はるがやって来た

はるがやって来た

赤ちゃん誕生



 恥ずかしながら、私はこの時の記憶があまりありません。というのも、『やっと判決が出た…。』そんな気持ちだったからです。「もしかしたら、とんでもない結果になるかもしれないな。」そう思ったけれども、妊娠7ヶ月から、漠然としたどうしようもない不安に襲われ続けていた私は、少しだけ『肩の荷が下りた…。』そう感じていました。

 チビちゃんの処置が終わり、少しだけ胸の上で抱っこさせてもらいました。「かわいい~。」反射的にそう言っていましが、心の中は違っていました。すぐに目に見える『異常』を探し始めていました。
「指はちゃんと5本あるのか?」「体はちゃんと動くのか?」…。
そのうち、チビちゃんはNICUへ運ばれて行ってしまいました。パパはその時、保育器の中に入ったチビちゃんをチラッと見ただけだったそうです。

 私の経過がよかったので、数時間後チビちゃんに会いに行きました。その時も、パパに「かわいいよね。」と言っていましたが、私の頭の中は色々な事が駆けめぐっていました。手足の指の本数を、何度も確認しました。目のつり上がりの程度を観察していました。鼻の高さを測っていました。手足の長さを、他の赤ちゃんと比べていました。
「ダウン症?いや、違うよ!」この繰り返しでした。
そして、パパに無理矢理「かわいい」と言わせていました。そうすることで、自分を安心させようとしていました。

 そして、チビちゃんの状態について、説明がありました。
「子宮内の発育が滞っていた低出生体重児です。臍の緒が細く、お産の前に胎児がきつい状態となりましたが、出生時は元気でした。しかし、低体重と呼吸が速いので新生児センターでしばらくお預かりします。点滴・酸素などの医療で改善すると考えています。2~3週間で退院となるでしょう。手足の短いことを指摘されていましたが、動きは良好です。染色体検査の結果は、2~3週間後になります。」と…。

後からこっそり聞いた話によると、(私には黙っておいた方が良いと言われていたが…パパがしゃべってしまった。)多血症が輸液で改善しなければ、交換輸血になると説明を受けていたようです。

 かわいそうですよね?生まれてすぐから、ママにそのような目で見られていたなんて…。(悠にはお見通しだったかもしれませんね!)素直にチビちゃんの誕生を喜んであげられなかった自分が、嫌で嫌でたまりませんでした。

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