木の葉旋風脚

木の葉旋風脚

頂き物小説 幸ちん様より 海堂×荒井

幸ちん様から頂きました☆

妊娠お祝い☆海堂×荒井王子の小説です☆☆☆(続き物??是非、続きをぉおぉお!!!!←切望☆)

とても素敵な小説をありがとうございます!!!


-- 愛しさの距離 --


まだ、夏の暑さを引きずるほど汗だくになる毎日ではあったが、

季節は、確実に秋に向かっており、今年の二学期も、もう通常時間割に戻っていた。

桃城より遅めに部室に現れた荒井は、前副部長の大石から、

巨大と思える書類の山を手渡された。

「これとこれは、ちゃんとファイリングしといた方がいいからな。、
後、これは、生徒会に提出する資料と・・・それから、来年度の分の予算も確保しなきゃならんから、今まで使った分の部費を、ここに纏めてあるからな。これに、秋季大会で、かかった経費を足して、生徒会にかけるんだ。
・ ・あっと・・この前の練習試合の交通費、まだ未払いのヤツがいるから、お前が、払っといてやれよ。もう、俺の仕事は、終わったからな・・」

「えっ・・大石先輩! これって、全部、俺が一人でするんすかぁ!」

「ぁあ? 当たり前だろっ、それは、副部長の仕事だからな。予算の交渉は、部長と一緒にするけど、事務的な仕事は、お前がやらなきゃな。」


大石の今までと違う口ぶりに、少々面くらいながらも、荒井は、手にした書類を、
テーブルにおいて、少しばかり、仕分けを始めた。

「最初は、大変だろうが、慣れれば、たいしたことないさっ。お前なら、できる! そう思って、副部長にしたんだからなっ」

そう言って、肩を叩かれれば、悪い気はしない。

「けど・・・無理しすぎるなよ。どうしても、手に負えないときは、誰かに手伝って貰えよ。お前は、なんでも、自分でやろうと無茶しすぎるからな。」

「あっ、はい・・・」

荒井は、めずらしく、素直な返事を返した。

いや、基本的に、単純で出来ている彼は、素直なときは、意外にどこまでも素直なのだ。

ただ、何かと、後輩や、他校生とぶつかることもあった為、

扱いにくい類の人間と、勘違いされやすい性格ではあった。

"その辺りが、良い方向に向かうと頼もしいんだがな・・・"

一種の期待を持って、大石は、部室を出て行った。

大石の出ていった後、一人残って書類の整理をしていると、日直を終えた海堂が、入ってきた。

「よぉ、おせぇじゃねえか!」

「はぁ? 日直だったんだよ。てめぇこそ、まだコートに行ってねぇじゃねえか」

「これを見ればわかるだろっ。書類の整理してんだよ、これも、副部長の仕事だからな」

「ふぅん」という風に、鼻で、返事をしてから、後ろを向いて、着替えをはじめた。

「くっそぅ、なんだよ。なんで練習試合に行く時、みんなバラバラに集合なんだ?
あっ、こいつら、一年のくせに、駅からはタクシー利用だぜっ、ったく。
なんだよ、マイナスって!!マイナスのレシートって何なんだよっ!
はぁ~~ ラッカーの返品って何だよ、それ?」
荒井は、バンダナの上から飛び出した前髪を無造作にかきむしりながら、眉間にシワを寄せて、不慣れな作業と格闘しているようだった。

大石の纏めた書類は、どこまでも整然としていた。

いや、それは、当たり前のように、時系列に並べられていたに違いない。

だが、荒井の手からこぼれたソレは、バサバサと音を立てて、土の残る部室の床に無残にも、裏表さえ入り混じってバラ撒かれたのだ。


その白い書類に手を伸ばそうとした瞬間 ・・・・

ふいに、ゴツゴツした無骨モノの右手に触れた。

「おいっ、気ぃつけろよ」

着替えを終えた海堂が、かがめた腰を起こしながら、手に取った書類を荒井に渡す。


「・・・ぉ おおっ、わかってるっ」


優しく礼を言えるはずもない。

ほんの数日前まで、荒井自身、海堂が副部長に納まると考えていたからだ。

それが、予測もしなかったことに、自分が副部長を任された。

それ以後、海堂とは、廊下で会っても、部活の間でも、どこか、ギクシャクした態度を互いにとり続けていたのだ。

海堂自身は、そんなことを、気にかけている風もなかったのに、荒井の方が、変に意識しすぎたのかも知れない。

海堂の手から、ひったくるように書類を取り上げると、まるで机に叩きつけるように、コンコンと紙の端を揃えていく。


「あんま、無理すんなよっ」 海堂は、荒井の背に呟きともとれるほどの小声で話しかけた。

哀れみに似た その口ぶりがどうにも、気に入らなかったと見える

「けっ、無理なんかしてねぇよぉ」

その時の荒井には、つっかかった物言いしか出来なかったのだ。


ラケットを片手に、部室を出て行こうとする足を止めて、荒井の方に向き直る。


「お前・・・・・なんでも一人でしょい込むな。
俺だって、桃城だって、他のヤツラだっていんだろ?
出来ねぇ分は、手分けすりゃ、済む話じゃねぇかっ」


それが海堂の優しさだと受け取れるほど、その時の荒井に余裕は無かったのだ。


-----  屈辱  -----


コートの上では、力の差が歴然と現れている荒井にとって、
成績表一覧の自分より上の位置に海堂の名前を見つける時の不快さに加えて、
簡単な庶務の仕事にさえ手を焼いている自分が、
なんと惨めなことかと、改めて思い知らされる。


雑多な片付けを適当に終えたまま荒井は、皆より遅れてやっと練習に参加した。


いつも通りの風景の中に、もう三年生の姿はなかった。


来週には、新しいレギュラー用のブルーのジャージが届く予定になっている。

その注文用紙に記入したのも、荒井自身だった。


荒井にとってはやっと袖を通せるそのジャージを、既に磨り減るほど着古した男の後ろ姿を、悔しいが なぜか "綺麗だ"と感じていた。

最後の片付けを一年に命じてから、部室に戻った荒井は、

机の上にきちんと積まれた書類を目にした。

「・・・こいつは・・・・」


桃城は、そっけない振りで 「んあ~ さっきマムシが何かしてたぞっ」

「おっおいっ」 慌てて海堂を見る荒井。

だが、こちらは振り向かずに、そのまま着替えを続けていた。


着替え終わった林が、向こうから声をかける。


「ああそれ。海堂に言われて、俺と池田も手伝ったんだぜ。
手分けすりゃ、すぐに済むしな。
それに、お前も雑用ばっかじゃ、自分の練習もろくに出来ねぇだろっ。
せっかくレギュラーになったのに、今度の練習試合で、ボロ負けされてもな・・・
って・・・これは、海堂が言ってたんだけどな・・・なぁ海堂?」


当の本人は、林にふられて少しばかり息を呑んだが、やはりいつも通り、
フシューッと口をとがらせて、ロッカーをバタンと閉めた。


「青学レギュラーとして、恥ずかしい試合は、するんじゃねぇぞっ!」

「・・・・・てめぇ・・・・」

・・・と、先ずはココまで。。。続きは又後日?!!←勝手に決めるな。



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