千秋楽 白鵬、大関取り全進
「緊張した。(結びの結果を見て)終わったと思った」風邪による発熱に耐えながらの戦いは実らなかった。

大阪の無念は、大阪で晴らす。西関脇で臨んだ昨年の春場所。優勝すれば大関昇進といわれていたが、8勝7敗に終わった。その後、睡眠時無呼吸症候群や左足首のけがなどで低迷。琴欧州に先を越された。

風呂に入って落ち着くと「しようがないよ。あしたからけいこだあ」と、いつもの笑顔を取り戻した。27日から母国・モンゴルに帰国し、大好きな両親と旧正月を過ごす。「今場所の悔しさをバネに頑張ります」もう涙はいらない。一回り大きくなった白鵬が、優勝と大関の2つの悲願に再び挑む。(斎藤 成俊) 



 神奈川新聞 1月31日
<抜粋>  白鵬関が講演会に殊勲賞贈る/横須賀
大相撲初場所で十三勝を挙げ、殊勲賞を受賞した宮城野部屋の関脇・白鵬関(20)=モンゴル出身=が三十一日、同部屋横須賀後援会に初場所の活躍を報告するため横須賀を訪れ、殊勲賞のトロフィーを同後援会会長の服部眞司湘南信用金庫理事長に贈った。

白鵬関は初場所で、横綱朝青龍関、大関琴欧州関を破るなど大活躍し、自身二度目の殊勲賞を受賞した。昨年十一月の九州場所では九勝しており、三月の春場所(大阪)の十二勝以上で、大関昇進が有力視されている。

同部屋は先々代の宮城野親方(元小結広川)が横須賀出身でだったことから、毎年市内でサマーキャンプを開くなど横須賀と縁が深い。四月九日には春の巡業・横須賀場所も開催される。

白鵬関は、「春場所で十二番以上勝って、四月の横須賀場所では大関になって戻ってきたい」と意欲を語り、殊勲賞のトロフィーや盾、賞状などを贈った。

服部会長は「大関になるには、勝っても負けても礼儀正しくお辞儀をするなど、みんなから『いいお相撲さんだ』と言ってもらえることが大事」と諭していた。 



  2月1日
<抜粋>  成田山節分会 不動ヶ岡不動尊總願寺 
【大相撲力士】
横綱:朝青龍
関脇:白鵬 
前頭:出島 前頭:稀勢の里 十両:闘牙

午後8時30分  大護摩供・鬼追い豆まき式(3回目)
横綱 朝青龍関
大関 魁皇関、白鵬関 、立浪親方



 読売新聞 2月1日
<抜粋>  関脇白鵬が湘南信用金庫を訪問
大相撲初場所で準優勝して殊勲賞を獲得した関脇白鵬が31日、湘南信用金庫本店を訪れ、宮城野部屋横須賀後援会長を務める服部真司理事長に殊勲賞の盾をプレゼントした。

白鵬は毎年夏、横須賀市内でサマーキャンプを張り、力を付けた。初場所では、横綱朝青龍も破り、堂々の13勝2敗。3月場所で大関昇進を狙う。

この日は、横浜市内で左足首の治療をした後、横須賀入り。服部理事長に「4月9日の横須賀場所には大関で臨むように」とはっぱをかけられ、「頑張ります」と表情を引き締めていた。 



 毎日新聞 2月1日
<抜粋>  大相撲:関脇・白鵬関「大関獲り宣言」--横須賀後援会を訪問 /神奈川
大相撲初場所準優勝の関脇、白鵬関(20)=宮城野部屋・モンゴル出身=が31日、横須賀市の宮城野部屋横須賀後援会(会長・服部眞司湘南信金理事長)を訪問、3月場所(大阪・3月12日開幕)で「12勝で大関取りを」と宣言した。

5年前の入門時68キロだった体重も今や152キロに。初場所は横綱・朝青龍も破り、殊勲賞に。夏けいこで毎年、横須賀に来ており、地元ファンも「大関昇進を」と期待が盛り上がる。服部会長が「礼儀正しい土俵に徹すれば、大関の器は十分だ」と激励、白鵬関は「痛めた左足首も回復した。3月場所では12勝以上を目指し、期待に応えたい」と自信を示した。

3月場所前日に21歳になる白鵬関は「年末に初めてモンゴルに里帰りした。体調もいい」と笑顔。4月9日に地方巡業の大相撲横須賀場所が開かれる。「新大関・白鵬」の金看板が飾られるか。【網谷利一郎】 



 サンスポ 2月3日
<抜粋>  白鵬風邪ダウンで、体重6キロダウン
大相撲春場所(3月12日初日、大阪府立体育会館)で大関とりに挑む関脇白鵬が2日、殊勲賞を獲得した初場所後に風邪で3日間ダウンしていたことを明かした。この日、東京・両国国技館で健康診断を受けたが、「39度まで熱が出てあまりゆっくりできなかった」と苦笑い。初場所中は154キロあった体重が、この日は6キロ減の148キロ。昨年九州場所で9勝、初場所では13勝を挙げ、春場所で11勝以上すれば、大関昇進条件の目安とされる直前3場所合計33勝に到達するだけに、体調管理には気をつけたいところだが…。 



 ヨミウリ 2月4日
<抜粋>  力士全国で豆まくまく
春場所で大関取りに挑む関脇・白鵬(20)=宮城野=も、千葉・成田市の成田山新勝寺での豆まきの後、西新井大師で栃東と合流。夜は埼玉県内の寺まで行き、一日で合計3つの寺を駆け回る多忙さだったが「楽しかったです」とファンとの交流に喜んでいた。 



 サンスポ 2月4日
<抜粋>  栃東 ひと足早い「横綱」に大テレ
千葉、東京、埼玉の3カ所で豆まきをした白鵬は「楽しかった」といいながら、ちょっぴり疲れた表情。  



 デイリースポーツ 2月4日
<抜粋>  栃東 ひと足早い「横綱」に大テレ
モンゴル帰国を見合わせてけいこに専念している白鵬も「とても楽しかった」と、いい気分転換になった様子。春を彩る注目力士2人がリフレッシュして目標へ突き進む。 



 日刊スポーツ 2月4日
<抜粋>  綱とりの栃東が豆まき、ファンから横綱~
西新井大師では大関とりに挑む関脇白鵬(20)も登場。「けいこして頑張る」と気持ちを新たにしていた。 



 共同通信 2月5日
<抜粋>  朝青龍が2度目の優勝 大相撲トーナメント
横綱朝青龍が2年ぶり2度目の優勝を果たし、優勝賞金250万円などを獲得した。
朝青龍は準決勝で黒海を寄り切り、決勝では昨年優勝の関脇白鵬を送り出した。初場所を制し、春場所に横綱昇進を懸ける大関栃東は準々決勝で小結旭天鵬のうっちゃりに敗退。ほかの大関陣は琴欧州が準々決勝で敗れ、魁皇は初戦の2回戦で姿を消し、首などを痛めている千代大海は休場した。十両は栃乃洋が優勝した。 



 サンスポ 2月5日
<抜粋>  朝青龍“出直しV”決勝で白鵬圧倒!もう負けん
立ち合いで頭から当たった朝青龍は、白鵬の背後にまわって冷静に送り出した。差し手を争う攻防の中で頭を低く下げる姿に、必死さが見え隠れした。

★白鵬、みのの応援実らず
連覇を目指した白鵬は決勝戦で朝青龍に屈した。この日は昨年夏場所前に化粧まわしをプレゼントしてくれたタレント・みのもんたが駆けつけたが、「力が入った。『絶対優勝してくれ』といわれていた。いい報告をしたかった」と残念そう。春場所は大関とりに挑むが、その前景気を煽ることはできなかった。 



 ヨミウリ 2月5日
<抜粋>  朝青龍貫録V 
◆白鵬ガックリ準V
決勝の朝青龍戦では頭から思い切り当たったが、右かいなをたぐられ、真後ろにつかれての完敗。2連覇を逃した。「残念。(司会の)みのもんたさんに絶対優勝して、と言われていたのに」とガックリ。春場所では大関取りがかかるだけに、弾みをつけておきたいところだった。 



 サンスポ 2月8日
<抜粋>  白鵬、昇進に“血が騒ぐ”…の前にリフレッシュ帰国 
大相撲春場所で、1年ぶりに大関とりを目指す関脇白鵬が、20日から24日まで母国モンゴルへ帰国し、昇進がかかる場所を前にリラックスをはかる。「最近は友達とも会ってないので、ゆっくりしたい」。この日は東京・両国国技館で行われた献血に参加し、400ミリリットルを献血。昨年は風邪をひいて献血を断念したが、責任を果たして笑顔。 



 日刊スポーツ 2月8日
<抜粋>  力士183人が献血
今年は大雪により東北、日本海に献血車を派遣できない影響で都内でも血液が不足している。この日は関脇白鵬、幕内垣添らが400ミリリットルの献血に協力。「不足している時に本当に助かります。依然として慢性的に不足しており、今後もご協力をお願いします」と関係者も感謝しきりだった。 



 日刊スポーツ 2月9日
<抜粋>  白鵬、大関獲りへいきなり30番
関脇白鵬が8日、春場所での大関とりに向けて本格的に始動した。幕下龍皇らを相手に、いきなり30番の申し合いを行い「まだこれからだけど、ぼちぼちだね」と満足げだった。前日7日朝に十両光法に第1子の長男が無事誕生し、この日の部屋は祝福ムード一色。「おれに似てかっこいい」と浮かれる光法に、独身の白鵬は「いいよね。自分も欲しいよ」と、うらやんでいた。これに花を添えるため、狙うは新十両を目指す龍皇とのダブル昇進。「一緒に昇進? ガンバリマス」と意気込んでいた。 



 共同通信 2月11日
<抜粋>  福祉大相撲に4500人 東京・両国国技館
第39回NHK福祉大相撲は11日、東京・両国国技館に約4500人の観客を集めて行われ、詰め掛けたファンたちは本場所と違った和やかな雰囲気を楽しんだ。

栃東や琴欧州らは子どもたちに胸を貸し、高見盛や稀勢の里らはゲームに参加。笑顔いっぱいの力士たちの表情に館内から大きな歓声が上がった。幕内力士による取組も行われた。この日の収益金は約2000万円で、福祉施設・団体に贈る 



 デイリースポーツ  2月16日
<抜粋>  白鵬 順調27番「調子はいい」
大相撲春場所(3月12日初日・大阪府立体育会館)で大関とりに挑む関脇白鵬が15日、都内の宮城野部屋で幕下・望櫻に27番胸を出し「まだ少し疲れているけど、体の調子はいい」と順調な調整ぶりをアピールした。前夜、横綱朝青龍7連覇祝賀会の後、輪島大士さん(元横綱輪島)と会食した。「偉大な輪島さんに“白鵬関と会えて光栄”と言われちゃった。信じられないです。立場逆ですよ」と笑顔。「大関は難しい。3場所いい成績残さないといけない。横綱より難しいかも」。それでも高いモチベーションを維持し、大阪へ乗り込む。  



 スポニチ 2月18日
<抜粋>  白鵬帰国 モンゴルでリフレッシュ
大相撲の関脇・白鵬(20=宮城野部屋)が17日、成田発の航空機でモンゴルへ帰国した。大阪に入る前の部屋の稽古がこの日で終了。大阪宿舎の準備が整うまでの約1週間をリフレッシュ休暇に充てる。モンゴルでは父ムンフバトさんの故郷に出かけ、大草原の中のゲル(ドーム型のテント)で数日間過ごす予定。「パワーをたくさんためてきます」と大草原の力を体に蓄え、大関獲りの懸かる春場所(3月12日初日、大阪府立体育会館)に備える。   











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