バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

”ドボーン”と言うゲームに夢中



   「ちょっと!」と言う、呼びかけをスペイン語では、「オジェ!とかオィーガ!」と言うらしい。
 もちろん、女性と男性では言葉が若干違っている。

                     *

   夜更かしをしているせいか、風邪の治りが遅い。
 ”薫”さんから貰った、カネボウの風邪薬で頭痛はやや治まったものの、まだ喉の調子が今ひとつ悪いようだ。
 人と話す時、言葉が喉に引っかかっているようで、上手く話が出来ない状態である。

   アマディオにいる限り、治りそうもないな。
 旦那、フィリピ―ノに長谷川さん、井出君と俺の五人で、スペイン広場近くの高層ビルの15階へ駆け上る。
 ここからだと、マドリッドの街並みがほとんど眼下に広がって見えるのだ。

   一杯、30pts(144円)のCafeを飲みながら雑談に花を咲かせる。
 このところ、マドリッドの空は、病状とは裏腹に青く澄み切っている。
 しかし、一日の始まりが昼過ぎと言う事もあって、俺にとっては5~6時間の青空でしかないのだ。

                        *

                       ≪ドボーン≫

       1、 4~7人で行う。
       2、 各人、カードを5枚づつ配る。
       3、 余ったカードを伏せたまま置き、一枚だけカードを表にして置く。
       4、 表になっているカードと同じ数字のカードか、スペードなど同じマークのカードを、順次置いていく。
       5、 順番がきた人は、手に持っているカードの中に、前に置かれているカードと同じものがなければ、場から一枚取っていく。とった人はカードを場へは次の順番がくるまで置けない。
       6、 手元にカードがなくなれば上がり(麻雀で言う”積もり”)で、得点は”0”となる。
       7、 手持ちの数字の合計が、他の人が捨てたカードの数字に合えば、”ドボーン”っと言ってあがれる。(麻雀で言う”ロン”)この時の得点は”-50点”となる。
       8、 数字の”2”を場に置くと、進行方向と逆の人が場からカードを二枚取らなければならない。しかし、もし場から二枚取る人が、手元に数字の”2”のカード持っていれば、カードの”2”を場に出して、最初に”2”のカードを出した人が、二倍の四枚カードを取らなければならない。
       9、 カードの”8”はオールマイティ―で、いつでも場にカードを出せる上に、カードのマークを自分に都合の良いカードに替える事が出来る。しかし、相手に自分の持っているカードが読まれることがあるから注意。
       10、 カードの”3”が場に出ると、進行方向の次の人が、順番を飛ばされる事になる。
       11、 カードの”9”は、進行方向を逆向きにされる。
       12、 カードの”2”、”8”を、ゲーム終了時に手に持っていれば、得点が二倍、四倍になるから注意。
       13、 絵札は全て、10点で数える。
       14、 上がりを”―50点”、ドボーンを”-100点”にしても良い。
       15、 点数の少ない人が勝ち。
       16、 得点を紙に書いておき、合計得点で争う。

                        *

   このゲーム、モロッコからスペインへの船の中(ジブラルタル海峡上)で購入したトランプを使って、前の会社でやったことのあるゲームを思い出しながら、アマディオで広めたのだが、これが大流行となってしまい、あまり遅くまで気合が入るものだから、病人(風邪)が続出する有り様。
 夜の10時頃から、皆が広間に集まり始め、翌日の2:00~3:00頃まで開かれている行事なのである。
 少人数からでも、集まった人達からはじめる事が出来るのが良い。

   この日も、朝の二時半までゲームをやり、その後30分ほど”薫”さんと話す機会が持てた。

       薫 「あなた、小柳正子さんって人知らない?」
       俺 「小柳?知らないけど!」
       薫 「あなたヒッチハイクやってたでしょ!」
       俺 「アア!」
       薫 「ヒッチハイクの写真で展示会を開いた時、あなたに合った事があるって言ってたわよ。」
       俺 「文化服装学院の人?」
       薫 「そうよ。」
       俺 「そう言えば昔、新宿まで出たとき、行ったかもしんないな。」

   小柳さんは、昨年の十一月頃、日本を離れ、パリで薫さんと出会い、今でも手紙を通じて付き合いがあると言う。

       薫 「今日、彼女と会うのよ。あなた一緒に行かない?」
       俺 「いや、遠慮しとくよ。あんまり憶えていないし。」
       薫 「そう?彼女今、お腹大きいのよ。この三月結婚するらしいわよ。」
       俺 「よろしく言っといてよ。」

   この日、床についたのが、もう3時を過ぎていた。

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: