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2010.01.02
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カテゴリ: 洋画

『タイタニック』のジェームズ・キャメロン監督が12年振りに発表したアドベンチャー大作。
 最新の映像技術を駆使して作り上げており、3Dと2Dバージョンが公開された。
 自分が観たのは2Dバージョン。


粗筋

遠い未来。
 地球は太陽系外に進出していた。
 地球のある大企業RDAが、特殊な鉱物を求めて、惑星パンドラに手を伸ばした。RDAとしては直ちに鉱物を採掘したいが、鉱脈の上にはパンドラの原住民ナヴィが居住していた。無闇に手を出せない。
 RDAには、二つの選択肢があった。武力でナヴィを排除するか、ナヴィと交渉して移住してもらうか。武力行使に出た方が手っ取り早いが、イメージ的に悪いので、取りあえず交渉することに。
 交渉のツールとして採用されたのが、人間とナヴィ族のハイブリッド「アバター」である。被験者とアバターにリンクさせることで、被験者はナヴィに「変身」し、ナヴィと接触できるようになる。ナヴィの信頼を勝ち取り、交渉の場に着かせる、という計画だった。
 しかし、計画は難航。ナヴィがなかなか人間らの要求に応じようとしないのである。RDAは武力オプションへと傾き始めていた。
 そんなところに、ジェイクがパンドラに到着。アバターとなる為だった。
 ジェイクは海兵隊隊員だったが、事故で下半身不随になり、不満だらけの生活を送っていて、アバターの仕事で治療費を稼ごう、と考えていた。
 ジェイクはアバターとリンク。実体では下半身不随だが、アバターに変身したジェイクは五体満足。自由を得た気分だった。
 ナヴィとの接触にも成功し、徐々に相手の信頼を得る。
 一方、RDAの軍事部門を担当する指揮官は、ナヴィを武力で排除したがっていた。ジェイクは元々海兵隊なので、当初はその指揮官の命令通りナヴィに関する情報を提供していた。
 しかし、ナヴィと接触している内に、ジェイクはRDAの動機に疑問を持つようになる。
 そんなところ、指揮官はジェイクが提供した情報を元に総攻撃を開始。
 ジェイクはそれを見て、ナヴィらの為に戦う事を決意する……。


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感想

 一兵士が偵察目的で敵側と接触し、敵側の信頼を得る。そうしている内に敵側に同情するようになり、味方側の動機に疑問を持つようになり、遂に反旗を翻す……。

 ……という、これまで何度も観た様なストーリーを、最新の映像技術で作り直している。
 ストーリー自体はありふれたもので、新鮮味は全くない。先も難なく読める。問題といえば問題だが、裏を返せば後味が悪くなく、安心して観ていられる。

 キャラクターの設定や、ストーリー運びは、宮崎駿監督の「もののけ姫」とほぼ同じ。キャメロンが「もののけ姫」をリメークしたのか、と疑ってしまうほど。
 自然と共存する一派(本作ではナヴィ、もののけ姫では森を守る獣)と、自然を破壊する一派(本作ではRDA、もののけ姫ではタタラ製鉄集団)との対立。自然と共存する一派には戦うヒロインがいる(本作ではネイティリ、もののけ姫ではサン(いわゆるもののけ姫))。主人公(本作ではジェイク、もののけ姫ではアシタカ)は、両派の間に立って、調整を試みる。しかし、主人公による調整は上手く行かず、両派は全面的に激突する。
 ……ここまではほぼそっくりだが、これ以降は日本人とアメリカ人のテーマの解釈の違いからか、差が出てくる。
 もののけ姫のアシタカは、最初から最後まで両派の間に立って奔走し、いずれにも偏る事はない(作中で「あいつは結局どっちの味方なんだ?」という台詞があるが、まさにその通り)。一方、本作のジェイクは最初は破壊派に属するものの、最終的には共存派として戦う。
 もののけ姫は、破壊派も共存派も被害を受け、結局いずれも本来の目的は達成できず、曖昧な終り方に。本作は、破壊派も共存派も被害を受けるが、共存派が本来の目的を達成し(自分らの居住地を守る)、破壊派が本来の目的を断念せざるを得なくなる(鉱物採掘を断念)。つまり、勝敗が明白。
 もののけ姫は、破壊派には破壊派なりの動機、共存派には共存派なりの動機が描かれ、双方に同情できるようになっている。一方、本作は双方の動機が描かれているが、破壊派の動機はひたすら下劣な金銭目的で、共存派こそ正しい、となっている。
 こうした違いは、どちらが優れているというより、製作者側の国民性の違いだろう。アメリカ人がもののけ姫を観たら「こんな白黒はっきりしないのを観ているとストレスが溜まる」と思うだろうし、日本人が本作を見たら「アメリカ人らしい。直ぐ善悪に分けたがる」と思うだろう。

 本作は、SFからファンタジーまで、何もかも放り込んだ感じ。
 宇宙船が搭乗するシーンはSF以外何でもないし、ナヴィが飛行生物に乗って空を飛ぶシーンはファンタジー。
 しかも映像的に破綻している様子はない。
 まさにハリウッドでしか作れない大作である。
 あれこれ詰め込んである上に上映時間が2時間半以上あるので、観終わった後は疲弊感がある。

 本作の難点といえば……。
 人間とナヴィがあまりにも簡単に接触できる事か。
 ジェイクは海兵隊員としては優秀だが、高度な教育を受けている訳ではない。喋れるのは英語だけ。したがって、ナヴィとの意思疎通にかなり苦労すると思いきや、ナヴィが人間から教育を受けていて、英語が喋れる、という設定になっていて、ナヴィが当たり前のように英語を喋る(全員ではないが)。
 そんな事もあり、ジェイクは当たり前のようにナヴィとコミュニケーションが図れる。
 呆気ない。
 アバターの有効性も疑問。ナヴィそっくりの格好に変身して接触したところで、ナヴィの信頼を即座に得られる訳ではない(事実、ナヴィ姿のジェイクはよそ者扱いされていた)。それだったら人間の格好のまま(つまり「我々は異星人だ」と開き直って)接触して交渉した方が、効果が上がっていたかも(人間はパンドラの大気を呼吸できないようで、呼吸器を必要としただろうが)。下手に同調しようとしたことで、ナヴィの警戒心を高めてしまったような。

 本作のメッセージの一つが、「いかに破壊力を持つ兵器で武装しても、少数派を屈服させるのは不可能。それより共存を図るべき」のようだが……。
 本作を制作したハリウッド、つまりアメリカの歴史は、弱小国(ベトナム、アフガニスタン、イラクなど)や弱小勢力(タリバンなど)を圧倒的な武力で制圧しようという試みの連続なのだから、皮肉である。
 映画界のアメリカと、政府としてのアメリカは違うのか。
 映画界と政府の見解が全く同じであったら、むしろ不気味だが。

 本作で搭乗するアバターは、俳優をベースにしているものの、ほぼCGアニメ。パンドラの映像も殆どCGだろう。
 ライブアクションはRDA側のシーンのみのよう。それもCGが多用されているだろう。
 今後の「実写映画」では俳優を全く必要としなくなるかも知れない。
 CGの技術がここまで進化したのかと驚く一方で、寂しくも感じる。

 本作は3Dムービーとして制作された。
 今後3Dは増えるのかね。
 3Dは割高だし、観ていると目が疲れそうなので、観たいとは思わないが……(少なくとも、2時間半は長過ぎ)。


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Last updated  2010.01.02 10:21:30
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