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2007.09.01
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カテゴリ: 邦画

「APPLESEED アップルシード」をプロデュースした曽利文彦によるSFアニメ超大作。
 声優陣には『着信アリFinal』の黒木メイサ、『フラガール』の松雪泰子、映画やテレビドラマなどで人気の谷原章介。
 全編CGアニメ、というのが最大の特徴。


粗筋

21世紀初頭に世界市場を独占した日本のハイテク技術は危険視され、国際規制の対象となった。これに猛反発した日本は国連を脱退し、鎖国を強行。それから10年間、ハイテクを駆使した完全なる鎖国により日本の実像は厚いベールに隠された。
 2077年。
 米国特殊部隊SWORDは、日本の大手ハイテク企業大和鋼業がアメリカに対し何やら企んでいる、と察した。SWORDは、独断で日本に潜入を決行した。ハイテク鎖国の装置を突破し、日本の実像を暴く為に。
 米国特殊部隊SWORD所属の女性兵士ベクシルは、苦難を乗り越えながらも日本に潜入。
 そこで見た「ハイテク鎖国国家日本」は……。
 ハイテクとは言い難い、第二次世界大戦直後のような世界だった。闇市場が延々と広がっている町並みで、技術の欠片すら見受けられない。ただ、日本国民は貧しいながらも生き生きと暮らしているようだった。
 不思議に思っていたベクシルは、重大な事実を知る。
「日本国民」は既に滅んでいたのである。
 ベクシルが見た「日本国民」は、実は「元日本国民」だった。大和鋼業によって「サイバーウィルス」を投入され、「アンドロイド化」されてしまったのだ。その結果、日本には生体反応がある者が一人もいない状態になってしまっていた。
 また、この「アンドロイド化」は完璧でなく、時間が過ぎると「故障」し、鉄くずとなってしまう。ベクシルが目の当たりにした「生き生きした日本国民」は、近々故障して鉄くずと化すアンドロイド化された人間だったのである。
 大和鋼業は、日本国民を壮大な計画のモルモットにしたのだった。
 ベクシルは、反大和鋼業の「元日本国民」と共に、大和鋼業本部に潜入。
 アンドロイド化計画を推進した大和鋼業社長と対峙するが……。


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感想

最終的には、唯一残っていた「日本国民」の大和鋼業社長も死亡。
 日本民族は滅んでしまう。
 何て結末。

 本作は、最新のCGアニメ技術を駆使しており、ハリウッドの3D CGアニメ(シュレックなど)とは全く異なる映像美を実現。海外では「アニメーションは子供向け」という考えがあるからか、映像が子供向けの可愛いものになってしまうが、日本ではアニメーションは子供向け、と見なされないからだろう。
 アクションシーンは、このところのハリウッド映画とは異なり、何が起こっているのかきちんと分かり、その面では二重丸をあげたい。
 マシンやメカニカルデザインも、非常に魅力的だった。
 モーションキャプチャアーを使った登場人物らの動きも、予想以上に自然だった。以前観たFINAL FANTASYは動きに違和感がありまくりで、「所詮コンピュータアニメだな」という感想だったが、本作ではあまり意識させなかった。
 その意味では、技術の進歩を感じさせた。

 問題は、ストーリー。
「日本がハイテク鎖国して10年! 日本はどうなっているのか?!」
 ……という面白くなり得る設定なのに、少しも活かし切れていない。
 10年鎖国していた日本は、荒野と化していた、というのは首を傾げたくなってしまう。日本の「資源」なんて人材だけなのに、荒野と化していたら資源を活かせない。
 そもそも、日本人が一人もいない中で、どうやってハイテク技術を開発できるのか。
「ハイテク鎖国」という政策も、そもそもおかしいことばかり。
 日本は輸出や輸入で持っているのに、鎖国なんてしたら持ちようがない。
「日本は荒野と化していた!」となっていても、特に驚けなかった。まさか日本民族が滅んでいた、なんて展開は予想していなかったが。

 キャラも、違和感があるのが多い。
 主人公のベクシルはアメリカ人。
 アメリカ人女性らしく、自意識が強く、サバサバしたキャラだと思いきや……。
 やけに繊細で、感情的で、日本人っぽい。少なくとも、特殊部隊に所属できるような性格の女ではない。
 むしろ、反大和鋼業勢力の女リーダーであるマリア(日本人。というか、アンドロイド化されてしまった元日本人)の方がサバサバしていて、アメリカ人ぽかった。
 ま、マリアは過激派のリーダーとして、非情に描く必要があり、ベクシルまで非情だったらキャラが被ってしまう、という事情もあったのだろう。
 それだったらマリアというキャラではなく、別のキャラにすればよかったのだが……。

 ストーリー展開も首を捻ってしまう部分が多い。
「ハイテク鎖国」により、洋上にあるゲート以外は誰も出入りできず、衛星写真すら撮れない、というのに、ベクシルらはやけに簡単に潜入できてしまう。
 アンドロイド化された旧日本人が「故障」の傾向を見せると、「処分」するのが掟。その「死体」は、居住区外に放置され、「ジャグ」という機械仕掛けのモンスターの一部になってしまう。
 このジャグというのがよく分からない。
 ストーリーでは重大な役割を果たす(大和鋼業本部を襲わせる)のに、意味が分からない、というのは問題ではないか。
 というか、特殊部隊所属の者が、こうした得体の知れないモンスターの助けを借りなければならない、というのは情けない。

 あと、本作は、ベクシルの独り言で締めくくられるが……。
 これが説教めいていて、非常に蛇足。
 なぜ日本映画、てこうして説教臭くするのかね。
「こうしないと我々が伝えたかったメッセージが馬鹿な鑑賞者共に伝わらない!」と思ってしまうのだろうか。
 メッセージなんて、鑑賞者が勝手に感じ取ればいいことであり、製作者らが「本作のメッセージはこれなのでお前ら鑑賞者はそれをきちんと理解しろ」と押し付けるのは迷惑極まりない。
 映画なんて所詮娯楽なんだから、仮に鑑賞者が何のメッセージも感じ取れなかったとして、別にいいのでは? メッセージの押し付け方をあれこれ模索する余裕があるなら、作品をどう面白くするかに苦心すべき。
 本作も、独り言などいれずそのまま終わっていた方が印象に残っただろう。

 総括すると、映像だけは非常に綺麗な作品。
 そもそも、なぜSFの設定にしたのかよく分からない。「ハイテクを駆使したフルCGアニメだから、何が何でもSFにしなければならない!」という訳ではあるまい。
 アニメである以上、どんな設定だって制作費に差はないだろう。
 極端な話時代劇だっていいと思う。
 なぜそうしないのか。


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Last updated  2007.10.15 18:44:13
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