チベット好きの私はデリーにあるチベットキャンプに泊まることを決めていた。「TIBETAN REFUGEE COLONY」と書かれた門をくぐるとそこにはチベットの世界があった。でも本当のチベットじゃない。汚い道にはたくさんのハエがいて、所々にインド人の物乞いがいる。チベット式の小さな寺が二つあった。僧侶も時々見かける。チベットっぽいけど、私のイメージとは違うチベット。 Lunta House で一人のチベット人と出会う。38歳独身。出身は中国のチベットエリア康定で、16歳の時6人の仲間と一ヶ月歩いて山を超え、ここインドに来たそうだ。その時は僧侶だった。僧侶だったのは15年間。何があったのかインドで僧侶を辞めてしまった。今はこのLunta House の経営を任されているとのこと。いつか故郷に帰りたいが、中国が彼に戻るためのビザを発行してくれないと言っていた。ここに亡命してきたチベット人はそれぞれに苦労してきたのだ。大好きな故郷に帰れない彼を気の毒に思った。 彼と話している中で今日の6時半にダラムサラ行きのバスがあることを知った。じっとしているだけで暑い、そして汚いデリーには残る気がせず、早速バスを予約してもらった。彼がバス停まで私を送ってくれた。優しい人だった。