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2010.03.30
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カテゴリ: 洋画

 コナン・ドイルが創造した名探偵の代名詞シャーロック・ホームズを、ガイ・リッチーが監督となって新たに劇場化。
『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jrがシャーロック・ホームズ、『スルース』のジュード・ロウがジョン・ワトソン博士を演じる。



粗筋

ホームズとワトソンは、黒魔術の儀式の一環として5人の女性を殺害した貴族院議員ブラックウッド卿を捕らえる。
 ブラックウッド卿は絞首刑を言い渡されるが、全く動じる事無く、自分は処刑されても蘇る、と宣言。蘇るだけでなく、イギリス、そして世界を支配する事になる、と。
 3ヵ月後。ブラックウッド卿は絞首刑にされ、ワトソンが検死を行って死亡を確認した。
 それから3日後。
 ブラックウッドが埋葬された墓が荒らされる。棺に入っていたのはブラックウッドではなく、全くの別人の遺体だった。
 この事実はロンドン中に広まり、市民は恐怖におののく。
 ホームズは、ブラックウッドの行方を捜す事になった。
 そんなところ、ホームズを唯一出し抜いた女性アイリーン・アドラーが訪れる。ある男性を探して欲しい、と。その男性こそ、ブラックウッドの棺に入っていた遺体だった。棺に入っていた男は、ブラックウッドの指示の元で様々な実験を繰り広げていた。その実験が成功に終った為、用済みとなり、殺されたのだった。
 その「実験」とは何だったのか、何を目的としていたのか、が最大の謎となった。
 更に、ある秘密結社がホームズを訪れる。黒魔術を操る結社だった。ブラックウッドも、その結社の一員だったのである。結社は、本来は黒魔術を悪用しないようにしているのだが、ブラックウッドはそれに背いた。黒魔術を存分に利用し、何かを企んでいた。そこで、ホームズに協力を求めたのだった。
 ホームズはブラックウッドの後を追おうとするが、いつの間にかブラックウッドの罠にはまっていて、犯罪者として警察に追われる身になってしまう。
 それを尻目に、ブラックウッドは秘密結社を乗っ取る事に成功。黒魔術を使い、イギリス国会をも乗っ取る陰謀を張り巡らす。
 ホームズとワトソンは、警察に追われながら、ブラックウッドの陰謀を潰す為に動かなければならなくなった……。


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感想

 これまでホームズは何度も映像化されている。
 が、ここまでアクション塗れなのもないだろう。
 全く別のキャラに見えてしまう。
 製作者側からすると、本作のホームズこそ原作に最も近い、とのことだが……。

 ホームズというと、洗練された、スマートなイメージがあるが、ダウニーが演じるホームズはそうしたイメージを完全に崩している。
 無精髭。ボロボロの服装。が、服を脱ぐとやけに筋肉質。
「こんな薄汚いオヤジのどこがホームズ?」と呆れてしまう。
 ワトソンを演じていたジュード・ロウの方が、寧ろホームズのイメージに近かったのではないか(口髭を除いて)。
 ワトソンも、原作とは異なりかなり有能で、ホームズの言動を見てひたすら感心する記録者というより、相棒として大活躍している。
「製作者は原作を一遍でも読んだのか?」と疑わざるを得ない。
 が、観ている内にホームズの薄汚い面にも慣れてくる。本作で描かれているロンドンがとにかく薄汚いので、薄汚いのが普通で、清潔こそ異常に見える、という事もある様だ。
 ホームズは、一般的には頭脳派で、その場から動かず、状況説明を聞いただけでどんな事件をも解決する名探偵と思われがち。しかし、原作のホームズは、意外にも行動派。ワトソンが気付いていない間に現場を駆け回って捜査していた、という場面も多い。決して安楽椅子探偵ではないのである。
 最終的には「100%納得した訳じゃないけど、こういうのもありかな」と思えるように。
 映像の説得力というのはとにかく凄い。

 本作には一応謎解きはあるものの、度肝を抜かれるものはなく、過去に使い古されたものを焼き直している。
「ホームズはこの程度の謎解きしか出来ないのか」と思われそうだが……。
 ただ、原作(19世紀から20世紀初頭に発表)の謎解きも、推理小説の洗練度が上がった今となっては度肝を抜かれるものは無く、寧ろ子供騙し程度。現在の作家がホームズ原作程度のトリックや推理を展開したら、その陳腐さを非難されるだろう。19世紀のロンドンという、現在の視点では独特の時代を設定にしたホームズ物だからこそ許されるトリックや謎なのである。
 その意味では、本作のトリックや謎は原作に忠実と言えるのだ。
 ブラックウッド卿が絞首刑から復活したトリックだが……。
 実は警察官等を買収する事によって処刑の時点で特殊な服装を着られる様、手続きしていた。その服装では、首にかかった縄に負担はかからない様になっていたのである。その後の検死では、ある薬物を自身に投与して仮死状態になり、ワトソンの目を欺いた。
 非常に陳腐な真相で、現在の死刑の場や、検死技術を考えると全く説得力に欠ける。が、舞台は19世紀。富豪でもあったブラックウッドが警察や処刑場の者(当時はいずれも高い身分とは言い難かっただろう)を買収出来た、というのは有り得る話だし、検死の技術においても同じ事が言える。
 むしろブラックウッドが黒魔術師ではなく、単に一般人が黒魔術に対し抱く恐怖を最大限に利用したペテン師だ、恐怖の対象なんて真相はこの程度なんだ、という事を効果的に強調している。

 本作では、原作においては1作でしか登場していないアイリーン・アドラーやモリアティ教授が、まるで原作では何度も登場したレギュラーキャラだったかの様に現れる等、ホームズ原作を読み通した者からすると不自然な部分が観られる。
 2時間の映画に何もかも放り込んだ結果か。
 次回作では、このモリアティ教授が本格的に登場する様である。

 本作は、BBCがジェレミー・ブレット主演で映像化したシリーズを観慣れている者からすると「こんなのホームズじゃない!」と批判されるのは必至。
 しかし、そうでない者からすれば(原作を読み通した者も含む)、何となく許せる代物になっている。
 原作者の故コナン・ドイルも、薄汚さには眉をひそめるかも知れないが、武闘派ホームズだけは案外受け入れるのではないか。ドイルはボクシング等、肉体的なスポーツを好んだというから。


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Last updated  2010.03.30 00:29:20
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