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2005.08.23
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カテゴリ: 洋書

 元空軍兵によって書かれた軍事シミュレーション小説。


粗筋

イランがクウェートとサウジアラビアに侵攻し、300人の米空軍兵を人質に取った。リビア政府は、人質の一部を買い入れようと交渉していた。
 米政府は、300人を救出すべく軍事作戦を実行することにした。
 国防総省は、陸軍所属の特殊部隊デルタフォースをメインに救出作戦を練る。空軍はおとりとして使われることになった。ただ、米空軍代表のカニングハム大将は、米空軍を中心に救出作戦を進めるべきだと考えていた。カニングハムは、空軍がメインとなれるよう、裏で工作を進める。
 陸軍を主体とした作戦は、実行に移せる前に失敗の色が濃くなる。救出を直接担当するデルタフォースの動きが外国の諜報部に読まれてしまったのだ。そのせいか、イランは人質の売り渡しの予定を早めた。
 米国大統領は、まだ感づかれていない空軍主体の作戦をメインにしろ、と命じる。空軍のスタンシル大佐は、カニングハム大将の命を受け、救出作戦を決行し、苦労の末成功する。



解説

……本作品は湾岸戦争の前に書かれた作品。だからメインの悪役はイランで、イラクは脇役。現在だったらイラクが悪役で、イランが脇役になっただろう。1990年代に入る前に死んだホメイニ師も健在で、時代を感じさせる。
 作者が空軍出身で、エリート軍人であったせいか、本作品は「空軍万歳、アメリカ万歳」小説となっている。アメリカ人ならそれなりに読めるだろうが、アメリカ人以外はその部分が鼻について真顔で読めないだろう。
 軍事シミュレーション小説なので、軍事用語や、兵器に関する解説がふんだんに出てくる。本の末尾に略語集があるが、チンプンカンプンだった。作者にとって軍事用語はごく普通の言葉で、一々説明するのが煩わしいようだが、読んでる方は素人なのだから、説明する努力は怠ってほしくないのだが。
 軍事作戦を描いているので、登場人物が多い。どれがどれだか区別が付かず、退屈な部分が多かった。
 イランがアメリカの基地を攻撃し、300 人の米空軍兵を人質に取った、という状況も理解し難い。イランが1980年代後半にそこまで強力な兵力を持っていたと思えないし、たとえ持っていたとしても米軍基地を総攻撃しようとは考えなかっただろう。基地一つ攻め落とせたとしても、米軍全体を相手にはできない、と考える筈だから。イランも馬鹿でない。
 本作品は、前半では空軍のおとり作戦がメインの作戦になるよう、カニングハム大将が様々な工作をする様子が描かれ、実際の軍事作戦は本の後半だけ。最初から空軍がメインになるよう設定するなど、前半をもう少し整理した方が良かったと思う。所詮小説なのだから、それくらいなら簡易化しても文句は言われなかっただろう。リアルに描こうとしてストーリーのペースが落ちてしまったら意味がない。
 というか、空軍対陸軍という設定そのものにリアリティがない。陸軍のデルタフォースの動きがロシアなど海外の諜報部に完全に読まれてしまったため作戦に使えず、空軍は全くノーマークだった為作戦で使えた……というのは都合が良過ぎる。通常、この手の作戦は米軍が総力を挙げて実施するから、陸軍や空軍は勿論、海軍も同程度の監視を受けていた筈。
 デルタフォースは機密性が何より重要なのだから、いざという時に動きが敵側に察知されないよう日頃から対策を練っているだろう。動いているのが察知されてしまったから使えない、となったら、デルタフォースは永久に使えないことになる。
 陸軍をモニタしていた者が、空軍をノーマークで放置する、というのはとにかく異常。
 作者はあくまでも「空軍万歳」にしたかったのだろう。
 作者はカニングハム大将を「善」に見せたかったようだが、単なる裏工作好きな、権力を振りかざしたがる政治屋軍人にしか見えず、共感できなかった。空軍が作戦のメインになった時点で退場させるべきだったと思う。
 また、大統領に対し「正直言うと、私はあなたの対立候補に票を入れました」と登場人物が言い、大統領が「お前は面白い奴だ」と笑いながら答える……という下りにはウンザリ。クランシーの小説(「レッド・オクトーバーを追え」だったか?)でも主人公ジャック・ライアンが大統領に対しそう言っている。登場人物に「現大統領の対立候補に票を入れました」と言わせるのはアメリカ小説の伝統か。変な伝統である。
 一度でもいいから主人公が大統領に対し「あなたに票を入れました」「あなたに票を入れましたが後悔しています」「投票に行きませんでした」など、別の事を言って欲しい。



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Last updated  2005.08.23 14:51:50
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