外資系経理マンのページ

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たそがれのカツドウヤ 13



単純労働である。別に重い荷物をもつわけではない。単純な作業の繰り返し。ビデオをつめ、パッキンをいれ、チラシをいれて封をする。

快感とか、悶絶とか、色情といったタイトルが、本来のもつ意味をこえて、記号と化した。

これ、けっこう研修の目的の一つだったりすのかもしれない。

4月。汗ばむ陽気ではなかったが、お昼ころには、きていたTシャツの腕の付け根あたりに、じわーっと汗がにじんでいた。

「そろそろお昼だな」

オオタが、くわえたばこのハイライトを、灰皿のうえにおいて言った。

「もう、こんな時間だわね。あなた、おなかすいたんじゃない?」

すいたようでも、すいてないとも不思議なお腹の具合だった。

駅前の大衆居酒屋の看板のよこを、ほかのみんなについていく。階段のわきに黒板があり、

本日の日替わり  ちらし寿司 600円

「これだね」

シマザキが言うと、ヤマダが

「しまさんの好物だものね」

二階は通路の両側が、畳になっていて、ほぼ満席だったが、一か所4人がすわれるテーブルがぽつりとあいていた。

「じゃあ、あれでいいね」
「もちろん」

オオタが有無をいわさず、ちらし寿司をたのんだ。ゴンタワラは。なぜかにぎりをたのんだ。

「そういえば、しまさんあれの更新はしたの?」
「もちろん」

「あれってなんですか?」
「アカデミー会員だよ」

なんでも、年間1万円を払うと、会員になれ、パスをもらうとどこの映画館でもフリーパス。

なぜ?アカデミー賞の投票しなくてはならないからだ。

ただし、入会には、現会員の推薦が必要。その会員証をみせて映画館にはいる自分の姿がめにうかぶ、


そこへちらし寿司が運ばれてきた。これまで経験のあった京ちらしとちがって、刺身のネタがぼんぼんとのっていて豪快だった。

でも、そのときは「アカデミー会員」のことで頭がいっぱいだった。

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