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2008.03.15
テーマ： 最近観た映画。(39201)
カテゴリ： 洋画
アメリカで放送された往年の人気テレビ番組の映画版。
007に出演した過去があるファムケ・ヤンセン、演技派俳優のマルコム・マクダウェルなど、大物が出演。
監督のベティ・トーマスは、別のテレビ番組の映画版チャーリーズ・エンジェルズも手がけている。
粗筋
肉眼でもレーダーでも捉えられない最新型ステルス戦闘機スイッチブレイド。米国が極秘開発したこの戦闘機が何者かに盗まれ、武器商人ガンダーズの手に渡っていた。
ガンダーズは、ハンガリーのブダペストで行われるボクシングのタイトル・マッチの前夜パーティを自邸で開催する裏で、戦闘機の入札を行おうと企てる。これに対し米国の国家保安局BNSは、戦闘機の奪回をスペシャル・エージェントのアレックスに命じ、その相棒としてタイトル戦に出場する無敗のボクサー、ケリーを指名。
元々困難を極めるミッションなのに、ケリーの横暴振りとアレックスの無能振りで、ミッションは暗転するばかり。
BNSの女性エージェントのレイチェルのお陰でようやくミッションは軌道に乗り始めたが……。
感想
スパイ映画好きとしては、本作は楽しめて当たり前の筈なのだが……。
全く楽しめなかった。
とにかく中途半端。
本作は、元々007シリーズの人気にあやかって製作されたテレビ番組がベースとなっている。
ということは、オースティン・パワーズや0093のように、007シリーズを完全にコケにしたパロディ映画なのか？
……と期待していたのだが、そうではない。
007をパロディ化したシーンが散見しているものの、ミッションそのものはかなりシリアス。悪役のガンダーズが登場する場面にコメディの要素は全く見られず、少なくともパロディ映画ではない。
では、本作はトリプルXやミッションインポシブルのように007シリーズを意識しながらも新たなスパイ像を描こうとする新感覚スパイアクション映画なのか？
……と言いたいが、そうではない。
素人スパイのケリーは、演じているのがエディ・マーフィとあって、清廉さに欠ける。口うるさいだけ。
玄人スパイのアレックスは、部分的には優秀なスパイらしい面も見せるが、総括的には無能。言葉を悪くすれば馬鹿。こんなのにスパイが勤まるか、と思ってしまう。
二人とも観ている側の共感を得難いのである。
ケリーがもう少し落ち着いた鼻につかないキャラクターで、アレックスがもう少し優秀だったらよかったのに、と思う。
いや、正直、二人も要らない。どちらかのキャラクターを省いてもよかった。「それだと『アイ・スパイ』でなくなってしまう！」ということになるのだろうが……。
そもそも、今時背景が全く異なる白人と黒人が否応なしにコンビを組まされる、なんて設定の映画は新しくない。使い古されたネタである。
また、スパイ映画を失敗に導く「捻り」でもある「二重スパイ」を盛り込んでしまったのも問題。
レイチェルは実は二重スパイで、相手に通じていた、という真実も、何となくあからさまで、「実はこうでした」と言われても驚愕に値せず、「やっぱりこんなアホな展開か」と呆れさせた。
本作の目玉であるステルス戦闘機スイッチブレイドも、登場時間が短過ぎ。しかもアッと言える間に墜落。
呆気ない。
本作がどんな観客に向けて作られたのか分からないのも問題。
製作者としては、大人でも子供でも楽しめるエンターテインメント映画を目指したのかも知れないが……。
子供向けにしては「急所を切り落とす」といった乱暴過ぎる台詞が多い。
大人向けにしてはおふざけが幼稚過ぎで、コメディ映画にしては笑える場面がなく、アクション映画にしては退屈。
昔テレビの「アイ・スパイ」を観ていたファン向けにしては、テレビ番組の要素を完全に捨てている。
結局、どの層の鑑賞者にとっても中途半端なものに仕上がっている。
製作者は、映画製作においては八方美人を目指すのではなく、ターゲット層をピンポイントで狙うべきである。
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