バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

雷を伴なった雨が降り続く



  今日は土曜日。
 セニョリータ・アンドレアの鼻歌が、ドアの向こうから聞こえてくる。
 歌を口ずさみながら、廊下を磨いているのだ。
       ”トントン!”
 歌が止んだと思ったら、ドアをノックする音が聞こえた。
 ドアが開くと、モップを持ったアンドレアが立っている。

       アンドレア「???????」
       俺    「何?」
       アンドレア「??????」
 俺がキョトンとしていると、アンドレアは両手を顔の横に持っていき、顔をちょっと傾けてみせる。
 言っている事が理解されないので、苛立ちを見せるアンドレア。

       アンドレア「あんたは、今日も泊まるのか?」
       俺    「ああ!今日も泊まるよ。お金は持って行くけど、下に誰かいるのか?」
       アンドレア「??????」

 日本語で捲くし立てたもんだから、首をかしげている。
 今日は一日、雨が降ったり、青空が見えたりの繰り返しの一日だった。
 パン屋の彼女にも会えたし、モロッコで逢った二人の日本人にも逢えた。
 しかし、今日一日何もしない一日だ。

  このアルジェシラスでやる事は何もない。
 明日の列車で、グラナダへ向かってもいいのだが、そう急ぐ旅でもない。
 夜七時、雨が降りだし、雷が聞こえ出した。
 十八日と言う1日が、何をするでもなしに通り過ぎていく。

                 *

        ≪銀行にて両替≫

             40US$≒2811pt

                 *


                ≪十二月十九日≫      ―壱―

  日曜日のせいか、雨のせいか、街もひっそり俺もひっそり、一人部屋の中。
 Barに顔を出してみたくらいなもの。
 Barは、食事をする者、ビールをチビチビやる者、大きな声で口論する者、一人で歌を口ずさみながらギターを弾くマネをする者で退屈しない。

  これで良いのだろうか、夜は久しぶりにペンを握った。
 A・IとK・Iへの手紙を書き、Y・O君にも便りをしたためた。
 そして、田舎にも無事を伝えるために机に向かう。

  固いパンの食事は、歯が浮いてくるようだ。
 バラエティ―にとんだ日本の食事が懐かしい。
 もう日本で住んでいた時思った、駅前の食堂がまずいなんて言いませんから・・・・。



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