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2009.10.03
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カテゴリ: 洋画

 1933年に製作され、映画史に残る伝説的作品となった「キング・コング」を、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督がリメイク。
 主演は「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディと「21グラム」のナオミ・ワッツ。


粗筋

1930年代のアメリカ。
 野心的な映画制作者デナム(ジャック・ブラック)。彼は人間が立ち寄ったことがないとされる謎の島スカル・アイランドへの地図を手に入れる。そこに出向き、映画を撮影すれば一攫千金が可能だ、と目論む。
 デナムは言葉巧みに脚本家ドリスコルや女優アンを騙し(シンガポールまでの船旅を描いた映画を撮る、と思っていた)、共に出航。
 スカル・アイランドへと旅立つ。
 が、デナムは無数の投資家らから訴えられていた。デナムには逮捕状が出ている、との通信が入り、船は戻ることに。
 しかし、その最中に船はいつの間にかスカル・アイランドで到達してしまう。
 デナム一行はスカル・アイランドを探検。
 そこでは未開の文明が栄えていた。
 未開人らは友好的とはお世辞にも言えず、デナムらは命辛々船に戻る。出航しようとするがその最中にアンが未開人によってさらわれ、何かの為の生贄となることに。
 その何かとは、巨大な霊長類キングコングだった。
 デナムらはアンの救助に向かうが、スカル・アイランドは絶滅した筈の恐竜が当たり前のように徘徊している世界だった。モンスターのような恐竜らを相手に、救助隊はアンにたどり着く前に次々と倒されていく。
 一方、アンはキングコングから逃れることに成功する。が、彼女も恐竜がウジャウジャいる中で、危機の連続。最終的には、キングコングに助けられる。そんなことから、アンはキングコングに思いを寄せるようになる。キングコングの方も、アンに思いを寄せるようになった。
 デナムは、スカル・アイランドの映像をガンガン撮っていたが、カメラは破損。せっかく撮った映像が全て台無しになってしまう。映像抜きでは、これまでの冒険の証拠が皆無になる。語ったところで異常者扱いされてしまう。
 そこで、デナムは考える。キングコングを生け捕りにし、連れて帰ろう、と。そうすれば一儲けできる。
 デナムらは、船内に積んであったクロロホルムでキングコングを眠らせ、アメリカに連れて帰ることに成功。
 デナムは、キングコングを見世物にし、ショーを始める。
 が、キングコングは予想以上に力が強く、拘束していた鎖を引き千切り、ニューヨークの街中でアンを求めて暴れ始める。


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感想

 キングコングは1933年に最初のが公開されてから、何度かリメークされている。
 日本でも、キングコング対ゴジラなんてのが製作されているくらい。
 それだけキングコングは映画に衝撃を与えた存在なのだろう。
 これまでのリメークは、舞台を製作時に変更しているのが殆ど。時代設定を変えてしまうと、その分制作費がかさむからだろう(時代設定に合う小道具を用意しなければならない)。
 しかし本作は、21世紀に制作されながらも、舞台は初の作品と同じ1930年代にしている。ハリウッドの巨額制作費から捻出できるCG予算があってこそなせる業といえる。
 その意味では、オリジナルの忠実なリメークと言える。

 無論、オリジナルが製作された時代では到底なし得なかった特撮アクションを満載。
 アドベンチャー映画にもなっている。
 が、それ故に焦点が定まっていないストーリーになってしまった感がある。
 前半のスカル・アイランドのシーンは、未開人は出るは、恐竜は出るは、巨大昆虫は出るは、チェースシーンはあるは、恐竜対巨大ゴリラの戦闘はあるは、銃撃戦はあるは、という何でもありのバトルアクション。
 後半のニューヨークのシーンは、近代的な大都会が舞台で、車(クラシックカー)が走り回っている、ごくごく普通の世界。普通でないのは、キングコングがその中で暴れ回っていること。
 前半は人間が暴れまくっているが、後半はキングコングだけが暴れまくっている。
 結局誰(何)をメインとした映画なのか、と首を捻りたくなる。
 前半のアクションシーンに心を躍らせてしまうと、後半の美女と野獣のラブストーリーは退屈というか馬鹿馬鹿しいし、後半のラブストーリーに心をときめかせるには、前半が長くて惨くてたどり着けない。

 本作はリメークなので、オリジナルから乖離する展開は一切見られない。
 したがって、結末は誰もが分っている。
 そんな訳で、盛り上がりに欠ける。
 製作者側は特撮を駆使した映像でその場を盛り上げようと必死なのは痛いほど分かる。
 が、観ている方は製作者の要望に応えて盛り上がろうとするものの、何となく覚めてしまう。
 ストーリーが期待を完全に裏切ると失望するが、ストーリーの先が完全に読めてしまうと飽きてしまうのだから、観客とはわがままなものである。

 本作には、当然ながら疑問点も多い。
・スカル・アイランドでは、恐竜が無数にいる不思議な島。その中で、キングコングは最強の生き物として君臨していた。ただ、恐竜と霊長類は同じ時代に生存していなかったと思うのだが……(というか、恐竜の時代は哺乳類の祖先がようやく誕生したと思われる)。なぜスカル・アイランドでは当たり前のように一緒に生存しているのかね。正直、恐竜(鳥類の祖先とも、爬虫類の祖先とも言われる)が一杯いる中で、哺乳類のキングコングが暴れまくっている姿は場違いに見えた。これはオリジナルを忠実にリメークした結果だから、本作を責めるより、オリジナルの製作者を責めるべきなのか。そうなると「1930年代は恐竜時代のことがまだよく分かっていなかったので、恐竜と霊長類が共生する世界を描いてしまった」ということになるだろう。
・デナムは、キングコングをニューヨークへ連れて帰る。なぜデナムはキングコングに執着したのかね。キングコングは迫力あるが、所詮でかいゴリラ。それより恐竜を捕獲してニューヨークへ連れて帰った方が、学術的にも評価されていただろうに。それだとゴジラになってしまうか。
・なぜキングコングがアンに思いを寄せたのか、よく分からない。ゴリラが人間の女性に恋する、なんて有り得ない。動物園のゴリラが女性飼育員に思いを寄せることはあるかも知れないが、それは世話してくれる人だからで、容貌に惚れ込むからではない。そもそもゴリラが人間の女性を「美しい」と思うだろうか。
・最終場面は、オリジナルと同様、エンパイヤーステートビルの天辺での激闘。ヒロインのアンは、そこにキングコングに連れられるのだが……。エンパイヤーステートビル、て高さ400メートルを超える超高層ビル。そんな高い場所に連れられたら、大抵の人間は恐怖で身がすくんで動けなくなると思うのだが……。アンは何でもないように外部にさらされた梯子を上ったり、最上部に上がってキングコングを殺そうとする軍用機を阻止しようと手を振って大声を上げたり、と大活躍。キングコングが落下して死亡し、ビルの天辺で放心状態にいるアンの下へ、今度はドリスコルが駆け付ける。無論、梯子を上がって。高所作業者でも命綱抜きではいられない場所に、なぜ二人は何でもないように上がれるのか。アメリカでは、女優や脚本家をやっていると高所恐怖症を完全に克服できるらしい。

 本作にはヒーローと呼べる者が何名かいる。
 が、最大のヒーローは船長かも知れない。
 デナム一行らが絶体絶命の危機に陥ると、必ずどこからか現れては命を助けている。非常にタイミングの良いヒーローである。場面がニューヨークに移ってからはお役御免になってしまったのは、非常に残念だった。

 本作は、典型的なアメリカ映画。
 武器をやたらと使いたがるが、その武器の使い方の描写が甘いというか、希望観測的というか。
 ドリスコルが巨大な昆虫にたかれ、もがいていたところ、救助隊の一人がマシンガンをぶっ放し、昆虫を次々射殺するシーンがあった。昆虫は人にたかっているのだから、昆虫に向けて発砲すれば昆虫を殺せるかも知れないが、人に危害が及ぶのは当然。……の筈だが……。そのシーンではマシンガンの銃弾は昆虫を殺すだけで、人には全く当たる気配がなかった。
 アメリカ人は、銃弾は都合のいい時だけ都合のいいように当たり、それ以外の時は目を閉じて乱射しても当たらないと信じているらしい。

 上映時間は188分。
 3時間を越える。
 最近では稀に見る大長編映画。
 では、その長さに見合う大作なのか、というとそうでもない。
 CGをガンガン使っていて、金がかかっている、という面では大作なのかも知れないが、ストーリーが大作っぽくない。
 編集でカットされるべきシーンがそのまま残ってしまっただけの感じ。
 締りがない。
 2時間程度に留めていれば、テンポ良いものになっていただろう。

 本作は、上述した通り、CGを満載している。
 さすがハリウッドとあって、それなりにリアルなのだが……。
 やはりCGっぽく観える。
 というか、最近の映画は、製作者側が「CGは使っておりません。本当です。信じてください」と発表しているようなものでも、「ああ、この迫力あるシーンはCGなんだな」と頭で処理してしまう。
 CGを使い過ぎるのも問題である。

 ロード・オブ・ザ・リングでファンタジーの世界を見事に実写化した監督ピーター・ジャクソンだが……。
 今回ばかりは題材を間違えていたような。
 架空の巨大生物が街中で暴れまくる、なんてのはB級映画そのもの。
 そんなのを巨額の制作費をかけたところで、超豪華なB級映画にしかならない。


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Last updated  2009.10.03 18:56:39
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