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2005.08.26
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カテゴリ: 邦画
『たそがれ清兵衛(DVD)』

「寅さん」シリーズの山田洋二監督にとって初めての時代劇。原作は藤沢周平。真田弘之宮沢りえ出演。本作品は予想以上のヒットとなり、国内で様々な賞を受賞した上、2004年度の外国映画のアカデミー候補にもなった(知名度不足で落選したが)
 激ヤセ問題で女優業が危ぶまれていた宮沢りえの完全復活を印象づけた作品でもある。


粗筋

清兵衛は、幕末期のある藩で、城勤めをしていた。妻を亡くし、幼い子二人と借金を抱える彼は、一日の仕事が終わった後は家に真っ直ぐ帰り、内職に精を尽くしていた。同僚らは、酒の誘いを断って黄昏時に判を押したように帰る彼を「たそがれ清兵衛」と呼んで馬鹿にしていた。
 しかし、清兵衛は剣の使い手であった。彼はそのことをひたすら隠していたが、ある日ふとしたことで剣の腕前を披露したところ、城内に広まってしまう。
 それを耳にした藩の老中は、ある男の始末役に、清兵衛を指名する……。


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感想

以前観ようとしたら満員で入れません、と言われて断念したことがある。
 それほど評判が高い映画なのか、と感心し、ようやく観られるチャンスを喜んでいたのだが……。
 本作品は史上稀に観る駄作ではないが、絶賛の嵐に見舞われるほどの作品とも思えなかった。
 とにかく地味。
 その意味では邦画を象徴していると言える。
 映画の大半は、清兵衛の日常生活を延々と描いているだけなのだ。微笑ましいエピソードなどがあることにはあるが、1時間程度ならともかく、2時間を超える映画だと中ダレする。緊迫感に溢れていると評された殺陣の場面はラストにちょこっとあるだけで、そこまでに達するのが長すぎた。山田監督はあくまでも清兵衛という人間を描きたかっただけで、殺陣は思いつきで加えただけのようである。
 本作品は、時代設定こそ幕末となっているが、内容自体は現代社会そのもの。したがって、侍らは単なるサラリーマン、城は会社、として描かれている。仕事を終えた侍らが全員で揃って飲みに行く様子は、いわゆるノミニケーション以外何でもない。
 本作品の鑑賞者は、中高年のサラリーマンが中心だったらしい。鑑賞者の多くは、自分らが置かれている立場と照らし合わせて共感し、涙を流したという。なぜ鑑賞者がそう反応したのか理解に苦しむ。サラリーマンを実際にやってる連中が、銀幕上で別のサラリーマンを観てどこが楽しいのか。
 出世は幸せを意味しない、「家族を大事にすることが確実に幸せに繋がるのだ」というのが本作品のテーマらしいが、あまりにも露骨に述べられているので、自分は少々ウンザリした。ナレーションでは、清兵衛は貧乏な暮らしをしながらも家族を大切にして幸せな一生を過ごせた、ということになっているが、自分には清兵衛が「自分は幸せです」と単なる強がりを言っているようにしか見えず、清兵衛が三年後の戊辰戦争で銃弾を食らって死ぬと聞かされて落ち込んだ。せめて清兵衛が幕末をどうにか生き延び、貧乏な生活を送りながらも愛する家族に囲まれて天寿を全うした、という結末なら救いがあったのに……。
 そんなこともあって、「人生はむなしい。幸せなど結局一握りの人間しか得られない」が自分が受けたメッセージである。一寸先は闇の人生なんだから、地味に生きているより何かやらかして納得して死んだ方がマシ、てね。
 清兵衛の娘のナレーションはいらなかったような気がする。最後の井上陽水の曲は蛇足。というか、時代劇の雰囲気をぶち壊したと思う。他の客も「なぜ井上陽水?」が率直な感想だったようだ。
 役者の演技は可もなく不可もなく、といったところ。ただ、全てのセリフの語尾に「がんす」を加える方言擬きはどうかと思う。
 良い作品なのか、悪い作品なのか、と訊かれれば、「良い作品」と答えるだろうが、史上最高の傑作か、と訊かれれば、「遠く及ばない」と答えるだろう。
 山田監督作品を観たのは今回が初めてだが、多分最後になると思う。地味過ぎる。


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Last updated  2005.08.26 14:48:36
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