窓。

 
深夜の。 

そう。長電話。

 
同じ一区切りの空間、時間の流れの中に居ても。
会話のほとんどない毎日で。
 
 

「会いたい」「会って話したい」

「会って…抱きしめて?」

 
 

そう。無理だよね。

うん。言わないよ。

 
 

電話越しのその声から。疲れてるのは一目瞭然・・・。

 
 

でも…。

でもね・・・。

 
 

ふと漏れてしまった。

会いたいよ・・・

 
 

「窓開けろ」

・・・・え?

 
 

会いにきたから

・・・・は?

 
 

・・・まさか

・・・・ほんとに?

 
 

慌てて勢いよく開け放った窓の外。
携帯を握り窓を見上げている…
愛しい君の姿

 
 

あぁ・・・。

君だ・・・。

 
 

考えるまもなく部屋を飛び出し
愛しい君に抱きついた

 
 

そう。

君に抱きついたんだ。

 
何度も何度も・・・。 
 
 

何度も窓を開けた先には君がいて・・・。

 
「会いたい」って言うたびに。 

君は会いにきてくれた。

 
・・・ねぇ。 

今また電話をかけて「会いたい」って言ったら 君はきてくれる?

 
そう…。
遠い遠い私の知らない街から。

…海さえ越えて・・・。

 
またこの窓を開けて・・・ 

直接君の声が聞きたいよ・・・。

 
2003.02.10


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