バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

≪ ノルウエー・スウェーデン ≫



 Abisko駅を発車すると、大きな山が見えてきた。
ノルウエーとの国境の街「Riksgransen」駅では、
ほとんど人影も見ず、パスポートの提示もない。

 チケットの確認が一度あっただけというあり様。
雪に埋もれた小さな建物がいくつか点在しているだけで、
その建物を囲んでいる、大きな木柵が目立って見えた事と、
トンネルをいくつかくぐった事、そしてトンネルを
くぐる度に、大きな山が迫ってきた事が印象に
残っている。

 そして、相変わらず雪の世界が続いている。

               ※

 国境を越えて、しばらく走ると・・・・?
突然・・・海が姿を現した。
フィヨルドの海が、
荒々しい海が白い飛沫を上げているのが見て取れる。

 今まで見たことのないような、ダークグリーンの色が、
そこが海であることを教えてくれていた。
スカンジナビア半島特有のフィヨルドだ。

 学生時代、世界史の写真でしか見たことがない
フィヨルドを目の当たりにする。
海に沿ってかなり高い所を列車は走る。

 半島に挟まれた、フィヨルド特有の海が見えている。
あの大海原の海とは違う海。
フィヨルド特有の入り組んだ地形のせいなのだろう。
そうした自然の中に、ポツンと大きな鉄橋が見えてきた。
細長く入り組んだ海の上に、なんの飾り気もなく
架けられた鉄橋。列車はこの鉄橋を渡っていく。

 鉄道の近くを、一本の国道が下に見えてきた。
海は、相変わらず白い飛沫を上げている。
荒れ狂っていると言って良いのかも知れない。
出口のないフィヨルドに迷い込んだ海の水が、
半島にぶち当たって、荒れ狂っているのだ。

 黒い地肌を見せている国道には、二台の車が
同じ方向に走っているのが見えた。
ヘッドライトを光らせて、列車よりも速く
右に左に蛇行しながら走っている。

 ・・・・・と、眼下に今まで姿を見せなかった、
家が群れを成して目に飛び込んできた。
「Narvik」の街なのか?
まだ時間は昼時だと言うのに、夜の街だ。
灯りが灯っている。

 時計を見ると、夜だと思っていたのに・・
まだ、昼過ぎなのだ。
そう、北極に近い北半球では、一日夜のような、
一日中太陽を拝めない日が続くのだ。

 13:50、「Narvik駅」に、列車は到着した。
閉ざされた雪の中の街らしく、暗く静かに
息づいている。
列車から降りる乗客は、私を含めてもほんの数人。
ホームにも駅員が数人いるだけ。

 スカンジナビア半島、鉄道最北端の町「Narvik駅」。
人が暮らすには、真に過酷な、ノルウエー最北端の駅に
やっとの想いで降り立った。

 駅舎の中に入ると、数人の毛唐(旅行者)が、
半島を南下する列車を待っていた。
折り返し運転をする、この列車に乗り込むのだろう。
カフェでは、数人が食事を取っている。

 ○○「やあ!こんにちわ!!」

 突然の日本語にビックリして振り向くと、
山男のような格好をした日本人らしき青年が、
何かノートにメモしながら顔をあげた。

  俺 「日本の方ですか?」

  彼 「今の列車で来られました?」

  俺 「ええ!この街に泊まられました?」

  彼 「ユースですがね。こな街は物価が

     高いですよ!!ユースでも

     一泊¥2,000はしますからね。

     今、客は少ないですから、言葉さえ

     解れば幾分安くなるとは思いますが、

     ホテルとなると、・・・どうかな??」

  俺 「2,000円ですか!!高いですね。」

  彼 「ヨーロッパは、北へ行くほど旅人には

     過酷なんです。私も来たばっかりなんですが

     そうそうに南下しようと思っています。」

  俺 「そうですか!両替は駅でできますか?」

  彼 「出来ると思いますよ!」

  俺 「いろいろありがとうございました。」

 さっそく、駅の窓口に向う。

  俺 「マネーチェンジOK??」

  駅員「マネーチェンジなら、銀行へ行け!」

 教えてもらった情報とはちょっと違っているではないか。

  駅員「もし、今の列車に乗るのなら、

     チケット分のお金は、両替してやるが

     どうするね??」

 えらいことをぬかして来た。
なにか見透かされているみたいだ。
この街で降りても、
こう真っ暗では何をどうしようかとも
思い浮かんでこないのだ。

 彼の「一泊、¥2,000」も胸に引っかかっている。
突然口をついて出てしまった。

   俺 「今日発つから、チケットをくれ!」

   駅員「OK!」

駅員が、ニコッと笑った。
同じ列車で来たスイス人もチケットを購入している。

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