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2009.01.29
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カテゴリ: 洋画

 イオン・プロダクションによる007シリーズ第22弾。
 ダニエル・クレイグ出演作としては2作目。
 本作は、ストーリーが前作からそのまま続いているという設定で、シリーズ初の「続編」となっている。
 原題は「QUANTUM OF SOLACE」。


粗筋

前作「カジノ・ロワイヤル」からの続編。
 ジェームズ・ボンドは、ヴェネツィアで死んだ英国財務省のヴェスパーを操っていた組織を探り、「ミスター・ホワイト」を捕らえる。英国情報局へ連れて行き、尋問しようとしたところ、英国情報局内にもその組織の内通者がいて、「ミスター・ホワイト」は逃走してしまった。内通者もその場から逃れようとするが、ボンドは追跡の末射殺してしまう。
 内通者の身辺を調査したところ、ある男にたどり着く。ドミニク・グリーンである。表ではエコロジーを謳ったNPO法人「グリーン・プラネット」の代表者。しかし裏では、亡命中の元ボリビア独裁者メドラーノ将軍に取り入るなど、怪しげな人物だった。
 ボンドは直ちにグリーンに接近。
 が、グリーンはボリビアの天然資源の採掘利権を餌に米国情報局CIAに接近していた。英国情報局と米国情報局は敵対関係になってしまったのだ。英国政府は当然ながらそのような状況を望まないので、英国情報局に対しこの件から身を引くよう命じる。納得がいかないボンドは単独で行動するが、英国情報局の支援すら得られない状況に陥った。
 そんな中で、ボンドの唯一の味方は、幼き日にメドラーノ将軍に自分の目の前で家族を殺され復讐に燃える女性カミーユだけだった……。


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感想

 大好評だった前作「カジノ・ロワイヤル」は、実はまだ終わっていなかった、むしろ始まりだった、という設定になっている。
 したがって、前作で登場した人物らがそのまま登場する。
 007シリーズとしては新しい試み。
 その挑戦の心は評価したいが……。
 ただ、個人的には「カジノ・ロワイヤル」はあまりにも「従来のボンドシリーズからの脱却」に焦点を当ててしまった為か、評価できなかった。その続編を高く評価しろ、といっても無理な注文。
 正直、特に期待せずに劇場に入った。
 劇場から出た後の評価は、「やはり評価できない」である。

 最大の問題点は、007シリーズなのに007シリーズっぽくないこと。
 これまで007映画の始まりを示してくれたいわゆる「ガンバレル・シークエンス」がオープニングではなく、エンドクレジットの前にあるなど、期待がことごとく裏切られる。
「ガンバレル・シークエンス」で始まるだけでも、観客は「おお、007がいよいよ始まる」という気分にさせてくれるのに。なぜ製作者はそういうのを理解しないのかね。
 メインテーマはこれまで通りあるが、ガンガンうるさいだけで、歌になっていない。全く印象に残らなかった。

 本作は、ユーモアの欠片もなく、ひたすらシリアス。
 フレミング原作のボンドシリーズは、初期の頃はユーモアの欠片もなく、ひたすらシリアスな物語だった。本作はそれに回帰したかのよう。
 原点回帰は悪くないのかも知れないが、劇場版のボンド像は、30年を経て、原作のボンド像とは全く異なるものへと発展している(それどころか、フレミング原作のボンドも、後期には劇場版に影響されてか、劇場版に似たキャラに微妙に変化している)。
 製作者側が長い期間をかけて作り上げた、そして観客が「これこそ007」と抱くイメージを、「演じる役者が変わりましたので」「親会社が変わりましたので」だけで破壊してもいいのか、疑問に思う。
 原点回帰も、「カジノ・ロワイヤル」のように、原作をベースにしたなら悪くはない。原作に忠実なんですよ、で説得力を持たせることができる。が、本作はタイトルこそ原作シリーズの一編から取っているが、ストーリーは完全オリジナル。オリジナルストーリーなのにキャラだけ原作(しかも初期の)に忠実でも、違和感がある。
 ダニエル・クレイグのボンドは、007になったばかり、という設定になっている。ひたすら乱暴で、洗練されていないのも、それが原因か。
 次回作からもう少し洗練された姿を見せてほしいものである。

 本作では、二人のボンドガールが登場する。
 復讐に燃える女性カミーユと、ボンドをイギリスに送り返す役割を担う筈だった英国情報局員のミス・フィールズ(苗字は直ぐ紹介されるが、名前はエンドクレジットまで不明。ストロベリー・フィールズだった。全体的にシリアスな中、登場人物の名前はやけにおふざけが多い)。
 ただ、ミス・フィールズは途中で退場するいわゆる「犠牲ボンドガール」で、非業の死を遂げる。したがって、彼女はメインのボンドガールではない。
 では、カミーユがメインのボンドガールなのかというと、そうでもなさそう。最初の部分と、最後の場面でしか登場しないから。そんな訳で、深く掘り下げられてはおらず、魅力が全く感じられない。正直、登場していなくても本作は成り立っていただろう。というか、登場させなかった方がまとまりのいいストーリーになっていたかも。

 今回のメインの悪者はドミニク・グリーンのようだが、小物感が拭えない。事実、結局ある組織の為に働いていた一員に過ぎず、最終的には組織によって始末されるのだから。歴代の悪者からすると、物足りない。
 ボンドは、最終的に、組織の名前が「QUANTUM」であることを掴む。
 次回作で、ボンドはこのQUANTUMを追うことになるのか。
 ただ、このQUANTUMという組織、英国情報局に内通者を潜入させるなど、規模は大きいようなのだが、ボリビアの公共事業独占など、やることはせこい。ボンドの敵に成り得るのか。
 せこいバトルになりそう。

 ストーリーは、ボンドが英国情報局の指示に背いて単独で行動し、敵・味方の屍で山を築く、というもの。英国情報局、そして英国の為に活躍する007とは隔たりがあり過ぎる。ジェイソン・ボーンシリーズのよう。「脚本は元はジェイソン・ボーンシリーズのものとして書かれましたが、諸事情により主人公をジェームズ・ボンド(いずれもイニシャルはJB)に置き換えて映画として完成させました」と言われても納得してしまう。
 そんなこともあって、全体的にまとまり感がなく、アクションシーンは派手なものの、最新スタント技術のデモンストレーションを繋ぎ合わせたかのようで、結局何がどうなっているのかさっぱり分からない。
 ボンドは愛するヴェスパーを裏で操っていた組織に復讐する為に執拗に追跡したのかというと、そうでもないだし(ヴェスパーは写真で一瞬登場するだけで、回想シーンすらない。前作を観ていない者が本作を観たら、「ヴェスパー、て何?(誰、ではなく)」と思うだろう)。
 ボンドはヴェスパーへの思いを完全に断ち切るのだ。

 登場人物に見所はない。ストーリーにも見所はない。
 では、アクションシーンを最大の見所にすればいいのか、というとそうでもない。
 最近のハリウッドアクションの例に漏れず、手振れシーンの連続。
 オープニングでは英国製高級スポーツカーのアストンマーティンと、イタリア製スポーツカーのアルファロメオとのチェイスシーンがあるが、断片的に観られるだけで、何が起こっているのかさっぱり分からない。このオープニングシーンの撮影でアストンマーティンが10台ほど廃車になったというが、勿体無いことしたな、としかいいようがない。
 ボンドが英国情報局内の内通者を追跡するシーンがあるが、これも手振れだらけ。凄い事が起こっているな、というのは何となく分かるのだが、何となくしか分からない。編集し過ぎていて、予告編を見せられているよう。本編はどこなのだ、と言いたくなる。
 なぜ最近のアクションシーンは、動いているものをドタドタと走って追いながら捉える、という方法で撮影されるのか。定点カメラや、ドリーに固定したカメラが全く使われていない感じ。手振れにした方が臨場感溢れたものになる、という考えがあるのかも知れないが、それも程度の問題だろう。

 本作は、ティモシー・ダルトン出演作の「007 消されたライセンス」(License to Kill)以来の邦題が付けられている。原題のQuantum of Solaceをカタカナにしても何が何だか分からないからか。正直、英語を理解できるものでも、原題は何のことだか理解し難い。
 原題のQuantum of Solaceは、原作者イアン・フレミングの007短編集For Your Eyes Onlyに収められていた短編のタイトルの一つ。フレミング原作のタイトルが使われたのは、The Living Daylights以来(同じく短編。映画のThe Living Daylightsもティモシー・ダルトン出演作)。


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Last updated  2009.01.29 18:24:22
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