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2008.10.07
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カテゴリ: 洋画

 マーク・ミラーのグラフィック・ノベルを、デイ・ウォッチのロシア人監督ティムール・ベクマンベトフが映画化。
 ジェームズ・マカボイ、アンジェリーナ・ジョリー、モーガン・フリーマン、テレンス・スタンプが出演する。
 原題は「WANTED」。


粗筋

ウェズリー(ジェームズ・マカヴォイ)は、恋人に捨てられ、会計士としての仕事はストレスだらけで、友人は名ばかりの屑ばかり、という惨めな生活を送っていた。
 当然ながら、人生にうんざりしている。
 そんな彼の前に、突如謎の女フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)が現れる。フォックスは、ウェズリーの亡き父が秘密結社フラタニティの凄腕暗殺者だった事実を彼に知らせる。更に、父親を亡き者にしたフラタニティの裏切り者が、お前を狙っている、とも告げた。
 そのお告げ通り、ウェズリーは裏切り者クロスに狙われる。
 ウェズリーは、なぜ自分が狙われるのかさっぱり分からなかったが、フォックスと共に、命辛々逃げ出す。
 フォックスは、ウェズリーをフラタニティの責任者スローンと会わせる
 スローンは、フラタニティについて説明する。千年前に結成された暗殺組織で、世界の秩序を守っている、と。そんな中、クロスという凄腕の暗殺者が組織を裏切った。フラタニティはクロスを始末しようとウェズリーの父親を仕向けたが、逆に殺されてしまった、とも述べた。そして、ウェズリーに言う。お前は父親の後を継げる、父親の遺産をお前は相続した、と。
 ウェズリーは、突然のことで訳が分からない。ふと気付くと、自分の住まいに戻っていた。夢だったのか、と思っていたが、銀行の口座には父親の遺産と思われる多額の資金が振り込まれていた。
 これを機に、ウェズリーは開き直り、仕事を捨て、フラタニティに入り、父親と同じ暗殺者になることを決める。
 無論、会計士をやっていた者が即座に暗殺者になれる訳がなく、ウェズリーには数々の試練が待ち受けていた。ウェズリーは、何度もくじけそうになりながらも、試練を乗り越える。
 数回の暗殺指令をこなしたウェズリーに、ようやくクロスを始末せよ、との命令が与えられた。
 ウェズリーは、直ちにクロスがいるヨーロッパへ飛ぶ。そこには、クロスが使っていた銃弾を作る職人ペクワースキーがいてクロスの居所を知っていたからだ。ウェズリーは、ペクワースキーを脅迫し、クロスと面会する。壮絶な戦いの末、ウェズリーはクロスを倒した。息絶え絶えのクロスは、ウェズリーに言う。自分こそお前の父親だ、と。
 ウェズリーは、驚愕の事実を知る。フラタニティを裏切っていたのはクロスではなく、スローンだった。スローンは、本来フラタニティの暗殺指令を受け取り、それを暗殺者に手渡す役割を果たしているだけだったが、いつしか暗殺指令を自ら作り、自分にとって都合の悪い者を殺させていたのだ。クロスはスローンの悪事を知り、公にしようとした。スローンはそれを阻止する為、クロスを殺すことにしたが、クロスはフラタニティ屈指の暗殺者。立ち向かえる者はいない。そこで、クロスが殺せない唯一の人物――息子――を暗殺者に仕立て上げ、殺させることにしたのである。
 父親殺しの片棒を担がされたと知ったウェズリーは、スローンと対決することに。
 スローンは、更なる驚愕の事実を伝える。フラタニティは既に瓦解していた。フラタニティは、スローン本人だけでなく、フォックスなどフラタニティの暗殺者の殆どに対し暗殺指令が出していたのである。スローンが暗殺指令を自ら発するようになったのも、そうしないと自分は勿論、これまで面倒を見てきた仲間全員が始末されるからだった。
 が、ウェズリーはそんなスローンを許せない。スローンを倒す為、動くが……。


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感想

 アクション満載の作品。
 ストーリーや、人物描写なんてどうでもいいから、とにかくアクションを観たい、という者にとっては最高の映画だろう。
 ただ、ストーリーの整合性や人物描写をほんの僅かでも求める者は、本作を楽しめるとは思えない。
 全体的に雑なのである。

 フラタニティという秘密結社の存在意義が不明。
「正義の為に悪を抹殺する組織」「1人殺して1000人を救う」というのは響きこそいいが、国家でもない組織がこんな思想を持って行動したところで、テロ集団とどこが違うのか、どこの誰がお前らに善悪を判断する権限を与えたのか、と糾弾されるだけだろう。
 百歩譲って、正義の為の組織と認めたとする。
 作中では、店舗内で銃撃戦を繰り広げたり、街中でカーチェイスを繰り広げて一般車両を巻き込んだり、一般乗客が多数搭乗している列車を破壊して数百人(と思われる)と死に追いやるなど、「正義の組織」「1人殺して1000人救う」と大層なことをほざく割には一般市民をガンガン殺している。
 これのどこが「正義の組織」なのか。
 大義名分も糞もない。
 むしろ行動しない方が何千人と救える。
 最終的には、フラタニティは内部崩壊しているのが判明し、ウェズリーによって壊滅されるのだから、どうでもいいような組織だったのだろう。
 こんな組織がよく1000年も持ったな、呆れてしまう。

 本作のポスターには、アンジェリーナ・ジョリーが描かれている。他の登場人物は描かれていない。
 ポスターを見る限りでは、アンジェリーナ・ジョリーが主役を演じていると錯覚する。
 が、主役はジェームズ・マカボイが演じている冴えない元会計士。
 アンジェリーナ・ジョリーは、フラタニティの暗殺者の一人を演じているに過ぎない。
 日本ではアンジェリーナ・ジョリーが最もネームバリューが高いので彼女を前面に押し出したのだろうが、こうした詐欺めいた宣伝キャンペーンは、作品の成績だけでなく、出演者にも悪い影響を与えるから、やめるべきだと思う。
 個人的には、アンジェリーナ・ジョリーのどこがいいのか、さっぱり分からない。「見て見て、あたし、格好いいでしょ。セクシーでしょ」といった感じの演技・演出を押し付けられたところで、格好いいとも、セクシーとも思えない。そういった役柄を演じられる年齢とは思えないし。

 本作の最大の問題点は、主人公のウェズリー。
 設定的にも、性格的にも問題があり過ぎ。
 ウェズリーは、フラタニティと接触するまでは単なる駄目サラリーマンだった。
 暗殺とは程遠いことをしていた。
 それが、フラタニティと接触してから6週間で、一人で何十人も相手に戦えるスーパー暗殺者に。
 かなりハードな訓練を積んでいたが(ぶん殴られっぱなし)、それだけで暗殺者になれるのだったら、誰でもちょっとした訓練で暗殺者になれることになってしまう。
 設定以上に問題なのが、性格。
 最低の女上司の下で最低の職に就いている、と本人は信じて疑っていないようだが、観る人によってはそんな酷い職には就いていない、と感じるだろう。比較的クリーンなオフィスの中で、社員一人一人にキュービクルを割り当てられているのだから。もっと酷い環境で働いている者など、いくらでもいる。
 恋人に捨てられるなど、私生活は最悪の状態にあったが、その恋人もどうしようもないアバズレ。そんな女を掴むのがそもそも問題だったのでは、と思ってしまう。
 最低の人生を送っている、と信じていたウェズリーは、フラタニティと接触。家に戻って銀行口座を確認したところ、300万ドルという大金が入金されていることを知る。
 ウェズリーはこの事実に対しどうするのかと思いきや、とたんに気が大きくなって上司に暴言を吐いて会社を辞めるは、自分をカモにしていた「友人」を殴り倒すは……。
 ここまで思い上がりの激しい馬鹿も珍しい。
 この直後にフラタニティに入ることを決心。
 ようするに、金に釣られてフラタニティに入った。
 父親を殺した者を倒す、という大義名分で入ったのではないのである。
 こんな主人公に、どうやって感情移入しろというのか。
 本作はアクション映画。
 当然ながら、人が死ぬ。主人公は必然的に人を殺す羽目になる。
 そんな訳で、主人公は聖人君子である必要はない。善人である必要もない。アクション映画として成立しなくなってしまう。
 むしろ悪い奴であってもいい。
 ただ、馬鹿であってはならない。
 聖人君子でなくても、善人でなくても、感情移入はできる。悪人でも感情移入は可能である。
 しかし、馬鹿には感情移入はできない。
 本作は、主人公を馬鹿にしてしまったのが最大の失敗と言える。

 本作は、続編が計画されているらしい。
 が、どうやって続編にするのか、さっぱり分からない。
 フラタニティは消滅しているし、フォックスは自ら命を絶った。
 ウェズリーは一匹狼の暗殺者になってしまう。
 一匹狼が何の大義名分がないまま殺しまくる映画なんて、成立するのか。


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Last updated  2008.10.07 18:00:23
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