GOlaW(裏口)

2008/07/12
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 悲しみと存在を、攻撃性にすり替えて。

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 ひたすらお待たせして申し訳ありません(汗)。
 『猟奇的な彼女』を見て感じたことを書かせていただきます。

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 今回の脚本は『西遊記』と同じ坂元さんが担当されています。
 デートのディナー時に変なネタで揉めさせたり、登場人物の性格が一話の中で整合性がとれていなかったり……etc.な部分に、『西遊記』と同じ問題点を感じるかな(滝汗)。
 『場面を固定化しすぎて、テンポが壊滅的になる』致命点な点は改良されてるんだけれど(苦笑)。

 けどそのあたりを開設していると、繰り言になっちゃいますね。
 だから今回は
『本当だったら、どんな風に凛子を描きたかったのだろう』
『三郎を、どう描きたかったのだろう』


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 『暴力・非常識女』というキャラクター。

 現在、『モンスター○○』と名付けられるような非常識人間を敵視する風潮があります。
 その中で凛子という女性を描くことは非常に難しい行為だったと思います。

 『暴力を振るう女の人』というキャラクターも、『表面的に理不尽なことをいって男を振り回す女の人』も、実はドラマやアニメでよく描かれます。
 しかしながら、それらのキャラクターに共感するには『精神的に地続きの部分』が無いと難しいことです。
 分かりやすい例をあげるならば、『どこかで理性的』であったり、『理不尽なことに対する発散』であるなら、その行動も可愛らしく見えるということです。


 凛子の場合、暴力的かつ理不尽なんですよね。
 だからといって、三郎から暴力を振るって抗議しなくてはいけないほどの横暴なことはされておらず。
 理不尽なことの裏に、理性的な判断があることが少なく。

 そのあたりの補足の弱さが、私の感情移入度合に影響している気がします。

(余談: 自分の好きな作家さんに、『魅力的に描けないのに、暴力女・非常識女・理不尽女ばかり好んで書く』男性作家がいて。…それさえなければ、とびきり面白い小説やTRPGリプレイを書く作家さんなのだけれど(汗)。


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 凛子が暴力を振るうわけ。

 ただ凛子が前述のパターンとは違う理由を持っているのだろう、とは薄々感じています。
 一つは『寂しさや弱さを庇うための、過剰防衛』、一つは『父親の影響』ですね。



 トラブルのたびに『ぶっ殺すぞ』と周りを威圧しては、『ごねたもの得人生』を実践してきたんでしょうね。
 たぶん、一部の人は思春期あたりでそんな父親に反発し、理性的になるんでしょうが…。
 ただ、凛子にとっては、そんな父親の手法が一種の魔法のようであったと思われます。彼を慕う気持ちが、同じ言動をとらせるようになり。そしてそのまま、彼女の中に定着したんだと思います。


 もう一つ、彼女にとって暴力や理不尽な行動は『過剰防衛であり、甘えである』と私は考えています。
 彼女はどうしようもなく脆く、その割に虚勢を張りたがる癖があります。
 『野々村さんのことを忘れた』と言いながら、彼の痕跡ばかり追いたがったり……と。

 自分に虚勢を張って、他人に虚勢を張って。 
 誰かの不運や失敗を笑うことでしか、心は安らげずに。
 理不尽を許されることでしか、自分の居場所を確認できずに。


 社会非適合者の裏の悲哀が、ちらりと感じられました。

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 三郎という人。

 『好きな人には逢いに行け』と言ったり。凛子を手放そうとしたり、ぶち壊したり。
 物語の主軸となるべき部分で主義主張がコロコロ変わる彼は、一番理解しにくい人かもしれません。

 ただ、彼の優しさや共感能力は『日本人的』な部分だと思うんです。
 日本人は『口にしない部分を、空気として感じとれ。言わなくても、分かって行動しろ』という考え方がありますよね。
 逆に韓国の人は『言いたいことは全部、言ってしまえ。言われないことは理解できない』という感じらしいですね。

 だから凛子や彼女の父親が「私がやってくれって言ったのか!」と切れるのは韓国映画である原作の名残かな。
 そんな彼らだからこそ、『虚勢の裏に潜む弱さ』を掴まれると弱いのだと思います。

 うーん、私も三郎の日本人的な優しさを見習わないとね。

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 草なぎ君三度目の『海に絡んだ職業』(海洋専門大学講師・二回、潜水艦乗務員・一回)だったけれど、それらと見比べたりしながら、魅力を再確認したりしました。

 『フードファイト』の時の似非関西弁男とチャンプのツーショットも、ちょっとうれしかったり。全く違う雰囲気を楽しんだりしました。
 佐々木蔵之助さんが出てくるシーンなど、食い入るように見てしまいましたし。

 凛子が海岸で突き飛ばす殺人未遂シーンとか(←着衣のまま突き飛ばしたら、運が悪ければ溺れ死にます)、自分としては苦手に入る描写も多かったけれど。

 俳優さんの熱演に見惚れることの多いドラマだったと思います。
 なぜか『フードファイト』や『西遊記』に似た、“役者が脚本に頼れないからと、捨て身で頑張っている”感を感じたのは秘密ですけどね(遠い目)。
 その分だけ、役者さんの演技が楽しめた気がします。


 出演者様、スタッフの皆さま、本当にお疲れ様でした。

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 その直向きさに、惹かれるように。





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Last updated  2008/07/12 08:43:36 PM
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