バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

陽気なスペイン女達



  今日、グラナダを発つ日。
 昨日までの宿泊費を払いに、階下へ降りていくと、もうすでに十二時を過ぎている。
 久しぶりに、重たい荷物を背負い街に出て、駅に向かった。
 素晴らしく、晴れ上がっている。
 毛皮を着ているからか、重たい荷物を担いでいるせいか、汗ばんでくるのが分る。

 駅の一時預かりに、バックパックを預けて、チケットを購入しようとするが・・・・。
       係員「ノー、コンプレ!」
       俺 「ダメ???どういう事なのか。」
       係員「ノー!」

 今日のチケットは終ったという事なのか?
 グラナダは俺を引き止めたいらしい。
 インフォーメーションの窓口へ行く。
       受付「明日のチケットはここへ行って買ってください。」
 なにやら、メモ書きを渡してくれた。
 それによると、RENFE事務所の住所が書かれてある。
 場所は、俺が今まで泊まっていたホテルのすぐ近くではないか。

 もう一度、ホテルに戻る。
       マダム「どうしました?」
       俺  「Madrid Billet、NOコンプレ!でした。」
       マダム「あらそう、残念だったわね。どうするの?」
       俺  「また一日、よろしくお願いします。」
       マダム「OK!」

  今まで泊まっていた部屋に逆戻り、なんとも俺とした事が、不覚を取ってしまった。
 ”Renfe Office”は、9:30~13:00、16:00~19:00までのオープン。
 やはり、月曜日の旅立ちとなってしまった。

                    *

  ホテルを出て、交差点まで来てみてビックリ!
 変なバスに巡り会ってしまった。
 信号で足止めを喰らっていると、スペインの若い女性を乗せたミニ・バスが通りかかったのだ。
 なにやら騒いでいる。
 誰に向かって騒いでいるのか、まるで分らなかったのだが、どうも俺に向かってなにやら言っている様なのだ。

 やっとの事でそれに気づいて、俺がバスに向かって手を振るともう大変。
 皆バスの窓から顔を出して、バスから今にも落ちそうだ。
 バスの進行方向と俺が歩いていく方向が同じなのと、車が渋滞している事が重なって、俺が歩いてバスに追いつく度に、バスの中から完成が上がるにはまいってしまった。
 暫くそんな状態が続いて、やっと歓声の上がるバスから解放されたと思い、次の交差点に差し掛かると、なな・・なんとバスが道路脇に止まって俺の来るのを待っているではないか。

 もう完全にバスの中は、この東洋人に夢中になっている。
 仕方なく、暫くこのスペイン娘を乗せたバスと付き合うはめになってしまった。
 学生だろうか?何かのグループ?なのか、とにかく愉快な野郎たちだ。
 とうとう、ホテル近くの広場から、次の広場まで付き合うはめになってしまった。
 汚らしい格好をした東洋人に興味を持ったようだ。
 何と言っても、髭は伸び放題、東洋的な衣服。
 まるで、サファリ-・パークの動物の思いをあじ合わされる結果となってしまったようだ。

                    *

  彼らと別れて、”Cafe Bar”に入り、いつものようなのんびりとした時を過ごす。
 少し雲が出てきたようだ。
 日曜日の街は、ひっそりとしている。
 休日のせいか、老いも若きも、通りをゆっくりと歩いて行く。
 特に、老夫婦が腕を組んで歩く姿は、なんとも微笑ましい。

 若い男女は歩きながらキスをしている。
 やってくれるじゃあねーか。
       俺「羨ましい・・・・。」
 歩いてウインドー・ショッピングをしていると、設計事務所らしいオフィスをいくつか目にした。
 ウインドーに飾られている、建物の模型やパースなどを見ていると、俺も早く日本に帰って、またドラフタ-の前に座りたい欲望にかられてしまった。

       俺「いつでも・・・・・座れるさ。今は今しか出来ない事に対して全力を尽くす事が大事なんだ。」
 そう自分に言い聞かせて、通り過ぎていく。
 今、グラナダにいる。


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