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2007.05.27
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カテゴリ: 洋画

クレイグ・トーマスの小説 を、クリント・イーストウッドが映画化。
 イーストウッド本人が監督を務めた。


粗筋

1970年代。
 ソビエト連邦は西側のどの戦闘機をも上回る性能を持つ戦闘機――ミグ31 NATO名「ファイアフォックス」――を開発した。
 マッハ6で飛行でき、レーダーに映らない。思考制御兵器管理システムも搭載しているという。
 実戦配備されたら、冷戦は西側にとって不利になる、と考えたイギリスは、ある作戦を決行する。
 パイロットをソ連に送り込み、ファイアフォックスを盗み出す。
 そのパイロットとして選ばれたのが、ベトナム戦争経験のあるアメリカ人ミチェル・ギャントだった。
 ギャントは、ソ連に潜入し、多くの犠牲を払いながらようやくファイアフォックスを開発している基地に到着。そこでも犠牲を払い、ファイアフォックスを盗み出し、ソ連脱出を図る。
 無論、ソ連側もそれを黙って見守る訳がなく、ギャントを追跡する……。


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感想

個人的には、映画も 小説 も傑作という少ない例。
 同じストーリーでも、それぞれ媒体を最大限活かしたものに仕上がっている。

 本作の最大のポイントは、架空の戦闘機を一から作ってしまったこと。
 ほぼ同じ時期に製作されたヒット映画「トップガン」が、既存の米国戦闘機を「ソ連製戦闘機」としていた為納得できない部分が多かったが、本作はそのような違和感はない。
 ファイアフォックスが飛行するシーンは、スターウォーズの特撮を手掛けたスタッフが担当。スターウォーズは宇宙が舞台だった為、背景が黒く、その分楽だったが、ファイアフォックスは地球が舞台で、白っぽい背景が多く、苦労が多かったという(背景と模型の間に黒い線が出てしまう為。現在はコンピュータによるリタッチで消せるが、当時はそのような技術はまだ確立されていなかった)。本作の経験が、スターウォーズの続編「帝国の逆襲」で活かされたようである(帝国の逆襲では氷の惑星を戦闘機が飛び回る)。

 本作は、基本的に前編と後編に分かれている。
 前編はギャント(イーストウッドが演じている)がファイアフォックスにまでたどり着くまで。
 後編はギャントがファイアフォックスを盗み出すことに成功し、飛行するところ。
 前編は、正直「スローペースだな」と感じる部分が多いが、当時のソ連の様子を垣間見ることができるので、退屈ではない。
 後編は、ファイアフォックスが飛行する場面ばかりなので、まさにハイペースで進む。

 本作は、原作である 小説 にほぼ忠実だが、演出上の効果から、若干異なる場面も多々ある。
 ファイアフォックスの開発者であり、ギャントにファイアフォックスを盗ませるユダヤ系ロシア人科学者は、原作ではギャントが完全に失敗したと信じながら死亡してしまう。一方、映画ではその科学者はギャントがファイアフォックスに向かうのを見届けた上で絶命している。
 ギャントをファイアフォックスが開発されている基地にまで連れて行くロシア人は、ギャントを基地に届けた後、KGB(国家保安委員会)に追われる最中自動車衝突で死亡する。原作では、徒歩で逃げる中、ファイアフォックスが基地から飛び立つのを確認し、銃で自決する。

 本作の問題点は、時代を感じさせる、ということ。
「敵国」であるソ連が既に存在しないのだから。
 現在のロシアは、完全に民主主義的とはいえないものの、一応西側諸国の友好国で、もはや「敵」にはできない。

 ファイアフォックスは、ミグ31のNATO名、ということになっているが、実際のミグ31はフォックスハウンドといい、ミグ25(フォックスバット)の改良版である。

 ファイアフォックスの性能にも、疑問が。マッハ6、という飛行速度は現実には有り得ない速度。
 レーダーには映らないが、赤外線探知機にはガンガン映る、というのも中途半端に感じる。赤外線でも探知できないようにするのが筋だろう。
 思考制御兵器管理システムも、ロシア語で考えないと駄目、というのも奇妙(ギャントが今回のミッションに選ばれたのも、アグレッサー飛行部隊の経験者として、ロシア語に堪能だったから)。思考なのだから英語だろうとロシア語だろうと関係ない筈。

 飛行場面を除いて、派手さがないのも本作の問題。
 原作もそうだが、出てくるのは野郎ばかりで、女性が殆ど登場しない。
 若い女優を無理矢理捻り込むのは避けるべきだが、ここまで色気がないのもどうかな、と思ってしまう。

 本作は、イーストウッド作品には珍しく、特撮を満載した超大作映画となっている。
 イーストウッドとしては、本作でB級作品からの脱却を、ともくろんでいたようだが、制作費の割には興行収入は芳しくなかったらしい(完全な失敗作ではなかったらしいが)。
 イーストウッド作品は、本作以降は特撮を極力排したものばかりになり、更にその後は「批評家受けが良い」ものばかりになる。
 本作が大々成功していたら、イーストウッドは本作の後にどんな作品を制作していただろう、と考えてしまう。


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Last updated  2007.05.27 09:09:23
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