そこで、あなたは“ボール投げ遊び”(’throw the ball’)がしたい、と言いましょう。まず覚えておくべきことは、あなたが遊んでいないときでも、イヌにボールに近づかせないことです。このボールはリーダーのボールです。それはあなた、つまりリーダによって出し入れされます。あなたが好きなだけイヌにボールを投げてあげ、あなたが十分だと思えばゲームを止め、ボールを拾い、イヌが届かない場所に片付けてください。
イヌとコミュニケーションを取ろうとするときに人々が声を上げる、もしくは叫ぶ主な動機の一つは、イヌがコマンドに従わないときである、ということが分かった。飼い主は、力強く言えば、イヌが命令に従うと思っている。しかしながら、イヌが従わない理由は、コマンドに単語よりもむしろ文(sentence)が使われていることにある。例えば「ローバー、座りなさい。(Rover, sit down.)」イヌは私たちが言っていることを、単語ではなく音(sound)によって聞き分けているので、この文のコマンド(sentence-command)にある音は、イヌにとって正しいメッセージをはっきりと理解するには多すぎる。これは、一語のコマンドが重要であるという理由であり、この場合のより良いコマンドは単に「オスワリ(sit)」であろう。
人々がよくやってしまうもう一つの間違いは、コマンドの言葉を変えてしまうことである。これは特に、飼い主が一人ではなく家族で飼っている場合に、同じ命令内容にそれぞれが異なった言葉を使うときに生じるだろう。一人が「ここにおいて、ファイドー。(Come here Fido.)」(これには4つの音が存在する)と言ったり、他の一人が単に「おいで!(Come!)」と言ったりするかもしれない。