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2009.08.18
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カテゴリ: 洋画

「G.I.ジョー」は、元はアメリカの玩具メーカー・ハズブロ社によるアクションフィギュア。
 大人気になり、アニメ化され、コミック化された。
 本作は満を持しての実写版。
 監督はハムナプトラシリーズとトランスフォーマーシリーズを手がけたスティーヴン・ソマーズ。
 スターウォーズ・エピソード1でダース・モールを演じたレイ・パークや、韓国の人気俳優イ・ビョンホンが出演する。


粗筋

兵器メーカーのMARSが、あらゆる金属を食い尽くす小型ロボット「ナノマイト」を開発。核兵器を上回る兵器とされた。核兵器同様、弾道ミサイルに搭載することが可能だった。
 米軍は、ナノマイト入りの弾頭を入手。しかし輸送中、謎の組織に襲撃され、奪われそうになる。が、突然現れた特殊部隊G.I.ジョーによってその計画は阻止される。
 ナノマイトはG.I.ジョーの基地に輸送されるが、謎の組織(後にコブラと名乗る)は、G.I.ジョーの基地を襲撃。ナノマイトを奪ってしまう。
 コブラは、見せしめとして、4つあるナノマイト弾頭の一つを使ってパリのエッフェル塔を破壊。多大なる被害をもたらす。
 コブラは、残りの3つの弾頭で北京、モスクワ、ワシントンDCを破壊することを決める。
 無論、G.I.ジョーがそれを許す筈がなく、僅かな証拠を頼りにコブラの基地の場所――北極圏――を掴み、そこへ急ぐ……。


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感想

 本作は、総括すると、「大人用のお子様映画」。
 料理に例えると、長崎名物トルコライスか。
 子供の頃G.I.ジョーのアクションフィギュアで遊んだことのある大人や、アニメやコミックスを観たり読んだりして育った大人が、童心に帰る為のもの。
 X-MEN、スーパーマン、バットマン、スパイダーマン、アイアンマンなど、アメコミの実写版の類である。玩具がベース、という点においてはトランスフォーマーに最も近いかも(トランスフォーマーは日本製玩具がベースだが)。監督のスティーヴン・ソマーズはこの手のものを実写化するのが好きで好きで堪らないらしい。

 元はお子様向けの商品なので、全体的な作りもそれに近い。
 ストーリーは単純明快な「善VS悪」。善の側に立つ者はひたすら善人だし、悪の側に立つ者はひたすら悪人。登場人物の誰一人として奥深さを感じられない。
 何も考えずに観ていられるので、その意味では非常にストレスの少ない映画である。

 お子様映画なので、当然ながら穴も多い。

・ナノマイト弾頭を盗んだのは、後にコブラを名乗る兵器メーカーMARS。自社がNATOなど主要諸国の予算を使って開発した兵器を、自身の野望の為に奪い返した、ということだが……。なぜ単純により多くのナノマイト弾頭を作っておかなかったのか。地球上の兵器の7割を生産しているMARS(コブラ)ほどの組織なら、秘密裏に兵器を余分に生産するくらい楽だっただろう。派手に強奪しようとしたものだから、G.I.ジョーに察知され、最終的な計画を阻止されてしまった。

・世界最強の国際特殊部隊G.I.ジョー、とのことだが、どこが世界最強なのか、さっぱり分からない。確かに、装備は物凄いが、組織運営には疑問点が多い。エジプトにある秘密基地は、あっさりと敵に居所を掴まれ、奇襲される。秘密基地である以上、万全なセキュリティ体制を敷いておかなければならないのに、何でもないように襲撃されてどうする。しかも肝心のナノマイトを奪われてしまうし。結局何の為の秘密基地だったのか。

・世界最強の国際特殊部隊G.I.ジョーは、構成員は当然ながら優秀。部隊員の中には12歳で有名大学を首席で卒業した程の天才も。とにかく目から鼻に抜ける者ばかりの集団なのだ。……という設定になっている筈なのに、どの部隊員からも知性を感じられない。特にホーク司令官や主人公デュークは出来の悪い高校生のよう。赤毛の女性部隊員(12歳で有名大学を首席で卒業)も、訓練だけは100点満点だが実戦ではイマイチの訓練馬鹿としか映らない。G.I.ジョーは男性隊員が大半だが、当然ながら女性隊員もいて(野郎ばかりだとビジュアル的につまらない)、なぜか恋愛関係にあり、会う度にイチャ付く。その意味でもプロの戦闘部隊というより、男女共学の高校生のノリ。知性に劣る集団の中で、例外はレイ・パーク演じるスネイクアイズだが、このキャラは全くの無口、という設定の為性格を知る機会が得られないのが最大の理由。饒舌な奴に利口な奴はいない、を証明している感じ。ともかく、ほぼ全員が戦闘能力は高いもののそれだけ。にも拘らず、物凄いハイテクな装備を持っている。見方によっては、下手なテロリストより危険。現に、パリでの追跡シーンでは、市街地を破壊しまくっていたのは、ナノマイトを手に逃げ回っていたコブラではなく、コブラを追っていたG.I.ジョーらのように感じた。

・世界の兵器の7割を生産するMARSは、実は世界征服を企むテロ組織コブラだった! 野望の為にはどんな手段もいとわない。……という設定になっているが、やけに間抜け。世界の兵器産業の7割を握っていれば、実質的に世界を支配しているようなもの。なぜわざわざ表舞台に出て「我々はコブラだ! 世界はコブラが支配する!」と宣言しなければならないのか。「世界には秩序が必要だ! 我がコブラがその役を担う!」という理由かららしいが、そもそも兵器を世界中に供給しまくって紛争を引き起こして無秩序な状況をもたらしたのは、MARSだろう。お前らがいなかったらどれ程世界は平和で、秩序的になっていただろうか。仮にコブラが世界征服を果たし、全世界が秩序的になり、紛争や戦争がなくなったらどうなるのか。兵器の必要性がなくなる。母体のMARSはそうなったら困らないか。

・G.I.ジョーという組織の存在自体も分からない。G.I.ジョーのアニメが放送されていたのは1980年代。本作は2009年。20年ほどの開きがある。1980年代、ハリウッド映画はアメリカ市場が主力市場で、他はおまけみたいなものだったが、制作費が数億ドル(数百億円)となってしまった現在は世界公開が大前提。アメリカ人だけに受けさえすればいい、というものではなくなってしまっている。その為か、設定にかなりの変更が。G.I.ジョーのアニメ版のアニメソングは「G.I.JOE, A REAL AMERICAN HERO!」という歌詞が入っていた。つまり、アメリカの特殊部隊だった。本作のG.I.ジョーは、国際特殊部隊、という設定になっている。その為か、部隊員も国籍豊か。時代に合わせているのは悪くないのだが……。中途半端。基地で使われている言語は英語だけ。アメリカ大統領と頻繁にコンタクトを取っているところを見ると、結局はアメリカ主導の特殊部隊のよう。そんな特殊部隊に世界各国の政府が部隊員を派遣するかね。そもそも国連にもまともに参加していないアメリカが(国連予算の分担金の負担を拒否し続けている。にも拘らず常任理事国)、国際特殊部隊に参加するのか。無理矢理国際特殊部隊にするより、アメリカの特殊部隊という設定のままの方がよかったような。

 他にも穴はあるが、述べていたら切りがない。
 上述したようにお子様映画なので、指摘するだけ無駄なので、この辺にしておく。

 本作は、最近のハリウッド映画の例に漏れず、CGを満載。
 ただ、CGの精度が低いからか、「もろCGじゃないか」と分かってしまうカットが多い。役者らと背景CGの合成だ、と分かるカットも多々ある。
 実写版、となっているものの、実質的にはCGアニメ。映像的には物凄いことが起こっているのだが、「ああ、CGね」で脳内で処理してしまうので、心底から感動できない。
 なぜもっとCGをリアルにできなかったのか。
 というか、なぜCGに頼ってばかりいるのか。CGより模型などを使った撮影の方が、アナログ感があって、まだ感動できる。

 最大の問題はキャスティングか。
 本作では、コブラの一員で、刀の使い手で、忍者でもあるストーム・シャドウを、韓国の人気俳優イ・ビョンホンが演じている。イ・ビョンホンは日本でも人気のある、精悍な顔立ちの東洋人俳優。英語もそれなりにできるようである。役柄は日本人だが、韓国人が演じても何ら問題はない。
 ……筈なのだが……。
 これまで数人の韓国人俳優がハリウッド映画で日本人の役を演じているが(日本のアニメ「マッハGO GO GO」のハリウッド実写版スピードレーサーなど)、なぜか韓国人は日本人を演じるのを屈辱的に捉えるらしく、日本らしさを排除し、韓国っぽさを盛り込もうとする。
 本作も、ストーム・シャドウ(コブラの一員)とスネイクアイズ(G.I.ジョーの一員)が東京で同じ師匠の下で武芸の腕を磨いていた間柄だった、というシーンが流れるのだが、そこで描かれている東京は明らかに日本っぽくない。また、幼少時代のストーム・シャドウを演じていた子役は明らかに日本人ではなく、日本語ではない台詞を連発。日本のシーンであるにも拘わらず、全て字幕。
 本作はファンタジーみたいなもので、リアリティを追求しても意味ないだろう、という声も聞かれそうだが……。一応近未来の地球を舞台にしている。リアルにできる部分はリアルにしないと、映画そのものが嘘っぽくなってしまう。
 イ・ビョンホンは、反日感情が未だ根強い母国に配慮して日本人キャラを韓国人っぽくしたようだが……。母国からは「なぜ忍者(日本文化の象徴の一つ)のキャラを演じたんだ?」と叩かれ、日本では「反日精神をハリウッド映画に持ち込むな」と批判されてしまっている。
 これだったらいっそストーム・シャドウを純粋な韓国人キャラに設定変更すればよかったのに、と思う。
 結局中途半端は嫌われる。

 レイ・パークは、本作でスネイクアイズを演じている。
 他のキャラは素顔が見られるのに、このキャラだけは素顔が見られない。全身を覆う黒いスーツ(?)姿だから。
 出世作のスターウォーズ・エピソード1でも、演じたキャラのダース・モールはメーキャップで素顔とは程遠い姿だった。X-MENにも出演しているが、それでもメーキャップの濃いキャラを演じていて、素顔をお目にかかれない。
 本人はどう思っているのかね。

 本作がお子様映画であるのを決定付けるのは、最大の悪玉が殺されず、生け捕りにされること。
 悪玉だからといって善玉が何の躊躇いもなくぶっ殺すのはちょっと問題だが、こうやって生かされるのをどうかと思う。倒せない訳ではなかったのだ。
「我々G.I.ジョーはお前らと違って人道的で、倫理的だ」ということを示したいのだろうが……。
 雑魚はバンバン殺しているのだから、説得力がない。
 アニメシリーズ(特にアメリカの)で悪玉の大物が結局逃されるのは、そうしないと次回の放送ができず、アニメシリーズが終わってしまうから。
 本作でも悪玉が生かされるのは、次回作が製作できないかららしい(本作の原題を直訳すると「G.I.ジョー:コブラ誕生」となる。副題からして次回作を作る気満々)。
 製作者側のそうした事情もあるのだろうが、お子様化してしまったのは残念。

 本作は、上述した通り、大人向けのお子様映画。
 頭を空っぽにして観る代物。
 それ以上を期待して観ると、落胆は必至。


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Last updated  2009.08.18 13:41:18
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