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2008.10.06
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カテゴリ: 洋画

 1972年に公開されたパニック映画ポセイドン・アドベンチャーを、トロイのウォルフガング・ペーターゼン監督がリメーク。
 原題は「POSEIDON」。
 オリジナルのポセイドン・アドベンチャーも、ポール・ギャリコの小説を映画化したものだった。


粗筋

北大西洋で大勢の乗客を乗せて航行する豪華客船ポセイドン。新年を迎え、乗客乗員はパーティーを楽しんでいた。
 そんなところ、ポセイドンは大波を受けて転覆してしまう。予想していなかった大事故により、乗員乗客の多数が死亡。
 天地が逆になった客船は、次第に沈んでいく。
 生き残った乗客乗員らは、生き延びる為に行動することを強いられる……。


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感想

 1972年のポセイドン・アドベンチャーは、パニック映画の先駆けとして、大ヒット。
 続編まで作られるほどだった(沈没したポセイドンの中にある財宝を巡る攻防、という全く別のストーリーになっていて、評判は今一つ。2005年にもテレビムービー(だと思う)としてリメークされている。
 大ヒットの名作でも、1972年の作品となると特撮技術が未熟で現在の鑑賞者には絶えられないということで、今回最新特撮技術を駆使してリメークした、ということらしいが……。
 確かに、特撮技術は素晴らしいとしか言いようがない。
 が、「単にリメークしただけでは面白くない。人物描写を現在風にアレンジしよう」と考えたのが運の尽き。
 登場人物は多数登場するが、どれも描写が微妙で、感情移入が不可能。
 登場人物らがどんな困難に直面しようと、どんな困難を克服しようと、「あ、そう」程度しか思えない。
 生存者はグループを結成して、行動を共にするのだが、当然ながら途中で脱落する者が出てくる。が、壮絶な死を迎えているのに、何の感情も沸き起こらない。「ああ、こいつは生き残れないのか」と感じるだけ。
 結局特撮技術の進歩を楽しむだけの映画になってしまっている。

 本作で最も議論をかもし出したのは、元ニューヨーク市長だった落ちこぼれ老人(リチャード・ドレイファス)。この老人、自分が助かる為に、足にしがみ付いていた船員を蹴落とし、死なせてしまう。
 そんな卑怯な奴なのに最終的には生き残るから後味が悪い、ということで非難が集中した。
 ただ、「卑怯な奴は最終的には死にました」という展開になっていたら、それはそれで「安易なハリウッド的勧善懲悪」として非難されていただろう。
 個人的には、この老人はそんなに酷いキャラクターのように感じなかった。足にしがみ付いていた船員を蹴り落とす行為は、褒められたものではない。が、その時は老人も転落の危機に瀕していた。船員を蹴り落としていなかったら、共に転落し、死んでいただろう。仕方なく蹴り落とした、と個人的には捉えられた(人物描写があまりないので、哀れな最期を迎える船員に感情移入できなかった、ということもある)。
 現実問題として、このような危機に陥ったら、誰だって相手を見殺しにして、自分が助かろうとするだろう。

 本作では、登場人物は様々な危機に直面するが、持ち前の知識や体力で、乗り越えていく。
 ただ、その持ち前の知識というのが分からない。主な登場人物は偶々豪華客船に乗っていた乗客。船舶構造に関しては素人の筈。にも拘らず、「ここはあそこに通じている」「ここを水浸しにすればハッチが開く」「ここをいじればこの装置が止まる」など、知識が豊富過ぎ。
 絶体絶命の危機に直面している、という緊迫感が全く伝わらない。
 パニック映画なのに物事が坦々と進み、絶望感がなく、「結局どうにか乗り越えるんだろう」と鑑賞者は構えられてしまうのである。

 ただ、「1972年のオリジナル版と比べると劣る」という評価もいかがなものかね、と思う。
 オリジナル版は、1972年に製作された、というのを念頭に入れていれば凄い作品だが、何の事前知識もなく見たら、単に古臭いパニック映画としか映らないだろう。
 そちらの人物描写も、必ずしもきちんとしたものではないし。

 1972年版と本作品の違いは、リアルの追求レベルか。
 1972年版では、登場人物は聖人君子とは言い難いものの、全員が「いい人」ばかり。だからこそ登場人物が次々死ぬのを観た鑑賞者は感情移入でき、「名作」の評判を得た。
 ただ、現実の人間はこんな「いい人」ばかりである訳がない。その意味ではリアリティに欠けるのである。
 本作は、その面でのリアリティを追求した。登場人物は極悪人ではないものの、「いい人」は一人もいない。どれも自分らの都合で動く。互いに協力したのも、協力することが自分らの都合に合致していたから。都合が悪くなると別行動を取りたがるし、場合によっては自分が助かる為に他人を殺す。これも、悪いことではないだろう。今時「いい人」しか登場しない映画なんて製作しても、「お子様映画」と失笑を買うだけである。
 残念ながら、本作はリアルを追求し過ぎてしまい、観客はどの登場人物にも感情移入できなくなってしまった。登場人物が何人死のうと悲しめないし、登場人物が無事生還できても感動できない。
「リアル」を取るか、「感動」を取るか。
 本作は前者を取ることに。
 結果的に失敗に終わった。

 前述したように、本作は小説の映画化のリメーク。
 自分は元となった小説を読んでいるが……。
 絶体絶命の危機に陥っているのに男女がヤリまくるなど、訳の分からないストーリーだった記憶がある。
 その意味では、元々映像化に向かなかったストーリーだったのかも知れない。
 それが今回のリメークでようやく露呈しただけのこと。
 1972年版は、時代背景的にヒットしたお陰で「名作」になってしまっただけ。「名作」という先入観がある為凄いように思われているが、実際は大したことないのかも。

「絶体絶命の危機! 生存者はどうやって生き延びるのか?!」
 ……は、テーマとしては面白そうだが……。
 既に様々な形で使われていて、新鮮味がない。
 リメークはタイミング的に間違っていたとしか言いようがない。


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Last updated  2008.10.06 21:42:05
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