家族戦隊ゴニンジャー

ついてない日

今夜もまた、東京地方は熱帯夜だ。
これで30日くらい連続してるんじゃないの？　
新聞を購読していないし、TVのニュース番組にも興味がないから、
正確に何日続いてるのかは知らないけれど、そんなことは大した問題じゃない。
問題なのは、うちのエアコンがイカれちゃったってこと。
このくそ暑い最中に。
そりゃ、毎日毎日フルパワーで動かしてりゃ、
御年１２年という長老級のエアコンには酷い仕打ちだってことくらい、
わかってましたけれど。
昨冬に引っ越して、通りに面した一階に住んでいる今、
暑いからという理由で窓を開け放して眠るわけにもいかないでしょう。
花の乙女？　が。
でも、薄給の私に新しいエアコンを購入する余裕はなく、
アルバイトの身の上ではローンも組めず。
結構シビアな状況だったりするのだ。
修理を頼んだら
「すいませんねぇ、今からだとお盆明けにならないと、部品が入らないんですよ」
と断られちゃうし、
おかげで、やっと出来た彼氏も、
「こんな暑い部屋じゃ眠れないよ！　秋になるまではここで会うのはよそう」
との冷たいお言葉を残して、冷え冷えの実家にこもっているし。
多分、ちゃんとファジーな感覚とエアコンを持った尻軽姉ちゃんと、
毎晩遊びまわっているんでしょうよ。
もう私のもとには帰ってこない予感がする。
哀しいけど、私の予感は、不幸に関してだけはハズレたことがない。
みんなビンボが悪いんや！　ってどこかで聞いた台詞を言ってみたところで何にもなりはしない。

暑い。とにかく暑い。
まだ午前3時だって言うのに、目が覚めたまま眠ることが出来ない。
汗だけはじわじわと私を包む。
そのまま15分位身じろぎもせず考え続け、遂に私はシャワーを浴びよう！　と思い立った。
どうして早く、この案にたどり着かなかったのだろう。
水ではさすがに冷たすぎるけど、思いっきりぬるいお湯だったら気持ちいいはず。
ようし、起きるぞ！
勢いをつけて寝床から這い出し、パチンと蛍光灯をつける。
パチパチとまばたきをしながら、明かりが灯った。
うちのお風呂はユニットではないから、まずガス釜に火をつけなければいけない。
ところが、プロパンガスって、都市ガスの倍近い値段をふんだくるのよ。
だから少しでも無駄遣いを防ぐために、
料理をしない日は元栓から、しっかり締めてしまっているの。
ガス漏れ防止にもなるしね。
本当はガス屋さん以外に栓の開け閉めをしちゃいけないらしいんだけど、
今のところは何も言われてないし。
で、栓は当然外。
サンダルをつっかけて外に出よう・・・　としたら、
ドアについている郵便受けの穴から、何かがのぞいている。
そういえば、最近郵便物の確認なんてしてないなぁ、と取り上げたら、何々、断水のお知らせか。来る8月10日午後12時より翌11日午前6時まで・・・　
って、今日のことじゃないの！
慌てて玄関脇にある洗濯機の水栓をひねってみたけど、案の定水は出なかった。
OH MY GOD！　ついてない日って、とことんついてない。
このまま出勤する時間までいたら、干からびそうだわ。
ああ、定職につきたい！！　
そして、エアコンを手に入れるのよ！

これが私の転職動機だったなんて、あんまり人には言えない。

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